プレゼント 『あいつは優しいからな、だから(相手がどんな人間だろうと)傷ついてる人間には無意識に優しくしてしまうのだろう?・・臣。よかったな、中嶋よりも先に行動できて・・。』 親友の言葉が、こだまする。 「・・・あれ?珍しい、今日は一人なんだね。」 「岩井さん・・・ええ。郁はちょっと用事があって。」 「へえ。」 食堂は、結構混んでいた。 食事を選び、トレイをかかえ、席を確保する。 「あれ?そこ・・。」 つい習慣で、郁の分の席まで確保してしまっていた。 「ああ。これはいいんです。」 「?ああ、啓太か。」 「・・・・。」 約束はしていないけど、啓太もそろそろ来る時間ではある。確保していても間違いじゃないはずだった。 「そういえば、啓太と遠藤が、体育祭の賞品なんだって?」 告知してから一週間、そりゃ回りも大騒ぎになってる。 「そうらしいですね。」 「余裕だな。さすが、スポーツも得意なだけはある。」 人のいい笑顔を浮かべ、岩井がそういって、コーンポータジュを飲み込んでいる。 「・・・。」 体育祭の結果より、郁の言葉、それのほうが気になっていた。 「啓太は人気あるからなあ。個人優勝して、一日独占して、それをきっかけに仲良くなりたいって人間も多いだろうね。」 「そうですね、迷惑な事です。」 「まあ、いつもは、学生会や会計部の人間と一緒で、離す事も出来ないって人間が多いんだから、ムリはないだろう?まあ、七条も、そのあたりは理解してやらないと。」 「・・・そうですね。」 理解なんか出来るはずがない。啓太は僕の大切な恋人だ。他人になんて、一秒たりとも貸したくはない。 「ま、それもムリな話か。俺だって、もしも啓太が恋人なら、そんなこと許せないしな。」 「でしょ?ムリを言わないでください。」 「・・・・くす。そうだ・・・お、噂をすれば。」 「え?」 啓太だ。 ++++++++++ 「だから、あれは別に・・・。」 「いいやんか、教えてくれても。なあ、なに送ってきたん?後で部屋に見に行ってもええ?」 「見せるようなものなんて送ってきてないから。」 食事のトレイを用意しつつ、俊介と、理事長と、成瀬に囲まれ、啓太がにぎやかに騒いでいる。理事長と成瀬仲直りしたのだろうか?いや、あの二人は、啓太を間にはさんで、いつもあんな感じだったっけ。 でも、楽しそうだ。自分といるよりも、なんだかとても楽しそうだ。 「だから・・・。」 「ハニー僕にも内緒なのかい?」 「全然大した物じゃないんです!!」 何の話だろう。 「もう、詮索しないでください。困ったなあ。」 そういいながら、啓太はニコニコと笑っている。 笑顔なんか、他の奴に見せなくていい。僕だけに笑ってればいいのに。 「・・だいたい、あ、七条さん!!」 「伊藤君。遅かったですね。」 「え?啓太?七条さんと待ち合わせしてたの?」 理事長の姿久しぶりに見たな、そうだ、あの会計室の一件以来だ。 「え?・・・・あ!!うん。そう。七条さんごめんなさい。」 「?」 「ハニー?」 「・・・・・・あ!!あの。あの。七条さんの荷物、さっき間違えて持ってきてて、俺、それ持ってこようと思ってたんですけど・・・あの・・・。」 なんでしょう?言い訳?だれに? だいたい、今日は初めて啓太と逢うのに。 「啓太?」 理事長が、じっと啓太と僕を見比べている。 荷物なんかないはずだ、でも、話をあわせたほうが良さそうですね。 「ああ、あれですね。じゃあ、取りにいきますよ。」 「じゃあ、あの・・・。」 なんだろう?困った顔して。・・・とりあえず二人っきりになったほうがいいのかもしれない。嘘をつくのが下手な啓太。理事長にはしっかり嘘だってばれてるみたいだし。 「じゃあ、食事は伊藤君のお部屋でとりましょうね。」 にっこりと笑い立ち上がる。 「え〜?」 成瀬のブーイングはとりあえず、無視して。 「啓太?箱の中身は?あ、後で部屋にいく・・・。」 「え?だ、駄目だよ!!」 