無題 4 〜拍手用ノートより〜



 雨の中ずぶぬれのまま歩いてたら急に悲しくなっちゃって、部屋に着くなりお風呂に入って少しだけ泣いた。

 傘が無くてさ
 どしゃぶりでさ
 走る気にもならないくらい凄い雨
 土曜日の午後
 いつもなら二人の部屋に一人だけ

 雨の日って嫌いじゃないよ
 でもさぁこれはちょっとあんまりだよね?

 部屋にひとり
 和希が帰るの夜中だし
 ひとりでずぶぬれ
 ちょっとだけ悲しい気分


 「お風呂気持ちいい。」

 大きなお風呂にひとりきり
 ちょっとだけ元気になってきた
 なんで悲しかったのかな?
 なんで泣いちゃったのかな?
 不思議になる程だんだん元気になってきた。
「雨があがったらケーキでも買いに行こうかな?」
 甘いもの食べて夜中まで起きていよう。
 和希が帰ってくるの待っていよう。
 そんな事考えてたらもっともっと元気になってきた。
「俺すっごく和希が好きなんだな−。まったくもぉ。」
 なんか悔しいけど
 ちょっとだけ嫌だけど
 好きなんだよね和希のこと。
 和希の事を考えるだけで元気になっちゃう位。
 凄く大好きかもしれない。
 不本意だけど凄くすご−く好きかもしれない。
「なんか悔しい。」
 理由なんか無いけどなんか悔しい
 意味なんか無いけど負けた気がする。

 好きすぎるのってなんか悔しい。
 ぶくぶくとお湯の中に沈みながら俺はプンとふくれてみた。





いずみんから一言

ああ……。なんか、こういうときってあるよねえ。
これを読んだら誰でもそう思うに違いない。
いとも簡単に啓太くんに感情移入が出来てしまうのだ。
こういう何気ない、そしてさりげない日常を、みのりさまの手はみごとに切り取ってみせる。
それは私などでは逆立ちしてもできない芸当だ。
なんだか「勝ち逃げ」された気分になってきて、また涙が頬を伝う。

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