啓太くんのお料理教室
〜11. 茶そばのシーフードサラダ風〜
講師・岩井卓人







啓太「皆さん、こんにちは。啓太くんのお料理教室の時間がやってまいりました。。今日の講師はもう感激
    の岩井さんでーす !!」
岩井「……よろしく」
啓太「こちらこそよろしくお願いします !! 岩井さんに教えてもらえるって決まったときから、ずーっと楽しみ
    にしてたんですよ?」
岩井「そうなのか……?」
啓太「はいっ。だってよもや岩井さんに料理を教えてもらう日がくるなんて。こんなの篠宮さんだって想像
    もできないと思います」
岩井「ああ……。篠宮にはいつも作ってもらってばかりだな」
啓太「ですから。今日は3人分作って、できあがったら篠宮さんも呼んできましょう」
岩井「……そうだな。そうしよう」
啓太「はいっ!(って、途中で現れそうな気もするけどね)」

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啓太「まずは何を作るか教えてください」
岩井「茶そばとシーフードのサラダだ」
啓太「へーえ? なんかすごいですぅ」
岩井「いや……。簡単なんだ」
啓太「そうなんですか?」
岩井「ああ……。前に啓太が来て『冷やし梅うどん』を作ってくれたろう?」
啓太「はい。去年の9月に」
岩井「あれを食べたときに思ったんだ。そういえば俺も冷たい麺を作ったことがあった」
啓太「じゃあ今日はそれを教えてもらって、今度は俺が作りますね」
岩井「そうか……。啓太にそう言ってもらえるとうれしいよ」
啓太「えへへへへ」

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啓太「はい。ということで材料を用意しました。茶そば、たまねぎ、トマト、カイワレ、ワカメ。お好みでゆで
    卵。シーフード類としてお刺身で食べられるもの。今日はエビ・イカ、貝柱、あとサーモンも用意しま
    した。それとフレンチ・ドレッシング。セパレートタイプじゃなくて白濁したもの、とありますけど?」
岩井「ああ。市販のものでかまわない」
啓太「でもあんまり白濁タイプってなかったんですよ。セパレートタイプとシーザー・ドレッシングみたいの
    はいろいろあったんですけど」
岩井「……シーザーは好きじゃない。好きな人が使うのは止めないが、どんな味になるかは知らない」
啓太「……使わない方が無難みたいです(笑)」

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啓太「最初は何から作っていきますか?」
岩井「そばを茹でる」
啓太「あ、そっか。そうですよね(笑)。どれくらい茹でればいいかなあ……」
岩井「食べたいだけ、だな」
啓太「あはは……。それもそうですよね(なんか先に進まないよ……?)」
岩井「……湯はもっとたっぷりの方がいいと思う……」
啓太「うわっ、はっ、はいっ(うう。ちゃーんと見るトコは見てるんだ……)」
岩井「鍋そのものをもっと大きなものにした方がいい」
啓太「はあい」
篠宮「なかなか楽しそうだな」
啓太「えっ!? 篠宮さん?」
篠宮「卓人が料理を作ると聞いて飛んできたんだ」
啓太「あはははは(やっぱり。出たよ)」
篠宮「何を作ってるんだ?」
啓太「えっと。茶そばとシーフードのサラダです」
篠宮「この材料でか」
岩井「ああ……」
篠宮「『 サラダ 』と言っている割に野菜が少なすぎないか? たまねぎとトマトとカイワレだけではバラン
    スが取れん。見たところ、これ一品しか作る予定はないようだし。もっとちゃんと栄養ということを考
    えて……(くどくどくどくど)」
岩井「……………………」
啓太「(ああもう。始まっちゃったよ。何とかしないとこのままお開きになっちゃいそうだ……)」
篠宮「(くどくどくどくど)」
啓太「(あああ。何とかしなきゃ……。あっ! そうだっ)しっ、篠宮さん?」
篠宮「(くどくど)」
啓太「篠宮さん、ってば」
篠宮「ん? なんだ伊藤」
啓太「栄養のバランスも確かに大事ですけど、岩井さんの場合、まず『 食べる 』ってことが大切なんじゃ
    ないですか? どんなにバランスが取れてたって、食べなかったら何にもなりませんよ?」
篠宮「しかしこれでは……」
啓太「俺は栄養満点でも半分しか食べてもらえない料理より、バランスは悪くても残さず食べてもらえる
    料理を、岩井さんには作ってあげたいです」
篠宮「そうか……。そう言われればそうかもしれないな」
啓太「ね? じゃあ続けましょう。お湯をわかしますね(やれやれ……。ほっ)」

