(タイトルなし)



 

 夜中にふと目を覚まして、隣に眠るあなたを見た時、何故だか急に泣きたくなった。
 隣にいるのに何故か遠くに感じて、手をほんの少し動かすだけで、あなたに触れられるのに、凄く遠く感じて、淋しくなった。
 中嶋さん、ずっと傍にいてもいいですか?あなたの傍に。
 これから先もずっと。
「好きです。中嶋さん大好きです。」
 小さな声でそう告白すると、俺は中嶋さんの頬にそっとキスした。
「何をしている?」
「な、中嶋さん起きてたんですか?」
「・・・・寝込みを襲うとは、いい度胸だな?それとも足りなかったのか?ほお??」
 中嶋さんの瞳が怪しく光るから、俺は慌てて否定する。
「足りてます!足りてます!十分です!!」
「・・・・ふん。」
「え?」
「夜中に騒ぐな莫迦者」
 抱き締められた。
「もう寝ろ。」
 もしかして、このまま寝てもいいの?抱き締められたまま?嘘・・・そんなの初めてだ。
「中嶋さん。」
「寝ろって言ってるのが分からないのか?」
「・・・寝ます。もう寝ます。でも、あの・・。」
「なんだ。」
「好きです。中嶋さん。大好きです。」
「・・知ってる。いいからもう寝ろ。」
「はい。おやすみなさい。」
 中嶋さんの腕の中で、俺はドキドキしながら眠りに付いた。もう淋しくなんか無かった。
 中嶋さん、大好きです。これからもずっと傍に居させてくださいね。



いずみんから一言

「まくら」と同じカテゴリの違うパターン、とでもいったところだろうか。
同じベッドで寝ているときほど相手を遠く感じることがある。
そのときの不安を、中嶋氏はいとも簡単に打ち破ってくれる。
啓太くんは愛されているなあと思う。
これもまた、とてもみのりさまらしい1本。

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