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甘いプレゼント 「さあ、終業式も終わったし、クリスマスパーティーを楽しんじゃお~♪皆、メリークリスマス!!始業式まで元気でね~。」 マイクのスイッチを切りため息をつく。 「なーにが、メリークリスマス・・だ。」 一人パーティーにも参加できず、こんなところで仕事中。 今頃啓太は、きっと皆と楽しんでるはずだ。 成瀬さんがケーキを焼くって張り切っていたし・・のど自慢大会をするのだと、王様は気合をいれて、ひばりちゃんを朝から歌いまくっていた。 「・・・まあ、いいや。仕事が終われば夜には逢える。」 いつもに比べたらよっぽどマシだ。夜には逢える。 夏休み中ずっと仕事だったあの悲惨な状況に比べたら、100倍ましだと本気で思う。 なのに・・・。 「なんでこんなに寂しいんだろうなあ。」 昔はこんなこと思ったこともなかったのに。 啓太の傍で同じ楽しみを得られない、そのことが寂しくてたまらない。 「失礼します、和希様。」 「なんだ?」 「はい。こちらの書類なんですが・・・。」 「ん。」 チクタクチクタク時計の針が進んでいく。 書類をどんどん片付けて、どんどんどんどん片付けて、そうしてやっと終わりが見えた頃、パーティーは終わりの時間を迎えていた。 「・・・・もう、こんな時間か・・。」 「和希様?」 「ん?」 ため息をついて壁の時計を見つめていたら、石塚がニコニコと現れた。 「なんだ?」 「お疲れ様でした。和希様。」 「ああ。お疲れ様。」 立ち上がり伸びをして、そうして煙草に火をつけてスッ~と肺に煙を吸い込む。 「和希様?可愛いサンタさんが見えてますよ。」 「可愛い・・サンタ?」 「ええ。さ、あちらのお部屋へどうぞ。」 「・・・?」 石塚に背中を押されてドアを開けると、真っ赤な塊がドンッと飛びついてきた。 「え?」 「和希!メリークリスマス!!」 ぎゅうっと細い腕が抱きしめる。そして俺を見上げる大きな瞳。 「け、啓太?」 可愛いサンタ??可愛い?か、可愛いよっ!!! 「ど、どうしたんだよ。その格好。」 可愛いけど、可愛いけど・・・・!! 「これ?これはね~。へへへ。見てよ和希。ほらのど自慢一等賞!」 「え?」 両手で、自慢気に見せるのは、「一等賞!!」と王様の字で書かれた賞状と。賞品の千葉の某遊園地のチケットと、ホテルの宿泊券。 「これね、明日限定のチケットなんだよ。凄いだろ?」 「凄いけど・・明日?」 仕事・・・だな。ああ、また・・・啓太をがっかりさせてしまう。 「そ、明日。和希休めるんだよね?さっき石塚さんに聞いたよ。」 「え?石塚?」 慌てて振り返ると、石塚がにこりと微笑んで頷いた。 「はい。和希様は、明日とあさってはお休みです。その代わりその後はびっしりスケジュールが詰まってますから、元旦もお仕事の予定が入っておりますし、勿論年末年始のパーティーもあるのですから、絶対体調崩したりなさらないで下さいね。駄目ですよ?和希様。浮かれて飲みすぎちゃ。」 「石塚?」 「可愛いサンタさんからのプレゼント。良かったですね。和希様。」 くすくす笑って一礼すると石塚は部屋を出て行った。 「和希、和希。ケーキ食べようよ。成瀬さんのお手製だぞ。すっごく美味しいんだから!!」 「これ、どうしたの?シャンパン・・・。」 「石塚さんからのプレゼントだって。」 テーブルの上にあるのは、クリスマスケーキと冷やされたシャンパンのボトル。 「座って座って。」 ソファーに座ってにっこり手招き。ああ、なんていうか顔がにやける。 「座ってはいいけど、そのサンタの衣装どうしたんだ?」 可愛すぎだよ。本当。 「これ?俊介が、これ着て歌ったら絶対一等賞取れるって言うから、頑張ってきてみたんだけどさ。だって一等賞になりたかったんだよ。チケット欲しかったんだよ。絶対和希と行きたかったんだ。絶対和希とクリスマスのパレード見たかったんだもん。」 歌わなくても、衣装だけでとれるよ。うんうん。 「でも、なんでこれで一等賞になれたのかが、すっごい謎。実は歌じゃなくて仮装コンテストだったのかな?」 「謎ってさあ。」 可愛いサンタの衣装。 赤い帽子に白い襟の赤いハーフコート。黒いロングブーツ・・はいいとして。なぜかズボンじゃなくショートパンツ。 太ももむき出しの、なんか妙にエロティックな雰囲気もあるような、ないような。 「啓太って・・・天然なのか計算なのかわかんないよな。」 「え?」 これって・・・自覚してやって・・・ないよな?だってウエディングドレスの時は本気で嫌がってたし。 「変?この格好。」 立ち上がって両手を広げてみせながら、啓太は首をかしげて俺を見つめる。 「いや、可愛いよ。子供のサンタみたいで。」 「だろ?俺も思った。へへへ。」 にっこりと笑う。やっぱり天然らしい。 上手く話を持っていったら、メイドの格好とか、バニーちゃんとかもしてくれないかな・・・いや、いっそふりふりエプロンだけとか・・・ああ、想像だけで顔がにやけるぞ。 「和希?」 「可愛いサンタさんだな。」 可愛い格好の啓太を抱っこして・・太もも触ったり・・したいよなあ。 