そしてピラニアは笑った



 眦をきつくする。
 というのは何も中嶋の専売特許ではない。もとが整っている西園寺がこれをやると相手は後ずさりさえできないほどびびりまくるし、いつも柔和な印象のある成瀬がやると、その迫力たるや半端ではない。和希に至っては言わずもがなだし、篠宮相手なら「わたしが悪うございました」とひたすらひれ伏してしまうだろう。どの場合も、相手にそんな表情をさせた己の不明を心から恥じるに違いない。
 ところで『眦をきつくする』のは一般的な使い方ではない。辞書に載っているのは『眦を決する』という使い方の方である。これは「目尻が切れちゃうくらい目を見開いて怒っている」様子をあらわす言葉なので、我らがBL学園学生諸君に使うには、いささかそぐわないところがあるのだ。使えるとしたら海野先生、滝俊介、そして啓太の3人組がやっとといったところだろうか。
 さて。その啓太くんだが、今まさに眦を決すると言っていいくらいの表情である一点を見つめていた。親のカタキに出会ったわけではない。宅配業者を装った強盗に押し入られたわけでもない。届いた箱の中に爆弾が仕掛けられていたわけでもないし、台所にゴキブリが大量発生したわけでもない。この高級マンションが雨漏りしているはずもない。啓太くんが力いっぱいにらみつけているもの。それはマンションのベッドルームから続く、中嶋専用ウォークインクロゼットのドアノブであった。

 それは一昨日の夕食後。中嶋の淹れた熱いほうじ茶をすすりながら、お互いに今日あったことの報告をしているときだった。
 余談であるが、この「報告タイム」は中嶋がさりげなく誘導したものである。司法修習がはじまってすでに2カ月が過ぎた。和光での座学も終わりに近づき、まもなくはじまる各地での実習に向けて、中嶋の勉強もさらに加速する毎日である。中嶋が忙しくなればどうしても家にいる時間が少なくなる。その少ない時間を中嶋自身のために使ってもらうため、啓太は一歩退いてしまっていた。自分の寂しさも封じ込めて。馬鹿なことをと思いはするが、それが啓太という人間なのだ。
 それで不満そうにしていたら中嶋も放っておいただろう。だが啓太はそんな素振りはこれっぽっちも見せなかった。中嶋の後ろ姿を見送る顔に、ほんの少し寂しそうな色をのせてはいたが。
 それは他の誰かなら気づかなかったかもしれないくらいのわずかな変化だった。が、中嶋には十分だった。啓太の寂しさに気づいた中嶋は、いろいろ考えて夕食後にほうじ茶を淹れるようになった。これなら無理なく続けられると思ったからだ。あとで啓太がよけいな洗い物をしないですむように、ティーバックを買いにわざわざ老舗の茶葉屋まで足を運んだのも中嶋だった。マグカップ一杯のほうじ茶がなくなるまでの時間は、啓太が中嶋をひとりじめにできる、本当に大事な時間となっている。
「今日、新聞代を払ったんですけど、新聞屋さんにネズミーランドのパスポートをペアでプレゼントっていうのの応募ハガキをもらったんです」
「うん」
「それでね、あのぅ……」
 言いにくそうに口ごもった啓太は、無自覚のおねだりモードである必殺の上目遣いで後をつづけた。
「応募しても、いいですか……?」
「く……っ」
 聞くなり肩をふるわせはじめた中嶋に、啓太はきょとんとした目を向けた。まだまだ理解しきれていない部分が多いものの、啓太はそれなりに中嶋のキャラを掴んでいる。つまり、遊園地は中嶋の好む場所ではないことくらいは理解している。その中でもネズミーランドは最たるものと言っていいだろう。啓太は決して想像力の乏しい人間ではないが、どんなにがんばってもキャラクター・パレードを見る中嶋の姿は想像できなかったし、つぼ型のポッドに乗って黄色いクマの棲む森に入っていく姿も想像できなかった。それでも啓太は行きたかったのだ。中嶋と一緒に。夢と魔法の国へ。
 その一方で、中嶋の好みでないと分かっている場所のチケットを買ってきて、「一緒に行って欲しい」とも言えなかった。それが今日。新しいアトラクションの紹介番組をテレビで見ながら「いいなあ。行きたいなあ」と言っていたところに新聞屋が現れ ―― おつりと一緒に何気なく受け取ったハガキに 『ネズミーランド・ペアチケットプレゼント』 の文字を見つけてしまったのだった。この無駄に運のいいところは、さすがは啓太と言うほかない。
 あとは「駄目だ、忙しい」と言って断るであろう中嶋を如何にして泣き落とすか。夕方からこっち、そればっかり考えていた啓太の前で、中嶋が肩をふるわせて笑っている。この想定外の事態に、啓太はすっかり戸惑ってしまっていた。笑っているのは分かるが、何故笑っているのかが分からなかったのだ。
「あのう……。ここ、笑うとこですか……?」
「ハナからチケットが届くと決めつけているところがな……。くくくっ」
「……?」
 何がツボにはまったのかしばらく笑いつづけた中嶋は、尚もくすくす笑いながら「わかった」と言った。
「要は俺に一緒に行けと言ってるんだろう? 行ってやるよ」
「ホントですかあっ」
 はじけるような啓太の表情に中嶋は、先刻とはまた違った種類の笑みを目の端にのせた。子供だましの被り物が跋扈するネズミーランドなど、経営戦略に興味はあっても遊園地は遊園地。自分の生涯のうちで足を踏み入れるつもりはさらさらなかったが、こんな顔が見られるのなら付き合うのも悪くないと思った。
「ああ。研修用の荷造りをしてくれたらな」
「あの7月からどこかに行く、ってアレですか?」
「そうだ。3カ月分の身の回りのものだ。買い物も多くなるだろうが……。頼めるな」
「はいっ。任せてくださいっ!」
 顔を輝かせる啓太の頭を、中嶋がくしゃくしゃと撫でた。

