![]() |
令和 四十八手 |
![]() |
滝「はーい! 令和最初のお題はこっちやで〜。はよ集まってや〜」 和希「お題なんて平成の時代においてくりゃよかったのに(ぶつぶつ)」 西園寺「嫌なら来るな。と言いたいところだが……。同感だ」 和希「な、何です? その微妙な笑顔は」 成瀬「うん。珍しく意見があってるなって思って」 啓太「あ、そうかも。和希がぶつくさ言ってるのはいつものことだけど」 七条「郁が言うのは珍しいですね」 丹羽「え? 何なに? 郁ちゃんがぶーたれてるってか?」 中嶋「やめておけ。女王様には似合わない」 七条「不本意ながら同感です」 啓太「ですね」 篠宮「組織に所属している以上、嫌でもやらなければならないことはいくら でもある。淡々と進めるだけだ」 西園寺「……わたしにはほんの少しの不満を口にすることも許されない のか?」 海野「どしたのー? 誰が不満って?」 丹羽「郁ちゃんが反旗を翻したんだと」 海野「反旗? すごーい! 西園寺くんってレジスタンスだったんだ」 岩井「反旗……ではなかったように思うが……?」 七条「レジスタンスとも違いますね」 海野「そう?」 滝「はいそこ! うるさいです。お題がはじめられません」 啓太「俊介も珍しくまじめだ」 和希「食券が絡むとな」 滝「否定はせえへん。令和最初や、っちゅーことではずんでもろてるもん」 成瀬「大阪人ってそこそこ儲かってる時でも『ぼちぼちでんな』って言うん だろう?」 七条「そのようですね」 成瀬「だったら『はずんでもろてる』は何枚くらいになるんだろう?」 一同「……(心の中でこっそり枚数を考え中)……」 滝「……(にやり)……」 (#^.^#) \(^o^)/ (#^.^#) 滝「ま、それはさておき。あらためまして『令和最初の正月なのに何故か すでに令和2年のお題』いきます」 篠宮「そうだ。不毛な計算はやめておこう」 滝「今年のお題は『あなたは令和の時代に何をしたいですか』」 岩井「……意外にオーソドックスだ……」 滝「ちなみに俺は『新しいチャリで天覧試合に優勝して、新しい天皇さんと ハイタッチする』や」 西園寺「……不敬罪のない時代でよかったな……」 七条「不経済ですか? どのあたりが?」 丹羽「アメリカ人にはわかんねえ罪だよ」 中嶋「どこかの王子の嫁を思い出すな」 滝「せやけど今度の天皇さんは気さくそうやもん。ハイタッチくらいしてくれ そうやん」 篠宮「自転車のトライアルに天覧試合があればな」 海野「天覧試合はなくても園遊会には呼んでもらえるかもしれないねー」 啓太「俊介だったら、がんばったら呼んでもらえるようになるよ」 滝「せやな。がんばるわ。っちゅーことで、皆さんの回答をどうぞ」 和希「ああ、そう。じゃあ俺は1日に少なくとも4時間は寝られる体制を作 りたい」 中嶋「ほお? それは外向きの話か?」 西園寺「ふん。どうせ内向きだろう」← まだちょっとご機嫌斜め(笑) 啓太「外向きはわかる気がするんですけど……。内向き?」 七条「僕と啓太くんにもあてはまることですよ。うふっ」 丹羽「うふっ?」 中嶋「わからん奴だな。成瀬が離さないから寝られないだけだろう」 丹羽「ぶっ!」 和希「……!」 成瀬「そうなの? 僕はてっきり和希も悦んでくれてるものとばかり」 滝「はい、脱線はいいです。いちゃいちゃトークは部屋に帰ってからにし」 中嶋「……滝のこの真面目具合から、食券の枚数が類推できそうだ」 篠宮「食券などなくてもこのくらいしてくれるといいんだがな」 滝「ああ、ついでや。成瀬は何がしたいんや?」 成瀬「僕? 僕もたっぷり寝られる体制を作りたいかな」 丹羽「それはもういいって」 成瀬「うん。でもこれは真面目な話なんだ。毎日の練習量をどうすれば減 らせるかってね」 篠宮「なるほどな」 啓太「何時までって決めたら駄目なんですか?」 滝「それは中身によるやん」 成瀬「そう。いかに短時間で効果的な練習ができるか。たとえばテニスが 専門じゃない体育の教師が顧問をやってる中学で、テニスを始めた ばかりの中学生がいたとするだろう?」 