慌てる啓太の様子に、要するに、部屋に来て欲しくないんだなって事が、わかったので。 「だめですよ。これから、僕たちはloveloveタイムなんです。邪魔はしないでください。・・・ね、伊藤君。」 背中に黒い羽根をはためかせ言い聞かせれば、素直に口をつぐんでしまうから、トレイを持って立ち上がる。 「行きましょうか?伊藤君」 「はい。」 ほっと安心したような、啓太の顔に、みょうな優越感を感じながら、啓太の部屋までの階段を登りだす。 「ありがとうございます。話をあわせてくれて。」 「いいんですよ。滝君となにかあったのですか?」 「あったっていうか・・・寮に戻ってきたときに、ちょうど、俊介も入り口近くにいて、俺が家からの荷物を受け取るのを見られちゃって。」 「荷物?」 「ええ、それで中身はなんだ?教えろ教えろってしつこくて。」 「そうですか、滝君も子供ですね。」 荷物・・・そんなに隠したくなるようなものなのだろうか。なんなのだろう。 「どうぞ。」 「お邪魔します。」 「よかったです。臣さんに逢えて、すごく助かっちゃいました。ふふ、俺ってやっぱり運がいいかも。臣さんに部屋に来てくださいってメールも打たずにすんだし。」 「メール?」 「はい、ちょっと見られると困るものなので、俺が部屋から持ち出すのはちょっと。」 「荷物と、僕と何か関係があるんですか?」 家からの荷物って言っていたのに。一体・・・。 「へへ。とりあえず、ご飯食べちゃいましょう?」 「そうですね。」 気になるけど、そう詮索するのも悪いですし。僕に見せるっていうなら、大人しく待つべきですよね?啓太に詮索好きで嫌われるのは嫌ですし。 「あ、臣さん。から揚げ持って来たんだ。いいなあ。」 「啓太はとらなかったんですか?」 「だって、俊介が全部取っちゃうから。」 プンと膨れて、可愛くすねている。 「じゃあ、はい。」 「え?」 「あーん。」 「・・・・・。」 「早く。あーん。」 照れてる顔も可愛いですね。 「・・・・あーん」 それでも、から揚げの魅力にまけたのか、テレながらも大きく口を開いてくれるので、その可愛い口にから揚げを食べさせてしまう・・・なんてなんて幸せなんでしょう。 「ふふふ。これからは、いつもお部屋で食べましょうか?」 「え?」 「そしたら、いつもこうやってloveloveにご飯が食べられます。」 「え?駄目です!!」 「残念ですねえ。」 だいたい、食事って動作は、どうやってもエロティックなものだし、あんまり可愛い啓太のその顔を他人に見せたくはないのですがね。 「臣さんってば、もう。」 「くすくす。冗談ですよ。啓太がお友達と仲良くする時間まで邪魔したりしませんよ。」 「・・・・・」 「啓太?」 「邪魔じゃないです。」 「え?」 「邪魔じゃないですけど。でも、そんな事したら、俺、西園寺さんを差し置いて、臣さんを独占する事になっちゃうじゃないですか。そんなの駄目です。」 「くす。郁はそんな事で淋しがったりはしないですけどね。でもありがとうございます。郁を思ってくださって。」 「・・・。」 「うれしいですよ。啓太は優しいですね。」 溜息が出そうになる、本当に啓太は優しすぎる。自分以外の人間にまで、思いを掛けすぎるのだ。そんな事してほしくはないというのに。 「優しいとかそういんじゃないんです。ただの自己満足。だって、俺、西園寺さんと居る時の、臣さんの顔好きだから。」 「でも、一番好きな顔は、こうして二人で居る時。そうですよね。」 「え。」 真っ赤になり、下を向いてしまう。可愛い。 「違うんですか?淋しいですね。」 「え?あの・・・そうなんですけど。そうやって言われると照れます。」 「ふふ。嬉しいですよ。啓太。」 ああ、啓太とふたりっきりなら、自信が持てるのに。 啓太に愛されてるのは自分だと、自信が持てるのに。 「そういえば、理事長は元気になりましたか?」 抱き締めたい衝動に駆られて、慌てて話題を変えてしまう。 