 任せてくださいと言ったのは自分だ。と、啓太は思った。だからこのドアを開けなければならないのだ、と。
 じつは昨日、啓太はこのドアを開けていた。中嶋に頼まれたとおり、荷物を選んでは邪魔にならないよう、自分の部屋に運び込んでいたのだ。現に啓太の部屋にはスーツ2着をはじめとして、ネクタイやらワイシャツやらが吊るされている。それが止まったのは何気なくチェストを開けたときだった。
「わっ!」
 思わず叫んで飛び退ってしまった。下着。それもパンツが、パッケージされたままの買い置きとともに、きちんと畳まれて並べられていたのだ。基本的にこういった下着類はバスルーム横のリネン室に置いてあるので、こんなところにもあるとは思っていなかった。
「もう……。フェイントだよ、心臓に悪い……」
 ぷはぁーっと息を吐きながら啓太は両手でチェストの引き出しを閉めた。あるとわかっていて見ればどうということもないのに、心の準備がないままに見てしまった所為か、何故かそれが包んでいるモノを連想してしまったのだ。あらためて見回すと、当然のことながらそこは中嶋の物ばかりで、そしてベッドの中ほどではないものの中嶋の匂いがした。一緒に住んでいて。あーんなことやそーんなことも日々濃厚にやっちゃってたりはするけれど。それでもまだ啓太は中嶋に慣れていないのだ。そもそもここに足を踏み入れるのだってはじめてだった。洗濯の当番はあるものの、それは取り込んで分けるところで終わりだからだ。今は中嶋が忙しいので、たたんだりアイロンをかけたりは啓太がやるが、それを片付けていくのは中嶋だった。つまりこの中は未知の領域。啓太にとってはアマゾンの密林にも等しい場所なのだった。
 中途半端に意識してしまったがために却って一気に押し寄せてきた中嶋のモノたちに気圧されて、啓太はすごすごとウォークイン・クロゼットを後にした。まだ日にちはある。一気にやろうとせず、少しずつ地道に揃えていけばいいだけの話だ。
 そして今日。啓太はこうしてドアノブをにらみつけている。昨日のことを思い出してしまってつい足がすくんでしまい、もう1時間もここで立ち尽くしたままなのだ。だがここに入らなければ中嶋に頼まれた荷造りはできない。入るためにはこのドアを開けなければならない。開けるためにはまず、ドアノブを掴むところからはじめなければ。
 これ以上の躊躇は許されない。ネズミーランドのためにも。もとい。中嶋の信頼にこたえるためにも。
 息を吸って。息を吐いて。もう一度息を吸って。そのままノブを掴んだ。

