078 抱いて縛って口付けて




 丹羽「ということで、今回のお題は『抱いて縛ってくちづけて』になったそうだ」
 西園寺「ふむ。まあいいタイトルだな」
 丹羽「抱かれて縛られてくちづけられるのは、この際、啓太でいいだろう」
 中嶋「妥当だな」
 篠宮「妥当だ」
 啓太「待ってください! 何が妥当なんですか。勝手に決めないでくださいよ!!」
 丹羽「外野うるさいぞ」
 啓太「誰が外野なんですか!! 当事者じゃないですか」
 中嶋「気に入らないんだったら、俺から原案者に依頼して『縛って輪姦(まわ)して』に変更してもらうが?」
 啓太「……いえ、どうぞ。おつづけ下さい(涙)」
 七条「問題は『誰が』の主語の部分ですね」
 和希「それ、ひとりかなあ」
 七条「どういうことですか」
 和希「つまり、抱くのと縛るのとくちづけるのと、それぞれ分担したらどうだろう、と思った」
 篠宮「なるほど。そうすれば三人楽しめるわけか」
 丹羽「ちょっと待て。確かに一考には値すると思うが、縛った奴が、そこで終わりにできるのか?」
 成瀬「僕だったら駄目だね。縛ったらそのままなだれこんじゃうよ」
 和希「失礼した。確かにそうだ。では前言を撤回する」
 海野「ねーねー。でもそれどうやって決めるわけ? 僕、くじ運わるいんだけどなあ」
 滝「おっと。それは俺もや。頼むで会長。くじやらポーカーだけはせんといてや」
 岩井「それはやはり縛ったときの美しさで決めるべきじゃないだろうか」
 篠宮「なるほど。それはいえてるな。俺は岩井の意見を支持する」
 丹羽「今の意見に反対は?……よし。ないようだからこれに決定する。端から順にいってもらおうか」
 海野「うわあ。僕、縛り方なんて知らないよ」
 和希「どう縛るか、じゃなくて、何で縛るか、でもいいと思いますよ」
 海野「えっとね。じゃあ犬用の鎖」
 成瀬「それだと首輪も要りますね」
 海野「あっ。そうだね。じゃあ首輪も」
 滝「なんやそれ。むっちゃおいしそうやんか。かなんなあ。…ほな俺はガムテにしとこ。猿ぐつわ付で」
 成瀬「じゃあ僕はテニスのガット。インビジブルっぽくていいし、肌にくいこむところがね」
 岩井「女物の長襦袢を着せて細紐で縛るのが美しいと思う。できれば襟が白であとは赤がいいんだが」
 篠宮「赤の長襦袢なんて売っているようで実はないものだ。時代劇で使われているのは別注している」
 岩井「そうなのか? 俺はよく知らなかったが」
 成瀬「いや。普通知らないんじゃないかな……」
 篠宮「(コホン)では俺は弓の的に縛りつけよう。矢を射るつもりはないが、見た目がいい」
 和希「それを聞いてほっとしました(笑)。でもビジュアル的には緑のイバラの方がよくないかな」
 西園寺「啓太の苦痛には眼をつぶってか? わたしなら金で作った鎖で縛る」
 丹羽「女王ゼノビアでも気どったつもりか? 郁ちゃんらしいが、やはり縛るなら細い革紐だろう」
 西園寺「これだから野蛮な人間は困る。まあパルミュラの女王の名を知っていただけましかもしれんが」
 七条「郁。会長にそこまで要求するのは酷というものですよ」
 丹羽「けっ。じゃあお前は何で縛るんだ。いってみろよ」
 七条「僕はもちろん、愛の力で縛ります」
 全員「……」
 丹羽「あー。ちょっとみんな、気を取り直そうぜ。……すまんなヒデ。最後になっちまったが」
 中嶋「いや。気にしなくていい。なぜなら啓太はすでに俺に縛られているんだからな。それは啓太自身
     が一番よく知っているはずだ。もっとも、物理的に縛られたいというのなら、いくらでもリクエストに
     応えるが」
 啓太「中嶋さん!!」



 丹羽「あー。せっかく集まってもらったのにすまんが、当事者及び約一名が抱き合ってキスをしたうえに、
    手に手を取って出ていっちまったんで、今回のお題はこれでお開きということに……。あ? みんな
    何を手に持って……。いや、縛るのは俺じゃないだろう?俺を縛ったって楽しくも何ともないぞ?
    冷静になろう。な、冷静に。おい。…………うぎゃあああああああ」





いずみんから一言。

いや。誰にどう縛らせたら楽しいだろうかと考えていただけだったんだけど。
やはりあのお方がいらしては、無理な企画でした。
ヒデのセリフの「縛って輪姦して」は、絶対ヒデはほかの人間にそんなことさせないのがわかっていても、
ほかにこのセリフをいえるキャラがいなかったので、あえて彼にいわせました。
でも全部ひとつずつ書くと楽しいだろうなあ(笑)。


100のお題へ戻る