啓太「はい」 成瀬「そういう先生は本当に必要なのは何かがわかってなくて、ただ練習 をたくさんすればいいとばかりに、朝練やって放課後もやってる。で もそれで終わりじゃなくて、家に帰ったら帰ったで素振りしたり腹筋 やっていたりする。そうなると疲れてしまって宿題するのがやっと、 みたいになったりしてしまうだろ? それでなくてもそんな状態で勉 強したって頭に入らないしね」 啓太「あ〜。はい」 成瀬「だけど専門のコーチがいなくても『これをきっちりやっておけば大丈 夫』ってシステムが確立されていれば、残った時間で勉強も恋愛も、 もちろん睡眠だってきちんととれるようになる。疲労が蓄積されるこ ともなく、故障を起こしたりしにくくなれば、プレイヤーとしての質が 上がるっていう結果がついてくるんじゃないか、って思うんだ。それ より上のレベルになったら、その頃には専門のコーチが必要になっ てるからね。まあそれまでの話なんだけど」 和希「……驚いた。あんたそんなこと考えてたのか」 成瀬「うん。どんな競技でもそうだけど、第一線でプレイできる期間って短 いからね。そのあとのことを考えてたら、そんなところに行きついた」 海野「すごいなあ。『成瀬メソッド』かぁ。でも成瀬くんならできるよ、きっと」 篠宮「ぜひ成し遂げてもらいたい」 滝「応援してまっせ! ほんなら次は……。会長いっときましょか」 丹羽「俺か? 大真面目な成瀬の後で申し訳ないが、世界各地でマグロ を釣り上げてえな」 中嶋「真面目な話じゃないのか?」 丹羽「やりたいとは結構本気で思ってる。最近は冷凍技術もすごいだろ? だから釣った先々でどんどん冷凍していって、たとえば同じ部位だ けの食べ比べをするんだよ。で、本当に大間のマグロが美味いの かを確認する」 岩井「……自分で解体もするのか……?」 和希「漁業関係者から苦情が来ないように気をつけてくださいよ」 丹羽「苦情? なんで?」 西園寺「ふん。おめでたい人間もいたものだ」 丹羽「そういう郁ちゃんはどうなんだよ」 西園寺「わたしか? 何の面白味もないぞ」 滝「受けねらいのお題とちゃうし。成瀬かって大真面目やったもん。かま へんで」 西園寺「そうか。わたしは新しい外国語を習得したい」 中嶋「女王様は世界征服をはじめるつもりか」 啓太「っていうより、いくつ目の外国語なんですか」 岩井「俺も……知りたい……」 七条「英語とドイツ語とフランス語とロシア語がネイティブ並なのは知って ますが」 西園寺「日常会話程度ならスペイン語とポルトガル語とタイ語が話せる」 成瀬「で? あと何語を覚える気なんだい?」 西園寺「フィンランド語とベトナム語は覚えたいと思っている」 篠宮「西園寺を見ていると、人間にできないことはないのだと思わせてく れるな」 滝「ほんまやなあ。ほんならえーっと。会長はいったから、次は副会長」 中嶋「俺か? 悪いが令和だからと言って何かをする気はないな」 和希「中嶋さぁん。みんなそう思いつつ答えてるんですよ(苦笑)」 滝「せや。お題っちゅうのはそういうもんやもん」 丹羽「マグロだって平成でも釣れたんだからよ」 中嶋「そうか? やりたいこと、な……」 岩井「中嶋なら……100人斬りとか……」 七条「人でなしさんならお似合いのお題ですね」← 嫌味(笑) 中嶋「せっかくの岩井の言葉だが」← 七条くんはスルー(笑) 篠宮「そうだな。倫理的ではないからやめた方がいい」 中嶋「いや。もうとっくに100人は超えてるからな。やりたくてもできん」 成瀬「だと思った(苦笑)」 中嶋「だが……。ああ、そうだな。楽器でもはじめるか」 滝「ピアノとか?」 中嶋「いや。ピアノは弾ける。サックスも何とかなるから……。令和の時代 に、ということなら和楽器あたりがいいか」 啓太「笙とか篳篥とかですか? 中嶋さんならお似合いです!」 和希「そりゃいきなり古典すぎるだろ(苦笑)」 成瀬「たしかに平安装束も似合いそうだけどね」 丹羽「烏帽子直垂。衣冠束帯ってやつか? それとも直衣?」 海野「じゃあ西園寺くんが龍笛で、篠宮くんが琵琶だね〜」 滝「ええなあ。その3人で雅楽トリオ組んだらどないやろ。