いつでも、どこでもベタベタする人間と思われたくなかった。また、体だけなんて、思い始められるのはたまらなかった。 「え?大丈夫?かなあ・・わかりません。」 「話したんでしょ?あの日。」 探るように視線を合わせる。 あの日から、何かが変わった気がしてしょうがなかった。はっきりと何が・・と言い切れない、だけど何かか確実に変化している気がしていた。 「・・・・・し、したけど、本当の気持ちは俺にも話してくれないから。」 それは気のせいじゃないらしい、啓太の態度でそれを確信してしまった。 「そうなんですか?」 「やっぱ、子供だと思ってるのかも。」 「そんなことありませんよ。」 相手が啓太の親友だから、だから啓太は親身になっているのだ、それは分かっていた。 「俺凄く心配してるのに。和希のこと。だって、あいつは俺にとっては大切な親友だし。」 でも、それでも理解と納得は違うのだと、思う。 「そうですね。」 うなずきながら、笑いながら、心臓が締め付けられるように痛くなる。 「傲慢なのかな?親友だから、大切だから、なんでも話しして欲しいなんて。」 醜い嫉妬で、胸が痛くなる。 でも、君はそんな事思ってもいないんでしょうね?啓太。 「そんな事ありませんよ。」 これ以上この話を続けていたら、嫉妬で何を言い出すか自分でも分からない。 「・・・はあ、ごちそうさまでした。」 「ごちそうさまでした。」 「美味しかった。」 「ふふ、紅茶入れましょうか?」 「いいんですか?」 「ええ、もちろん。」 なんとなく、顔を見られたくなくて、笑ってそう言うとポットのほうに歩く。 「食後だし、あっさりとしたものが、いいですね。」 僕が、啓太の部屋に来るようになって、啓太の部屋には、紅茶の種類が増えた。 「はい。」 トレイを廊下の回収ボックスに持っていくと、啓太は机の上に乗ったままの小さな段ボール箱から、品物をとりだした。 「なんですか?それが見せたかったものですか?」 温めたカップに紅茶をそそぎ、テーブルに運びながら、首をかしげる。 可愛い缶。なんでしょう? 「これは、おまけです。いかがですか?」 缶の蓋を開く・・と中からは、美味しそうな、クッキーが出てきた。 「こっちはね、マドレーヌです。クッキーは妹の手作り。マドレーヌは母さんの手作りです。美味しいですよ。」 「へえ、いいですね。」 滝君に見せたら確かに一瞬でなくなりそうですけど、それを惜しむ啓太じゃないでしょうに・・なんでしょう? 「じゃ、どうぞ。」 缶ごとテーブルにおいて、にっこりと笑うと、もう一つ、箱から取り出し始めた。 「でね、臣さんに見て欲しかったのは、これです。」 「?」 「・・・前に、俺の小さい頃の写真見たいっていってたでしょ?」 「ああ、そういえば。ちょっと前に。」 「母さんに電話した時、そんな話をしたら、アルバムから、何枚か剥がして、ミニアルバムを作って送ってくれたんです。」 「へえ。」 汚さないように、手をティッシュで拭いてから、ページをめくる。 「・・・可愛い。」 オムツをして、きょとんと大きな目を見開いている啓太。 「恥ずかしいけど。」 あれ?でも・・・確か、アルバムは絶対恥ずかしいから、嫌だって。 「・・・ふふ。可愛いですね。どの啓太も。」 母親に抱かれてる啓太。幼稚園の制服をきて、ブランコに載っている啓太。 「たぶんね、和希と初めてあったのってこの頃だったと思うんです。」 「へえ、こんなに小さな頃から?」 「ええ、俺記憶力ないからあんまりはっきり覚えてないんですけど。でも和希が遊んでくれて、俺凄く嬉しかったんです。」 ふにゃりと笑いながら、紅茶を口にする。 「へえ、こんなに小さな頃から。」 大きな瞳、愛らしい唇。小さな手。あの人は、こんなにも可愛い啓太を記憶しているというのだろうか? ・・・・そんな事許せない。とてもずるいと思う。 「・・・・。」 「臣・・さん?」 「ずるいですね理事長は。」 「え?」 