I love こまったちゃんv


入園式を翌日に、控えヒデ君とリビングで式の準備をしていた啓太君はあることに気がつきました。
「たいへん、たいへん!」
隣に座り持ち物リストと照らし合わせていたヒデ君の腕を引っ張ると、目の前にある制服を指し訴えます。
「啓太?」
何を慌てているのだろうと訝しげなヒデ君に啓太君はじれったそうに言います。
「お洋服が啓太の分しかないよ!ヒデ君のが無いの!」
明日なのにどうしよう、と啓太君はおろおろしています。
「通うのは啓太だけだからお前の分があればいいだろう?」
とりあえず落ち着つかせようと柔らかい髪を撫でながらヒデ君が言うと衝撃を受けたように驚きの表情を浮かべ
啓太君の動きが止まります。


「ヒデ君は行かないの?!」


啓太君の勘違いに今度はヒデ君の動きが止まります。
この場に哲君や臣君がいないことを幸運に思いながらヒデ君は啓太君に言い聞かせます。
「俺は昔行ったからもういかなくていいんだ。」
「・・・・・・・・・」
俯いたまま顔を上げようとしない啓太君の頬を持ってそっと顔を上げさせると、不満そうにぷっくり頬を膨らませ
恨めしそうにヒデ君を見ています。
そんな顔も可愛いなと思いながら更にヒデ君は言いました。
「送り迎えは俺がするが啓太が一人で通うんだぞ」
その言葉に見る見る涙を浮かべた啓太君。プイッと横を向き短くヒデ君の腕から逃れようと身を捩ります。
「やっ、ヒデ君が行かないなら啓太も行かないもん!」
そういい捨てるとバタバタと走ってお部屋に逃げ込みました。
「啓太!」
慌てて後を追ったヒデ君が啓太君のお部屋に入るとベッドの上にこんもりとお山が出来ていました。
小さくため息をつくとそっとお山の横に座り優しく撫でながら話し始めます。
「啓太、俺が好きか?」
頷くように動くお山。ヒデ君の口元に優しげな笑みが浮かびます。
「なら幼稚園に行ってくれ。でないと俺と一緒に暮らせなくなってしまうんだ」
「やだぁ!」
叫び声と共にお山が無くなりシーツの中から啓太君が出てきます。
大きなおめ目からポロポロと涙を零し、縋るようにヒデ君を見つめます。
そんな姿に心を痛めながら大きな手で啓太君の頬を伝う涙を拭い更に言います。
「ずっと俺といたいならいい子だから幼稚園に行ってくれ。でないと俺では啓太を育てられないと・・・・
あいつらに引き離されてしまうんだ。それでもいいのか?」


「やだやだ!啓太ヒデ君と一緒がいいもん!」


ヒデ君に抱きつきわんわん泣き出した啓太君。
小さな体をギュッと抱きしめヒデ君は啓太君が落ち着くのを辛抱強く待ちます。
そして嗚咽が収まる頃に再び聞きます。
「幼稚園、行くか?」
「・・・・うん・・・・」
悲壮感漂うその決心に啓太君の額と自分の額をくっつけニッコリ笑うと
「えらいぞ、啓太」
「ヒデ君・・・啓太悪い子?」
心配そうに聞く啓太君に、少し考えた後ヒデ君は首を横に振り
「ん?そうだな・・・・悪い子と言うよりは、こまった子だな」


「こまった子?」
不思議そうな啓太君の頬に唇を落としたままひっそりとした笑みを浮かべ
「ああ、この俺を振り回すなんて・・・・啓太しかいないぞ?」

何はともあれ明日は入園式!



2006年7月16日
タイトルから考えると
ろくな事がない気がする・・・
相変わらずヒデ君が嘘過ぎるにも
程がありますが許されますか?





いずみんから一言。

許されますとも!
と、思わず手をグーにして叫んでいました(爆)。
かわいいかわいいかわいい。と、100回言っても、ちびの可愛らしさを
表現するには足りません。
……伊住が表現することばを持たないだけなんですが(涙)。
伊住お気に入りの1本でした。


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