最高の笑顔 〜20のお題〜



 白い服を着て歩く君の顔が綺麗だった。
 少し俯いて歩いていく横顔が綺麗だった。

 大きくなったねと思う自分がおかしいね。
 これって父親の様な気持ちなのかな?
 俺、啓太に父親みたいな感情ももっていたのかな?

 小さな頃の君は可愛かったね。
 大きな瞳で俺を見上げて。
 小さな手を俺に必死にのばして。
 あの頃の君は可愛かった。

 誓いの言葉。誓いの口付け。
 賛美歌を歌い。愛の儀式は終わる。

 あの男の隣を歩く君は嬉しそうに微笑んでいた。
 幸せな笑顔。
 綺麗だなと、そう感じた。


 式が終わり外に出て、中嶋と共に家族に囲まれ笑う君に近づく。
「啓太?」
「あ、和希。へへへ。なんか変な気分。」
「おめでとう啓太。」
「うん。ありがとう。和希に言ってもらえるのが俺、一番嬉しい。」
 笑う啓太の左手に光る指輪。
「幸せになるんだぞ。」
 言いながら、中嶋となら幸せになるに決まってる。と素直に思えることが嬉しかった。
「幸せだよ。俺。」
 頷いて啓太は隣に立つ中嶋の顔を見上げ微笑んだ。
「英明さん。俺ね凄く凄く幸せです。」
 見つめあいながら笑うその顔が、とても綺麗でまぶしかった。





いずみんから一言


……白状しようか。
伊住は、もしみのりさまが一時退院できるようになったら、彼氏と入籍
するんじゃないかと、実に勝手な想像をしていた。
体調がよければお式だって挙げるかも、と。
だって8年(いや。9年かも)も付き合いつづけた彼氏なんだもの。
そうなったらみのりさまが抵抗しようと恥ずかしがろうと、何があっても
お祝いに駆けつけるつもりでいた。披露宴に出たりするつもりはまったく
なかったが、ライスシャワーを浴びせてお祝いが言いたかったのだ。
本当に。今となってはなんて勝手な思い込みをしたものかと思う。
そしてまた涙があふれ出る。

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