『令和ボーイズ』 とかってユニット名で。第二の東●秀樹さん」 和希「(おっ? 滝のマネジメント能力を見るチャンスか?) 七条「まさかと思いますが、売り込むつもりではないでしょうね?」 ↑ 無表情×黒雲(笑) 滝「やりたいのはやまやまやけど、そこまで命知らずとちゃうし(冷汗)」 ↑ 結構マジ(笑) 和希「(……ああ(タメイキ)……。まあ現実を見極めて早期撤退できるの も才能のひとつなんだろうが)) 丹羽「尺八なんかどうだ? 虚無僧みたいでかっこいいぜ」 中嶋「尺八?(鼻嗤)」 成瀬「!……会長……(苦笑)」 海野「尺八って可笑しい?」 中嶋「あれは吹くものじゃない。吹かせるものだ」 成瀬「あー。会長……」← 肩を震わせて笑ってる 丹羽・海野・啓太「?」 岩井「中嶋なら……津軽三味線とかも似合いそうだ……。絵になると思う ……」 中嶋「津軽三味線か。よし、それにしておいてくれ」 西園寺「ずいぶん適当だな」 滝「どうせ適当やしな。『やりたいことはない』よりよっぽどええわ。ほな、 えーっと次は寮長さん」 篠宮「ふむ。令和の間に移植専門医になれるよう努力する」 啓太・和希「篠宮さんすごーい。(パチパチ拍手)」 丹羽「いちばん真面目な回答かも知らねえけど」 中嶋「ああ。いちばん面白味のない回答でもあるな」 岩井「もしかして……、中嶋のさっきの答えはウケねらいだったのか?」 篠宮「日本で医者になって、5年くらいで留学できればと思うんだが。やは り移植の本場はアメリカだからな」 七条「篠宮さんには日本よりそちらの方が似合いそうです」 海野「篠宮くんがお医者様になったら医学雑誌もチェックするようにする ね。論文を読むのが楽しみだよ」 和希「(もちろん俺もチェック、だな。ベル総合病院にぜひ欲しい人材だ)」 滝「チェックと言えば岩井さんやな。令和の時代にはどんな作品を描くん やろか」 岩井「絵は……どうだろうな……」 全員「……(絶句)……」 西園寺「……(絵をやめるつもりか?)……」 七条「……(岩井さんに限ってそれはないとは思いますが)……」 滝「……(まさかの衝撃発言? ってか、それ引き出してしもたん俺になる ん?)……(涙目)」 和希「……(誰か真意を聞けよ!)……」 成瀬「……(篠宮さんが聞けないんじゃ誰も聞けないんじゃない? そん なこと)……」 海野「え〜? なぁ〜に、岩井くぅん。絵をやめちゃうの〜?」 ↑ 場違いにほんわり(笑) 中嶋「……(ここはさすがに教師というべきなのか?)……」 丹羽「……(海野ちゃんに限ってそれはねーだろ。天然だ、天然)……」 岩井「いや……。絵のことを……考えない時間をつくりたいんだ……」 全員「……(ああぁ)……」← 内心 ほっ 岩井「できれば1日1時間。……無理なら1週間に1度でもいいんだが…。 具体的にはまだ何も……」 篠宮「俺は運動がいいと思う。体を動かす習慣をつけた方がいい」 成瀬「岩井さん蕎麦が好きだから蕎麦打ちは?」 啓太「歌を歌うとか?」 岩井「絵が見えてしまわない方がいいんだが……」 七条「プログラミングのようなものでしょうか」 丹羽「高等数学なんかどうだ? ゼータ関数とかポアンカレ予想とか」 西園寺「ポアンカレはだめだ。あれでファッションショーやったデザイナー がいる」 中嶋「……どこをどうすればあれが服になるんだ」 滝「はい、もう長くなるんでこの辺で」 和希「まだ答えてないのに」 滝「答えてるやん。『絵のことを考えへん時間を作る』て。アドバイスのあ るお人は個別にどうぞ。そしたら次はえーっと啓太。おまえや」 啓太「うーん。俺は、えーっと」 和希「なんだ? みんなが答えてる間に考えてなかったのか?」 啓太「違うよ。ふたつあって、どっちにしようかなって」 滝「ふたつでもええよ?」 西園寺「遠慮するな。啓太」 啓太「えーっと。じゃあですね、まず旅人をやってみたいです」 七条「旅人、ですか?」 啓太「そうなんです。ぜんぜん知らないところに行って、半年とか1年くら い暮らして、またぜんぜん知らないところに行く」 和希「おまえにできるのか? ただでさえ人懐っこいのに」 丹羽「人間関係リセットして1から構築しなおすんだぞ?」 