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啓太「お湯沸きました〜。おそば入れまーす」
篠宮「やけどに気をつけろよ」
啓太「はあーい」
岩井「……タイマーをセットした」
啓太「有難うございます。……茹でている間に何をすればいいですか?」
岩井「そうだな……。たまねぎを薄切りにして水にさらす」
啓太「うひゃ〜。うまく薄くできるかな」
篠宮「よし。たまねぎは俺がスライスしてやろう」
啓太「お願いします……。(えへへ。たすかっちゃった)」
岩井「……そうだな。じゃあたまねぎは篠宮に任せて、啓太にはゆで卵とトマトを切ってもらおうか。どっ
    ちもくし型でいい」
啓太「はいっ」
岩井「切れたらカイワレを洗って、ワカメを水で戻す」
啓太「はいっ」

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啓太「はーい。野菜類の準備できましたぁ」
岩井「次はシーフードだな」
篠宮「これをどうするんだ?」
岩井「短冊の場合は薄く切る。今日は刺身用に切ってあるからこのままでいい」
篠宮「うん? ではすることは何もないな」
岩井「いや……。どうせだから刺身で花を作ろうかと……」
啓太「お花、ですかぁ?」
岩井「ああ。刺身をこう……くるくるっと巻いて」
篠宮「驚いた。うまいものだな」
岩井「少し広げてやれば花になる」
啓太「……俺がやると『 巻いた刺身 』にしかなりませんー(涙)」
篠宮「うむ。俺も、お世辞にも花とは言えないな」
岩井「そうか……。難しいものなのか」
啓太「はいっ(ブンブン)」
岩井「……難しければ、もちろんそのままでかまわない」
啓太「助かりましたぁ。全国の読者の皆さんもほっとしてることと思います(笑)」

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啓太「おそば茹りましたぁ」
岩井「……水でよく洗って、それから冷たい水で少し冷やしてくれ」
啓太「はいっ」
篠宮「危ないぞ。俺がやってやろう」
啓太「はあーい(あはは。篠宮さんってやっぱ過保護?)」
篠宮「できたらザルにあげておけばいいんだな」
岩井「ああ」
啓太「俺は? 何をすればいいですか?」
岩井「そうだな……。啓太にはドレッシングの準備をしてもらおうか」
啓太「あ? そのままじゃないんですね」
岩井「ああ……。刺身が入ってるから、ドレッシングに醤油を足す」
啓太「えーっと、じゃあ別の入れ物に移して……。量はこれくらいでいいですか?」
岩井「いや。もう少し作っておいてくれ」
啓太「はあい。……できました」
篠宮「こっちも水切りができた」
岩井「じゃあ大きめの皿にそばを置いて、シーフードとワカメ、ゆで卵を彩りよく置いていく」
啓太「……岩井さんみたいに美しくなりませんー(涙)」
篠宮「気にするな、味は同じだ」
啓太「くすん」
岩井「真ん中にたまねぎの薄切りをこんもり形よく。最後にカイワレをぱらぱらっと」
啓太「岩井さんのとは似ても似つかない『 茶そばとシーフードのサラダ 』完成でーす」

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岩井「啓太……。俺のを食べろ」
啓太「えっ !? そっ、そんなのいいですよっ」
篠宮「そうだな。それがいいんじゃないか」
啓太「篠宮さんまで」
篠宮「料理なんて相手を思いやりながら作ったのがいちばん美味いんだ」
啓太「……じゃあ……。岩井さんには俺のを。はい」
岩井「有難う、啓太。いただくよ」
啓太「ああ。なんか岩井さんのきれいすぎて、食べるのがもったいないです」
岩井「啓太ならカロリーの心配もしなくていいだろう。多めにドレッシングをかけるといい」
啓太「はあい。じゃ、たっぷりかけて。いただきまぁーす。……って、美味しい♪」
篠宮「ああ。意外にさっぱりしているな」
啓太「そうですね。このドレッシングの酸味とお醤油の味がシーフードにも合ってるし」
篠宮「今日のように蒸し暑い日にはいいな」
啓太「いかにも『 おそばが好き 』で、『 暑いのが嫌い 』な、岩井さんならではの一品って感じですね」
岩井「……ふたりにそう言ってもらえるとうれしいよ」
篠宮「俺もそばの食べ方のレパートリーが増えてうれしい」
啓太「みんな満足したところで、啓太くんのお料理教室を終わります♪」





いずみんから一言。

あはは。ホントに簡単なんです、これ。
行数がどうしても増えなくて(笑)、篠宮さんを引っ張り出してきました。
この白濁タイプのフレンチドレッシングなんですが、うちでは「ミ○カン・フレンチドレッシング・白」というのを買ってきます。別に他社製でもなんら不都合はありません。
伊住は暑いのがまったくもって駄目なんですが、冷やしそうめんが嫌いという、少々困った嗜好を持っていたりします。
だから伊住が冷たい麺を作ろうとすると、この茶そばのシーフードサラダになるか、冷やし梅うどんになるかしちゃいます。ああ。冷やし中華も作るな。ブタ肉を食さないのでハムも焼き豚も乗らないけど。
何であれ。血圧の低い人間にはつらい時季です。とほほ。


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