FOR YOUR EYES ONLY  5



 10月のとある日曜の午後。
 中嶋家のリビングでは住人がふたり、仲良く分けあった新聞を読んでいた。つまり。中嶋氏は国際・政治・経済面を。啓太くんはテレビの番組表から三面、芸能記事等。おかげで新聞はビリビリのバラバラだが、なぁに、ふたりが良ければそれでいいのだ(爆)。
 そして。懸賞記事を見つけた啓太くんが応募しようとして、突然「あーっ!」と大声をあげた。


中嶋「なっ、なんだ。突然」
啓太「大変ですっ!」
中嶋「何が大変なんだ」
啓太「応募の〆切が10月末日になってますっ!!」
中嶋「……(タメイキ)それのどこが大変なんだ。今からハガキを買いに行っても十分間に合う
    だろう」
啓太「ハガキなら買い置きしてます」
中嶋「じゃあ問題はない。いちいち騒ぐな」
啓太「ないどころじゃないです! 大問題ですよっ!」
中嶋「どこに何の問題がある」← うんざりしつつも、つい付き合ってしまっている(笑)
啓太「だから!お誕生日なんですっ!」
中嶋「誰の」
啓太「やだなあ。もちろん中嶋さんの、じゃないですか」
中嶋「……俺の誕生日は来月かと思っていたが」
啓太「そうです。もう来月になっちゃってたんですっ!」
中嶋「……(タメイキ)……。で? それは? そんな両手をグーにして叫ばなきゃならんようなこ
    となのか?」
啓太「当たり前じゃないですか。だって中嶋さんのお誕生日なんですよ? ああ、どうして今日
    まで気づかなかったんだろう。馬鹿馬鹿。俺の馬鹿!」
中嶋「……(諦)……。意味はわからんが百歩譲って聞いてやろう。俺の誕生日の何処が大変
    なんだ。天変地異でも起こるというのか」
啓太「違います。今年の趣向を決めなきゃならないでしょう? どうやってこのおめでたい日を
    お祝いすればいいのか……。ああ、もう日にちがない……(泣)」
中嶋「こら泣くな。そんなことくらいで」
啓太「……そんなこと……?」← ピキッ! と音(笑)
中嶋「うん?」
啓太「今、『そんなこと』って言いました?」
中嶋「言ったがどうした。『そんなこと』に違いないだろうが」
啓太「★※◆★■※▲▲▲!」
中嶋「おい、啓太!」
啓太「▲▲※★◆◆◆。◆◆▼※★■!!」
中嶋「わかった、俺が悪かった。だから落ち着け!」
啓太「■▲※◆◆★※★★★。▼▼※★◆◆◆■■。▼▼▲▲▲!!!」


                      ○  ・  ◎  ・  ○

       ただいま啓太くんの暴走を力づくでなだめております(笑)ので、
       まったりするまでこのまましばらくお待ちください。

                      ○  ・  ◎  ・  ○


中嶋「だから。何がしたいんだ。ちゃんと言ってみろ」
啓太「……うん……」
中嶋「(タメイキ)じゃあ聞き方を変えるぞ。俺の誕生日にどうして趣向が必要なんだ?」
啓太「……だって。同じことして中嶋さんに飽きられたら……って思うと、俺……」
中嶋「ふ……。馬鹿な子だ」
啓太「馬鹿でもいいんです! 中嶋さんに飽きられて捨てられるよりよっぽど……」
中嶋「……(そういうところが馬鹿なんだと言いたいが言えない(爆))……。だったらいつもの首
    輪に変えてリボンでも結んでみろ」
啓太「それは3年前と4年前にやりました。首に結んだら場所が違うと言われて翌年も」
中嶋「……なるほど。じゃあ裸エプロンで料理」
啓太「それは去年やったじゃないですか」
中嶋「あぁ……。そう言えばそうだった」
啓太「買ったばかりのフリフリエプロンはあっという間に使用不能になるし、中途半端に火が通
    った状態で放置された食材は傷むし……。もう散々でした」
中嶋「そ、そうだったか?」
啓太「ピーッの代わりに●●●や××××を◇◇るのもやったし、▲▲で■■■■■をピーッ
    したりとか◆◆◆の●●●なんてのも2回やったでしょう」
中嶋「何か……。一般のご家庭では絶対に出ないような単語が並んだな(汗)」
啓太「どうせUPされる時にはオーナーが伏せ字にしてますよ」
中嶋「楽しそうにいちいちチェックしながら置き換えるんだろうな、あの人は……(タメイキ)」
啓太「それに一般の人なら、そんな単語聞いても意味がわかんないでしょうし」
中嶋「なるほど。それもそうだ」
啓太「だから今は、そんなことよりお誕生日なんですっ!」← 再びグー。
中嶋「(ちっ、誤魔化されなかったか)」
啓太「どうします、中嶋さん! 何がいいですか!」
中嶋「そんな大きな目でうるうる見つめられてもな……(汗)」
啓太「……(うるうると凝視)……」
中嶋「わかった。じゃあ……」
啓太「じゃあ?」
中嶋「じゃあ………………。そうだ! ワカメ酒でも飲ませてくれ」← 苦し紛れ(苦笑)
啓太「はい? ワカメ……?」
中嶋「ワカメ酒、だ」
啓太「お酒にワカメを入れるんですか?」
中嶋「馬鹿か、おまえは。そんなモノ入れてどうする。どっちもが不味くなる」
啓太「じゃあいったい……」
中嶋」「いいか? ワカメ酒ってのはな……。(耳元でぼしょぼしょ)」
啓太「……(驚)……!」
中嶋「これはかの日○国初代総○大臣伊○博文氏も好んだとされる、由緒正しい飲み方だ」
啓太「……(赤焦恥驚汗)……!!」
中嶋「どうした。やってくれるんだろう?」
啓太「……(赤青赤青赤)……」
中嶋「だっておまえの方から、わざわざ聞いてくれたんだからなあ」← いぢめっこ(笑)
啓太「……(硬直)……」
中嶋「せっかくの誕生日だ。美味い酒を飲ませてくれよ」

こうしてその年の趣向は決まった。啓太くんはちゃんとワカメ酒を飲ませることができたのか。それはひとり、中嶋氏だけが知っている(爆)。







いずみんから一言。

本当に、本っ当に、あほな話ですんません……(汗)。
万が一にも意味の分からないお嬢様がいらっしゃいましたら、
某うぃきぺでぃあ等でお調べください。
ぺこり。