 ドアは開いた。こういうのは勢いが肝心だ。そのままずんずんと中に入っていった啓太は、中央まで進んで足を止めてからようやく息を吐き出した。第1段階クリアである。
「ハンカチ、パジャマ、靴下」
 何かのおまじないのように口の中で唱えながら啓太は作業を開始した。昨日失敗したので、啓太は啓太なりに作戦を立てていた。つまり「目的をもつこと」である。散漫な気持ちで場当たり的に荷物を選ぼうとしたから、洗濯するたびに手にしているパンツごときでうろたえてしまったのだ。探すものが決まっていれば、何を見つけても「これは違う」でスルーできるだろう。たとえ見つけたものが、一般のご家庭には置いてないようなあぶないグッズだったとしても。
 だから昨日この場を撤退した啓太は、まず荷物のリストを作った。服や日用品のカテゴリに分け、必要量を考え、買い揃えるものにはしるしをつける。今となっては、リストも作らずに作業をはじめた自分の無謀さに笑ってしまいそうだった。
「ハンカチ、パジャマ、靴下」
 口調がいい所為か、今日はテンポよくあちこちを見て回ることができた。中嶋のウォークイン・クロゼットは、啓太の部屋の3分の2くらいの広さだろうか。それの片側一面にある中折れ扉の向こうはポールが取り付けられ、スーツやズボンなどがかけられている。昨日そこを開けてみたときにそんなものはなかったような気がしたので、今日は別のところから探していくことにする。
 靴下はすぐに見つかった。下着用だろうとアタリをつけていた昨日のチェストの、いちばん下の引き出しにあった。だがすぐに見つかるだろうと思っていたハンカチはなかなか見つからなかった。見つからないのはハンカチだけではない。パジャマもだ。
 パジャマもハンカチも日常的に使うアイテムである。めったに使わない礼服などと違い、すぐに出せるところにあるはずだ。だからこそ啓太は仕切りなおしにこれらを選んだのだ。10分程度で全部揃えて啓太の部屋に運びこめば、苦手意識も薄れるだろう。そうすればあとの作業はスムーズに進む、と。なのに。
「なんで見つからないんだよー!」
 最初は余裕のあった啓太もだんだん焦りはじめていた。引き出しという引き出しを手当たり次第に開け、泣きそうになりながらまた閉める。じつは啓太は、今まで 『何かを探し回った』経験がまっっっっったくなかったのだ。必要以上に運のいい啓太は「アレどこだっけ」と思っても、必ず正しい場所から探しはじめていたからである。つまりこれがはじめての体験だった。
「……どうしょう。見つからないと用意ができない……」
 1時間ばかり探したところで啓太は呆然としてへたりこんでしまった。ウォークイン・クロゼットとしては広いかもしれないが、クロゼットはあくまでクロゼットである。しかもここは理路整然と片付けられ、無駄なものの何ひとつ存在しない中嶋の部屋だ。実家の部屋ほどではないとはいえ、つい買ってしまったモノがあちこちに押し込んである啓太の部屋とは違う。そこで見つからないとはどういうことかと、落胆の表情を見せる中嶋の顔が脳裏に浮かんだ。
「せっかく任せてくれたのに……」
 赴任の荷造りひとつできない自分が情けなく、啓太の目の端に悔し涙がにじむ。その粒が大きくなり、表面張力が限界に近づきはじめたとき。ジーンズのポケットに入れていた携帯電話が鳴った。和希からだった。
「和希……?」
『ごめんな。連絡できなくて。先週メールくれてただろ?』
「……和希……」
『さっきようやく株主総会が終わってさ』
「……和希……」
『今日はもう、なーんでも啓太の言うこと聞いちゃうからな〜』
「……和希……」
『何、なに?』
「和希、和希、和希……っ!」
 両手で力一杯握りしめて、啓太は電話に向かって叫んでいた。

