心理テスト 「なあ?ヒデ?」 珍しく王様の居る、学生会室。俺は、指示された書類を必死に、パソコンに打ち込んでいた。 「なんだ?」 「あのさ、質問。」 「どの件だ?」 「そうじゃなくてさ。え〜と、目の前に、ガラスのコップがあります。さて、水はどのくらい入っているでしょう?」 「あ!!」 「どうした。啓太。」 「あ・・あの。打ち間違えました。」 「・・・。」 王様、中嶋さんに何聞いてんだよぉ。 「ほら、ヒデ答えろって。」 「・・・それはなんだ?」 「ふふふ。心理テスト。でも何のかは教えない。」 「・・・心理テスト?くだらん。」 「くだらなくないって。啓太なんかさっきお前が来る前に、同じのやってさあ、すっげー当たってるって言ってたし。」 「お、王様!!」 ひどい〜内緒にするって言ってたのに。 「ほお?」 「だから、な?ヒデもやろうぜ。」 「あいにく、そういうのは信用してないんでね。」 「でも当たるぞ?」 「はん。天気予報だって当たる確率は未だに半々だってのに、そんな物当たるわけがなかろう?ばかばかしい。」 やっぱり、中嶋さんは占いとか、こういうの信じない人なんだ。 「いいじゃん、信じてないなら、遊び遊び。」 ニヤニヤと笑いながら、王様は無理矢理中嶋さんに問題を出し始めた。 「・・・・。」 王様の莫迦。そんな事中嶋さんに聞いたって、答えなんかわかってるのに・・。 「ほら、水はどのくらい入ってる?」 「あふれるくらい。・・・いや溢れ出してるな。」 だから・・え?溢れ出してる? え?ええっ。・・・・・うわああ。 「ふうん?じゃあ、突然大地震が来ました、さて、そのコップの水はどうなったでしょう?四択な。えっと。」 「床に落ちて、粉々、水浸し。」 粉々・・・水浸し・・・それって、それって・・・!! 「四択だって言ってんだろ?」 「大地震だろ?コップなんて倒れるに決まってるし、この高さなら、落ちたら割れるに決まってるだろうが?」 どうしよう。俺なんかうれしくなって来ちゃったぞ? 「・・だから、一応四択だって。落ちてコップが割れる。落ちてヒビが入る。倒れて水がこぼれる。そのまま。」 「だから、粉々、水浸し。」 「・・・解ったよ。確かにこの心理テスト当たってる。」 「ほお?」 「なにをテストしたかわかるか?」 「さあな。」 「実は、水の量は、『相手を夢中にさせてる自信がどのくらいあるか。』で、地震は『相手が、浮気した時の、嫉妬の目安』だそうだ。」 そうそう、嫉妬だよ?嫉妬!! 「ほお?どういう意味だ?」 「ん〜と、水が多いほど、相手が自分にベタ惚れって、自信持ってるってことだろうな。少ないほど、自信がないってことかな?ってことで、コップのほうは、床に落ちて割れるが、浮気は絶対許さない、どころかデート中の余所見も絶対禁止の独占欲人間。ヒビが入るが、表面では、浮気OKといいながら、静かに怒って仕返しするタイプで、倒れて水がこぼれるが、浮気一つで、精神ズタボロ相手を責めるより自分をどんどん責めて落ち込むタイプ。で、最後が浮気されても平然タイプだそうだ。どうだ?」 「・・・ふうん?」 「粉々水浸しって事は、それより独占欲が強いって事だろ?」 「・・・当然だろう?そんなもの。」 当然。当然なんだ。どうしよう、嬉しくて顔が笑っちゃうよぉ。 「・・・・ふうん?・・・啓太?当たってるだろ?だからあ。」 「中嶋さん。俺嬉しいです!!」 立ち上がり、中島さんの目の前まで走っていく。 中嶋さん、俺を独占したいって思ってくれてたんだ! 俺に嫉妬してくれるんだ!!! 嬉しくて抱きついちゃう。 「なんだ?どうしてそうなるんだ?」 「え?なんですか?王様。」 「こんな、我儘の独占欲の塊より、俺のほうがいいって。な。」 「え?」 抱きついたまま、固まってしまう。王様何言い出すの? 「どうせ啓太は。水は、ほんのちょっと、それでも地震で倒れてこぼれちゃうんだろ?だったら、俺にしとけって。俺なら浮気なんてしないから。」 なんで、ここでそれをばらしちゃうのお? 「ほお?ほんの少しか。」 「あ・・・あの、中嶋さん?」 どうしよう怒っちゃった?どうしよう。 「それが啓太にとって、当たってたって事か?