「啓太とこんなに昔から知り合っていたなんて、君と・・・。」 運命だと、きっとあの人は思ったはずだ。大切な記憶。それを忘れられずに啓太をこの学園に呼んだ。傍に居たくて、傍に居て欲しくて。 「え?」 「ずるいです。僕のほうが先で逢いたかった。啓太の幼馴染としてずっとそばに居たかったです。啓太?悔しいです。」 誰よりも先に啓太を知りたかった。傍にいたかった。 「・・・恋人だけじゃだめですか?」 「だめ・・・じゃありません。でも、もしも啓太が一緒にいてくれたら、僕はもっと素直な人間になれていた気がします。」 「臣さん?」 「ふふ、我儘ですね。今の啓太も過去の啓太も全部欲しいなんて。」 「・・・我儘じゃありません。」 「え?」 「あのね。過去の俺を貰って欲しくて、これ送ってって頼んだんです。」 「?」 「アルバム。貰ってくれませんか?臣さん。」 「頂いていいんですか?」 「はい。」 「うれしいです。」 「あ。でもお願いがあるんです。」 「なんでしょう?」 「これのことは、二人だけの秘密にしてください。」 「え?」 「小さい頃の写真。臣さん以外に見られるの恥ずかしいから。・・・和希はもしかしたら何枚か俺の写真持ってるかもしれないけど、でも他の人に見せたりしないと思うし。あんまり見せたくないんです。だから、内緒にしてくださいね。」 「内緒?」 「はい。だって、恥ずかしいんですもん。もう、俊介が見せろって言ってきた時どうしようかと思ったんですよ。俺。」 「・・・僕には見せていいんですか?持っていていいんですか?」 「臣さんだから、持ってて欲しいんです。」 「僕だから?」 ++++++++ 「なあ、啓太の小さい頃ってどんなんやったん?」 啓太と付き合う少し前、食堂で啓太と俊介と成瀬がそんな会話をしていた。 「え?俺の子供のころ?」 「そうそう。」 「見たいみたいよ。ハニー家から送ってもらってよ。」 「嫌ですよお。恥ずかしいもん。」 「ええやん。」 「やだよ。絶対に。やーだ。」 そばにいて、啓太がそうやって笑ってくれる事が少なくなっていた頃だったので、啓太が自分以外に無防備に笑っているのをみているのがとても辛かった。だから、それを思い出して、言ったのだ。 「啓太の子供の頃の写真が見たいです。」 そうお願いしたのだ。あの時啓太は、恥ずかしいから・・・とイエスともノーともとれる返事しかしてくれなくて、やっぱり僕は淋しい思いをしたのだ。 ++++++ 「臣さん?」 「ふふふ。内緒にします。郁にもだれにも見せたりしません。誓います。」 これは啓太の気持ちの証。 「もちろん、鬼畜眼鏡さんにも。」 「もう、またそんな悪口言って。」 「啓太?そんな事いいますけどね。本当にあの人は鬼畜なんですよ?」 「・・・そうかなあ?なにか誤解があるだけだと思うけど。」 「甘いです。」 「甘いのかな。俺、助けてもらった事があるし・・仕事は厳しいけど。でも、それは当然の事だと思うし。」 「助けてもらった?」 「はい。俺ね、ここに来たばかりの頃、何回か知らない先輩に呼び出されて、無理矢理人気のないところに連れて行かれそうになったりとか、良くあったんです。」 「え?」 「それを、何回か、中嶋さんが見つけて、助けてくれたんです。」 「あの人が?」 まさか、その後いたずらされたりとか・・・。 「今は、俺、臣さんと付き合ってるって広まってるから、そう言うことなくなったけど。あの頃、本当に良くあったので・・・中嶋さんに良く怒られてました。うかつに一人で行動するんじゃないって。」 「そんな事があったんですか?」 「はい。だから、それがきっかけでたまに学生会のお手伝いするようになったんです。」 「・・・・。」 「そのせいか、俺には皆が言うような悪人には思えないんです。もちろん、恐い人だなって思ったりは、時々するけど。でも、本質的に悪い人じゃないと思うんです。」 「・・・・。」 「俺ね、やっぱり中嶋さんの好きな人は、臣さんだと思うんですけど。」 