「啓太、無事かっ!」
 和希が飛び込んできたとき、啓太は玄関マットの上にしょんぼりとへたりこんでいた。和希を待っていたというよりは、糸の切れたマリオネットのような放心の仕方である。その所為か啓太は、オートロックのマンションの、しかも鍵のかかった玄関をいきなり和希が開けたことに、何の不思議も感じなかったようだ。啓太の失踪当時マンション番をしていた岩井は、撤収を告げに来た和希の秘書に鍵を託けていた。その鍵で和希はこっそり合鍵を作っていたのである。バレたらやばいところであったが、啓太が放心してくれていたおかげで7つばかり考えていた言い訳を口にせずにすんだ。自分でも苦しいなと思う程度の出来だったので、その点は和希にとって幸いと言えた。
「……和希……」
「うん。もう安心していいからな」
 にっこり笑いかけてやりながらも和希は靴も脱がずにしゃがみこみ、啓太の様子を観察する。服の上からしか分からないが、どうやら怪我もしていないようだし体調が悪いようでもない。内心でほっと息を吐いた和希は、軽い口調で「走ってきたら暑くなっちゃった。何か冷たいものでも飲ませてくれる?」と声をかけた。立たせるついでに手を握ってみたが、体温の高さも感じられなかった。とすれば残る理由はひとつ。中嶋がらみであろう。でなければまず中嶋に助けを求めていたはずだからだ。痴話喧嘩の最中だとしたら間の悪いときに電話をかけてしまったものだ。夫婦喧嘩は犬も食わないと言うではないか。犬さえ食わないようなものなら当然、クマだって食わないのだ。
 が、それは和希の勝手な思いだった。もしかしたら本当に中嶋には言いにくい相談ごとがあるのかもしれないではないか。どこかの女子大生にコクられたりしたら、とてもじゃないが中嶋には相談できないだろう。銀行からおろしてきたばかりの生活費をひったくられてしまった可能性だってある。実家の両親と縁を切ってしまった今現在、啓太のそんな思いを汲み取れるのはこの世の中でただひとり。啓太のオニイチャンである自分だけなのだ。ならば聞いてやらなければならない。
 ありそうもない理由で自分を誤魔化しながらキッチンの冷蔵庫を開けると、何種類かのジュースが入っていた。その中からいちばん酸味の強そうな100%オレンジを選び、目についたグラスに入れて啓太に握らせる。乾杯するときのように自分のグラスを合わせてやると、啓太は素直にそれを飲み干した。それで少しは落ち着いたのかもしれない。グラスを両手で握りしめて、啓太はぽつりと口を開いた。
「………………パジャマが……」
「うん」
「見つからないんだ……」
「………………………………………………………………は?」
「だから中嶋さんのパジャマだよっ! 荷物の準備、頼まれたのに。パジャマがどこにあるのか分からないんだっ! ハンカチも見つからないし! どうしよう、和希。どこ探したらいい?」
 どうやら痴話喧嘩よりも悪いタイミングで電話をしてしまったようだ。和希なら何か秘策を考え出してくれると信じてでもいるのか、啓太の目はあまりに真剣で、そしてまっすぐすぎた。そんな啓太から顔をそらせる方法などあるはずもない。冗談抜きで和希は、この場から逃げ出したくなった。

