無題 4 〜拍手用ノートより〜



こたつに蜜柑。
さむ−い外から帰ってきてさ
あったか−いこたつに入ってさ
足がぬくぬくで幸せ。
ストーブなんかもついててさ
背中も顔もぽっかぽか
そして蜜柑をぱくっ食べる
ぬくぬくの体に蜜柑
お茶なんか飲んでさ、またぱくっと蜜柑
ささやかだけどほっとするんだよね−。


なんて話は英明さんにしたことなかったけど
今の状態はまさにそんな感じ。
蜜柑じゃなくてお酒だけどね。

父さんがにこにこ
母さんもにこにこ

昔使ってた正方形のこたつじゃなくて、長方形の大きなこたつ。
こたつの上には、お酒と母さんの手料理が並んでる。
英明さんは慣れた感じでクイクイとお酒を飲んでいる。
父さんは真っ赤な顔でにこにこしながら飲んでいる。

それはちょっと不思議な光景。
和希に話したら、きっと変な顔するだろうなって感じ。
出会った頃には想像も出来なかった事。

こたつに蜜柑は子供の頃の幸せな記憶。
こたつにお酒は今の幸せな暮らし。

年取るのも楽しいですね。なんて言ったら英明さんは笑うだろうなあ。
こんなのが嬉しいなんて変だって言うだろうなあ。



それでも幸せ。これはささやかな幸せ。





いずみんから一言

これもまた伊住では絶対に書けないお話。
そもそも今までの人生で家にこたつなんてなかったし、蜜柑が嫌いで
自分の意志で食べたことがないんだからこういう発想は出てこない。
だがみのりさまは違う。
ここで書かれているのはおそらくみのりさまのご実家での風景だろうが
それはなんと暖かい空気に満ちあふれていることか。
これは「ささやかな」などではない。とても大きな幸せだ。
そして中嶋もまた、それを感じているのに違いない。

あ。これ「拍手用」ってしちゃったけど、もしかしたら違うかもしれない。
汗。汗。汗。

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