「どうして?」 「・・なんとなく。臣さんと話してるときの中嶋さん凄く楽しそうだから。」 楽しい?あれが? 「臣さん。俺より中嶋さんの事好きになったりしないでくださいね。」 「当たり前です。」 「・・・良かった。」 「啓太もですよ?」 「え?」 「中嶋さんを好きになったりしないでクダサイね。」 「しませんよお。」 「どうしてそういいきれるんですか?」 危ないところを助けられたりしたら、好意を持ちやすくなるだろう?一種のつり橋効果だ。違うのだろうか? 「だって、俺、臣さんに一目ぼれだったっていいませんでした?」 「聞いたことありませんよ。」 「え〜そうなんですか?俺言ってたと思うけどなあ。俺ね、臣さんと始めて逢ったときに、運命を感じたんですよ。本当ですよ?」 「え?」 「俺ね、スッゴク鈍いですけど。そういうのだけは解るんです。自分の運命の変わる瞬間っていうか、なんていうか・・・旨くいえないけど。臣さんを見た瞬間に思ったんです。俺、この人に出会うために、この学園に来たんだって。わかったんです。」 「啓太?」 「でも、臣さんの隣には、西園寺さんが居て、俺の居場所なんか何処にもなくて、凄く淋しかったんです。ホントはね、ずうずうしいけど、臣さんは俺のなのに、どうして俺は近くにいられないんだろうって。いつも思ってたんです。」 「本当ですか?」 「・・・怒っちゃいました?」 「いえ、とんでもない。」 嬉しい。啓太が、そんな事を思ってくれてたなんて。 「じゃあ、もしも、僕が告白しなくても、啓太から言ってくれました?」 「・・・それは・・・してないかも。」 「どうして?」 「だって、ずっと本当に、西園寺さんだけが大切なんだって思ってたから。俺の気持ちを言ってしまったら、臣さんが困るって思ったんです。臣さんは、俺にとってもよくしてくれるけど、もしかして好かれてるのかもって思ったりもしたけど、それは俺が、臣さんを好きすぎてそう思うだけなのかもしれないって。」 「啓太。」 「都合よくいいほうに勘違いしてるだけなんだって、思ってました。ずっと。」 「・・・・啓太。」 よかったな、臣、お前の行動が早かったから、啓太をものに出来ただけかもしれないぞ。 郁の言葉がリフレインする。 「もしも、他の人に告白されてたら?僕が告白しないまま、中嶋さんとかに告白されてたら?どうしました?」 「それでも俺は、臣さんだけを思ってたと思う。無駄だって思っても、きっと。」 「・・・良かった。ちゃんと告白して。」 「はい、良かったです。俺も、臣さんが告白してくれて。」 にっこりと啓太が笑う。 「アルバム大切にしますね。」 「はい。」 「宝物にします。大切に。けして誰にも見せたりしません。」 「はい。臣さん。嬉しいです。」 「啓太。愛してます。」 他人に笑う啓太を恨めしく思うのはやめよう。 「啓太。」 だって、啓太はいつだって、僕の事をこんなにも愛してくれている。 「臣さん大好きです。俺・・・・・・愛してるのは臣さんだけです。ね、何があってもどうか、それだけは忘れないで下さいね。俺、臣さん・・・ごめんなさい。でも俺、本当に臣さんの事だけが・・・。」 「僕のほうが大好きですよ。」 自信を持とう。啓太の気持ちは僕だけのものだと。けっして、惑わされない。 僕だけのものだと。自信をもとう。 「愛してます。啓太。」 それでも、やきもちを焼くのだろうけれど、独り占めしたいと、思うのだろうけど。 疑ったりしない。啓太の心を。 「愛してます。啓太。」 君と出会えて本当に良かった。 fin 会計部室から、和希と啓太が出て行った数日後の話です。 なんだかねえ、七条さんがウジウジな感じで嫌なのですが・・。 そして俊介の話し方は、まあイメージで・・(^_^;) |
いずみんから一言 |
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