 そして3日がたった。ベッドルームに置かれた洗濯物には日なたの匂いがわずかに混じっていた。今日は梅雨の晴れ間で、啓太は洗濯物を外に干したらしい。乾燥機の嫌いな啓太が楽しそうに洗濯を干す姿が目に浮かび、中嶋は自覚のないままに口元を緩めていた。中嶋は皮肉な笑みを浮かべることが多い男だが、こんな表情だってちゃんとできるのだ。
 啓太の手で、うまくはないが丁寧に畳まれたそれらをしまっていこうとした中嶋は、今日もパジャマがないことに気がついて、せっかく浮かんでいた口元の笑みを消した。最初はたまたまかと思っていたのだが、3日連続とあればこれは必然である。まったくの他人、しかも男がふたりで暮らしていこうとしているのだ。疑問はすぐに解消していかないと、膨れ上がってしまうといずれ修正が聞かなくなってしまう。常々そう考えている中嶋は、実行に移すべく書斎のパソコンを使って家計簿を入力している啓太に声をかけた。啓太は中嶋が好きなときにチェックできるよう、自分のものではなく中嶋のパソコンで家計簿を管理しているのだ。
「おい、啓太」
「なんですか?」
 啓太はパソコンのモニタからにっこりとした顔をあげた。
 このところ啓太はとても機嫌がいい。ネズミーランドに付き合ってやる約束をしたからかと思ったが、どうやら少し違うようだ。啓太の表情が、いたずらを成功させたこどものように見えることがあるのだ。啓太はこっそりと何かをたくらんで、そして成功させたらしい。数日前にはどこかしょんぼりした感があり心配していたのだが、それもどうやらクリアしたらしい。中嶋は、他はともかくこと啓太に関しては、啓太が笑ってさえいれば委細オッケーという男なので、彼にとってもその件はここでクリアとなった。後日何かで問題にでもならない限り、思い出すこともないだろう。
 それよりも今は洗濯物である。
「おまえ、俺のパジャマどうした。あとハンカチも。この間から入ってないぞ」
「ああ、それでしたら俺の部屋です」
「おまえの?」
「はい。赴任用の荷物に入れました」
 ここで啓太は、例のいたずらを成功させた表情を見せた。嘘のつけない啓太は考えていることが概ねそのまま顔に出てしまうのだ。
「洗濯がすんだ分から入れていくことにしたんです」
 そう。これこそが追い詰められた和希の編み出した、究極の秘策だった。パジャマもハンカチも毎日使うもの。それを逆手に取った作戦というわけだ。洗濯するたびにピックアップしていけば、1日1枚ずつではあるが確実に準備は整っていく。精神的な余裕が出来た所為か、他のものはもう揃った。買い物も、こっちで買っていくものは済ませた。あと残っているのはパジャマとハンカチだけなのである。それも今日で3枚になったから、洗いがえも考えれば今週中に荷物は揃うことになる。作戦の完璧さに啓太が思わず「うふふ」と笑ってしまった、まさにその瞬間。
「ご満悦のところ、恐縮だが」
 と、中嶋が声をかけた。
「俺はパジャマを3枚しか持ってないんだがな」
「………………へ?」
「もちろん、予備の新品はあるにはあるが」
「……………………はい」
「今日は何を着て寝ればいいんだろう。なあ?」
「…………………………えーっ、と」
「やはりこれは 『今日は裸で寝ましょう』 というお誘いか? 確かに最近、忙しくてかまってやってなかったが」
「いっ、いや。あの………………」
 だったら男として誠心誠意、それに応えなければならないな。啓太が見事なまでに固まってしまったのを見ながら、中嶋はわざと深刻な顔を作ってそう続けたのだった。

 啓太にとって、やはりウォークインクロゼットはアマゾンの奥地だったようだ。不用意に入りこんだばっかりに、川に足をすくわれてしまった。あっと思う間もなく流されて、気がついたらベッドの上だ。シーツの波間で眼鏡をかけたピラニアが、獲物を見つけてにやりと笑った。





                            



いずみんから一言。

中嶋氏は、ホントはもっとたくさんパジャマをもっています。
でも洗濯しているはずのパジャマがないのを不審に思ったのです。
そしたらけいたんが悪戯したみたいな顔をしたので、こりゃ一発からかってやろうか。
みたいな感じじゃないでしょうかね?
どっちかって言うと七条クンねたに近いかもしれません。

それと、上の画像はピラニアではないです。いろいろ探したんだけど
ちょうどいいのが見つからなくて。これはブラックバスだそうです。
左のちっちゃいのはルアーです。
じたばたしてる感じが啓太くんみたいでかわいいです♪


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