戯れの言葉 〜20のお題〜 



「ねえ、和希ぃ?俺達友達で終わる可能性もあったのかな?」
 なんて言ったら和希が泣いた。
 目を赤くして、じっと俺を見ながら、ちょっとだけ泣いた。

 ふと思いついただけなんだ。
 だから言ってみただけ。
 ベッドの中で抱き合ったままで言うことじゃなかったかな?と後悔したのは和希の涙を見た後だった。

 散々色々した後で幸せというか甘いというか・・な余韻にひたりながら思ったんだ。
 和希と友達で終わる可能性もあったのかなって。
 すでに付き合ってるんだから今更なんだけど。
 でも、もしもそうだったら辛かっただろうなって思ったんだ。

 友達なんかじゃ我慢できない。
 和希は信用してないみたいだけど、俺和希にはまってるんだもん。
 でも、俺が望まない未来に進む可能性も、もしかしたらあったのかもしれない。
 そんな事思ったらなんだか不安になってきて、だからつい言っちゃったんだ。
 笑って否定して欲しくって。
 なのに俺より更に動揺されたら「ごめんね」って謝るしかない。

「ごめんね。和希。」
 和希の髪を撫でながら謝って、ちゅっとキスをする。
 見つめあいながらキスするのって俺は凄く好きなんだ。
 ぎゅうって抱きしめられるのも好き。

 望む形で否定してはくれなかったけど、今とは違う未来を拒否してくれた事が嬉しくて、俺の機嫌はかなり良かった。
「和希。好きだよ。」
 俺の事好きになってくれてありがと。
 心の中で言いながら、何度も何度もキスをした。





いずみんから一言

「目が赤い」の啓太君サイド。
もしあのとき。あれを選ばずにこれを選んでいたら。
あのとき。 Yes と言わず No といっていたら。
今、自分はいったい、何をしていただろう。
人生はそういう選択の繰り返しだ。
どれもこれも全部自分が選んできたことなんだけど。
きっと啓太くんも和希も、自分の選択に間違いはなかったと、
そして相手がそれを選択してきてくれてよかったと、
そう思ってるんだろうなあ。
それってとっても幸せな人生だってことなんだよ。

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