「え?そうかな?可愛い?・・・可愛いのかなあ?」 「可愛い、可愛い。すっごく可愛い!!」 力説。したとたん、啓太の視線がキツクなる。 「なんか、和希にそこまで言われると、すっごい裏を感じる。」 ギクリ。 「あ、あのさ。俺ってさ・・・子供の頃、こういうの全部隔離されてたんだよ。」 「え?」 兎に角話をそらそう。うん。折角可愛い格好してるのに、機嫌損ねられたら困る。 「だから、なんか妙に好きなんだ。可愛いだろ?クリスマスの小物ってさ。」 「・・・和希。」 「だから、好きなんだ。サンタも。」 と言いながら啓太の腰を引き寄せる。 「ふうん?そうなんだ。ごめんね疑って。」 素直な子でよかった・・・。ほっとしながら微笑む。 「俺はね、小さい頃から母さんが、クリスマスって言うと張り切って、ツリーを飾って料理を作ってくれてさ。ケーキもクッキーも手作りしてさ。」 「うん。」 「いつもいつも楽しかったんだ。クリスマスってそういう日なんだって思ってた。」 「そうか。」 さっきのは冗談でも嘘でもなくて本当だった。 年末年始なんて、両親はあっちこっちのパーティーに義理で顔を出さなきゃいけないし、いつも以上に忙しくって俺の事なんて忘れ去られてた。 一人っきりのクリスマス。大きなケーキにご馳走があって、それを一人だけで食べる。プレゼントは沢山届くけど、そんなの開けたことなんかなかった。 欲しかったのは、笑顔と共に、ケーキを食べてくれる両親の姿・・・それだけだったから。 「じゃあ、啓太の両親寂しいんじゃないか?」 「う~ん。でもあさっては帰るし、大丈夫だって。それに一番大好きな人と過ごすから帰らないって言ったら笑ってたし。」 「え?」 一番大好きな人?それを親に言ったのか? 「俺も大人になったねってカラカワレた。」 「啓太。」 俺の事だよな?それ俺の事。 「へへへ。過ごしてくれるだろ?明日。」 「うん。もちろん。」 見つめるのは穢れのない瞳。 「メリークリスマス。和希。あ、イヴでもメリークリスマスでいいんだよな?」 「いいんじゃないか?メリークリスマス。啓太。」 可愛いサンタを膝に抱っこして、そうして甘いキスをする。 メリーメリークリスマス。大切な大好きな人。 「ケーキ食べようよ。和希用のケーキには苺大盛りにしてもらったんだぞ。成瀬さん大笑いして乗せてくれたんだから。」 「って?これえ?」 カットされたケーキの上には、これでもかとばかりに乗せられた、スライスされた大盛りの苺。 「そ、ほらほら、あーん。」 おおざっぱに手づかみで、啓太がケーキを食べさせてくれる。 「啓太クリームが・・ああっ。」 悲鳴を上げながら、ケーキを大口で頬張る。 「もぐもぐもぐ・・うん。うまい。」 あの人本当上手だな。 「だろ?・・俺もたーべよ。」 「だろ。って啓太・・・。」 そのまま食べてるし・・・うわ、クリームまみれの手になってるぞ? 「啓太、クリーム。」 ケーキをすっかり食べ終えて、啓太はニコニコ笑ってるから、俺はなんだか幸せな気分になりながら、クリームまみれの啓太の手を見つめた。 舐めたら怒るかな?エロ親父って怒るかな・・・? 「あ、本当だ。ぺろ。うん、甘い。」 って本人が、舐めてるし・・・よし・・いいよな。これは、自然な行為・・・うん、うん。正しい。エロクない。 「だーめ。」 「へ?か、和希?」 啓太を抱っこしたまま、啓太の手首をつかんで、クリームを舐めとる。 「和希・・・くすぐったい・・。」 甘い甘いクリームのたっぷり付いた啓太の指先を一本ずつしゃぶりながら、啓太を見つめると、啓太は耳まで赤く染めながら俺の顔を見つめていた。 「美味しいよ、啓太。」 「和希・・・くすぐったい。」 赤い頬、潤んだ瞳が見つめる中、俺はぺろぺろとクリームを舐め続ける。 「かず・・・ん。」 「美味しいよ。啓太。」 クリームを舐めながら、太ももに指先を滑らせる。ショートパンツの裾の隙間から、そっと指を滑らせる。 「くすぐった・・・ん・・・。和希?」 「いや?サンタさん。お仕事頑張った俺に、プレゼントくれないの?」 「プレゼント?」 「そ、啓太自身。もらっていい?」 啓太の耳たぶを噛みながら、囁くのはおねだりの言葉。 「・・・・うん。」 「啓太、好きだよ。大好き・・・。俺の可愛いサンタさん。」 耳元に囁きながら、可愛い衣装を脱がせていく。 「和希・・・。」 「最高のクリスマスだよ。啓太。」 クリームの味のするキスを交わしながら、俺は幸せなプレゼントに酔いしれていた。 メリークリスマス。幸せな時間を。 一番大切な人と共に・・・。 「大好きだよ、啓太。」 「俺も大好き。」 可愛いサンタは、俺だけのプレゼントだね。 メリークリスマス。 Fin ちょっとサンタの衣装を見て妄想に走って作ってしまったお話です。 会社の仮眠用のベッドに寝転がって、ノートにこそこそ書いておりました。 可愛い啓太サンタ・・・。クリームは是非エロエロで和希に舐めて欲しいと 思ってみたり・・・。 |
いずみんから一言 |
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