ふうん?」 いいながら、俺の腰を引き寄せ、逃げ出せないようにする。 がーん!嫌な予感。 「・・・だって、だってえ。王様のばかぁ!!嫌いです!!」 酷いよ。王様内緒って言ったのにぃ。 「け、啓太。」 「王様なんか、大嫌いです。プン!!」 「き・・・大嫌い・・・。」 「おい?哲?どこに行く気だ?」 よろよろと立ち上がり、王様が部屋を出て行く。 「王様?」 「・・・ったく。自分でふった話題の癖に。」 苦虫をつぶしたような顔で、中嶋さんは、ドアを見つめてる。 「これでまた仕事が遅れるな。」 「すみません。」 どうしよう。俺が嫌い!!なんて言ったせいだ。 「・・・まあ、いい。で?啓太?」 「はい。」 「お前は、さっきの答えでいいんだな?」 「え?」 「・・・・ふうん?」 すでに、抱っこの状態。うわん。逃げ出せない。 俺の、答え、なんかまずかった? あ・・やっぱり、浮気にショック受けるって良くないのかな? 中島さん束縛とか嫌いそうだし。 ああ、どうしよう。でも、浮気okなんて思えない。 そんなの哀しすぎるよ〜!! 「まあ、いい。」 「・・・あの。」 「お前らしい答えだな。心理テスト当たってるかもな。」 「そうかもしれません。」 中嶋さんのほうだけでも、本気で当たってて欲しい。 当たってたら嬉しいな。当たってるよな?うん。俺中嶋さんにベタ惚れだし。 だから、独占したいって思ってて欲しい。 俺、浮気なんか絶対絶対しないよ。ね、だから中嶋さん、俺を独占してよ。 「なあ?啓太?あの心理テスト。相手はお前だと思うのか?」 「え?・・・ち、違うんですか?」 そんなあ、そんな事考えもしなかった。 「中嶋さん、他にもそう思う人がいるんですか?」 どうしよう。俺鈍すぎて、気が付いてなかった?どうしよう、二股?え? 二股なんて浮気以前の問題じゃないか。 それに、それに・・中嶋さんが心理テストでそっちの人のほうを思い浮かべたってことは、俺のほうが二番目? そんな・・・どうしよう。 そうだよな・・俺頭悪いし・・・格好良くないし・・・・。 二番目?どうしよう。涙出てきちゃった。うわああ。 「・・・ククク。本当に当たりみたいだな?」 「え?」 当たり?それって俺の心理テストのこと? 「相手はお前だ。」 面白そうに、口の端だけ上げて、中嶋さんは笑ってる。 「・・・もう。」 「それよりも、いいのか?啓太。鍵を閉めなくて?誰かがドアを開けたら、恥ずかしいのは啓太じゃないのか?」 「え?」 「抱っこされて。こんな乱れた格好で。ククク。俺はかまわんが?」 「え?乱れた?・・・・あ、中嶋さん駄目ですぅ。」 いつのまにか、シャツがズボンからひきだされて、ボタンはずされてる。 「お仕置きだ。」 「え?」 「鍵を閉めて来い。」 「・・・・。」 お仕置き・・・なんの? 「お前は自信がなさすぎる。ほら、鍵を閉めてこい。」 自信がなさすぎ? 鍵を閉めながら、言葉の意味を考える。 それって心理テストのことだよね?つまり、自信をもつってことは? 「・・・中嶋さん。大好きです!!」 思われてるって自信を持てって事だよね。 嘘みたい嘘みたい嘘みたい。 「うるさい。耳元で騒ぐな。」 「だってえ。」 大人しく鍵を閉めて、再び抱きついて、じっと見つめる。 「黙ってろ。お前の声はでかすぎるんだ。」 愛されてるって自信持っちゃいますよ?いいんですか?中嶋さん。 コップの水、俺も溢れてるって言っちゃいますよ? 「・・・・スキです。」 嬉しくてそれだけ言って、後は大人しくお仕置きを受けた。 へへへ。 今までで、一番甘い御仕置きだった。 Fin 心理テスト、随分前に聞いたものなので、答えが若干違ってるかも(オイッ!) 書きながら、七条さんバージョンも思いついたので、書いてみました。 これも、「あまあまハニー」様に投稿したものに加筆してます。 しかし、私の書く王様ってちっとも格好良くない、どちらかと言うと三枚目な感じ。 いつか、王様が大活躍する話を書いてみたいなあ。 |
いずみんから一言 |
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