啓太「やっぱだめかなあ……。休みごとに七条さんのとこに行って、新し い街のことを話したら楽しいだろうなって思ったんだけど」 七条「そういうときは僕も一緒に行きますよ」 中嶋「ふん。伊藤は離れたがっているように思えるが?」 滝「ピーッ! はいそこ。イエローカードです。乱闘は外でしてください!」 啓太「もうひとつは盲導犬を育てる人になりたい」 篠宮「すばらしい!」 西園寺「これは実現できそうだな。啓太にお似合いだ」 海野「盲導犬ってぜんぜん足りないんだよ。できたら実現させてほしいな あ。僕も協力するよ」 和希「啓太って柴犬っぽいけどゴールデンとも相性よさそうだ」 岩井「幸せな……絵が描けそうだ……」 滝「ほんま啓太らしいなあ。ほんなら次は……海野ちゃん」 海野「僕ね、岩井くんに似てるかもしれないけど、ちょっと遊んでみたいん だ」 丹羽「おねえちゃん系か? それともゲーム系か?」 中嶋「遊びの基本は『飲む、打つ、買う』だろう」 啓太「どちらにしても海野先生には似合いませんね?」 西園寺「私もそう思う。というよりカモにされるのが目に見えている」 海野「あ〜? えーっと、そういうのじゃなくてね」 七条「では何ですか? まさかクスリとか言わないですよね?」 成瀬「さすがにそれはないんじゃないかなあ。峠を走りに行くのがせいぜ いじゃない?」 滝「峠を攻める海野ちゃん……? あかん、思い浮かばんわ!」 海野「だから違うよー。僕って今まで生物ばっかり扱ってきたでしょ? だ から無機物もやってみたいなあって」 篠宮「つまり鉱物とか」 海野「そうなんだ! 金とか鉄とかって面白そうでしょ? 人間の身体にも なってるものが指輪やタワーになったり、場合によっては飲めちゃう んだーって思ったら、ちょっとわくわくしてきちゃって」 全員「……(ああぁ。やっぱりな)……」 滝「結局なーんも遊んでへん海野ちゃんは勝手にしゃべらせといて。 ……あ、ラスト七条か」 七条「僕は……、日本の古典的なことですね」 丹羽「また笙や篳篥の世界かよ」 七条「日本には四十八手とか八十八手とかいうすばらしいものがあるそう じゃないですか。それをやってみましょうか、と思って」 滝「相撲? お遍路?」 七条「いえいえ、エッチのですよ。もちろん」 成瀬「ええっ!」 中嶋「まさかの告白だな(失笑)」 七条「ご存じないんですか? いろいろあるんですよ」 成瀬「っていうか、今までやってなかったんだ?」 七条「……」← 無表情 中嶋「ああ。俺ならなら恥ずかしくて『今はじめて知りました』などと告白な んかできないレベルの話だ」 七条「……」← やっぱり無表情(笑) 成瀬「そう。僕と和希はもう2順目に入るよ?」 和希「いらんことは言うんじゃない!」 七条「……伊藤くん」 啓太「……七条さん?」 七条「今すぐ部屋に帰りますよ! 今週中に四十八手クリアするんですか ら! さあ、早く!」 啓太「え? ええええーーーーっ」 岩井「……行ってしまった……」 滝「しばらく部屋からでてきそうにないな」 篠宮「誰か適当に食料を届けてやってくれ。七条はともかく伊藤がもたん だろう」 西園寺「わたしはごめんこうむる」 中嶋「俺も帰らせてもらおう」 成瀬「和希。僕たちも続きどう?」 和希「勝手にやってろ!」 成瀬「ごめん和希。ごめんってば」 海野「みんないっちゃったねー」 滝「なんか唐突にみんなおらんようになってもたんでこれで終わります。 せやけど『令和の時代に』っていうお題にいちばん合ってた答えは 俺だけみたいやったなあ。ま、ええか」 |
![]() ![]() ![]() |
いずみんから一言。 いやー。驚いた。前のとこでもサーバーの障害で UPできないことがあったんですが、引っ越し先でも あるなんてねえ。さあUPできるようになったと思ったら、 岩井さん忘れてるし(汗) 2月中にUPできたんでとりあえず良しとします。 ……今のお嬢ちゃんたちに「尺八を吹く」は通じないかと 思いつつ。 |
作品リストへはウインドウを閉じてお戻りください。 |