朝の風景



 窓にカーテンの掛かった薄暗い室内。
重厚な机と本棚、そして大きなベッド。
必要最低限のものしか置いていないお部屋で、少しだけ異彩を放っているのはベッドの上の
シーツを被った小さなお山。
ベッドヘッドに置いてあるシンプルなデジタル時計が、そろそろ8時を告げようかというそんな時
小さなお山がもぞもぞと動き出しました。

「む〜」

うめきながらひょっこりシーツから出てきた柔らかそうな茶色い髪は寝癖であちらこちらに跳ねています。
眠そうに目をこするお山の正体はこのマンションに住む啓太君。
大きなあくびをしつつきょろきょろと室内を眺めるとどうやら自分一人だけのよう。
急いでベッドを下りるとカーテンを引っ張って太陽の光を室内に取り入れます。
開けっ放しで纏める事をしないまま小さな啓太君は一生懸命背伸びをしてドアを開けお部屋を出ます。



ぱたたた・・・


大人の足なら数歩の廊下を軽やかな足取りで走りぬけ、リビングのドアにたどり着きます。
中からは香ばしいコーヒーの香り。
啓太君のお顔がうれしそうにニッコリします。
だってこの香りは大好きなヒデ君がここにいる証なのです。


「うんしょ・・・」


再び一生懸命背伸びをしてドアノブに手を伸ばす啓太君。
中から微かに聞こえるのは紙をたたむ音、そして陶器がぶつかる音。

カチャ

微かな音と共にドアが薄く開いて更にコーヒーの香りが強く漂います。
ドキドキしながら啓太君が中を覗くと、朝の光が入る明るいリビングの中央にあるソファに座ったヒデ君が
真直ぐに啓太君を見ていました。

「どうした、啓太。今日は朝の挨拶はしてくれないのか?」


啓太君しか見ることの出来ない、啓太君の大好きな笑みを浮かべ軽く両手を広げるヒデ君。
うれしくて啓太君は駆け出します。

ぱたたた・・・

やはり大人にとっては数歩の距離を、軽やかに跳ねるように。
そしてヒデ君の腕の中に飛び込むと、

「ヒデ君、おはようです」

まあるいほっぺをぴかぴかさせてニッコリ笑顔でヒデ君の唇にちゅうをします。
するとヒデ君は寝癖でぴょんぴょん跳ねた啓太君の髪を撫で

「おはよう啓太、それから・・・誕生日おめでとう」

啓太君のほっぺにちゅうをくれました。
そしてそのまま耳に口を寄せ小さな声で囁きます


「                  」


啓太君はヒデ君にぎゅっと抱きつきとてもうれしそうです。

いつもと少し違う朝でした。




ヒデ君が何と言ったかは皆様で想像してください。
遅くなりましたが啓太君、誕生日おめでとう







いずみんから一言。

「あなたのななめ45°」さまが閉鎖されると聞いて、ブー子さまにお願いして
うちに飾らせていただけることになったものの。
作業をはじめてむっちゃ困った。

ちびのらぶりーさが再現できん……!

オリジナルでちびが見られなくなるのは損失だ、と、痛感しました……(涙)。


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