啓太くんのお料理教室 |
〜9. ブランチ2種 デザート付〜 |
講師・七条臣 |
啓太「みなさんこんにちは。啓太くんのお料理教室の時間です。今日の講師は……」 七条「七条臣です」 啓太「七条さんってあんまり料理は好きじゃないとか言いながら、結構上手だったりするんですよね」 七条「ああ。うれしいですね。伊藤くんにそんなふうに言ってもらえるなんて」 啓太「だって本当じゃないですか。普段はデパ地下のお惣菜ってパターンが多いですけど(笑)」 七条「今日はそんなお惣菜の残りを使ってブランチを作ります」 啓太「再利用ってやつですか?」 七条「そうですよ。たとえばふたりでたっぷり朝寝をした休みの……」 啓太「ししし七条さんっ?」 七条「はい。どうかしましたか?」 啓太「あ、あの。朝寝はもういいですから、早く作っちゃいましょうよぅ(焦)」 七条「早く作って? それで、できた時間でどうするんですか?」 啓太「え……? あ……」 七条「くすっ。冗談ですよ」 啓太「……心臓に悪いです……」 ・ ・ ・ ・ ・ 啓太「えーっと。今日は寮の食堂なので、前日の残り物というのがありません。だからおばさんに頼んで ポテトサラダとフライドポテトを分けてもらってきました」 七条「ご苦労さま。でも家だとよく残るでしょう? サラダを作りすぎたり、チキンとセットで買ってきたポテ トが多かったり」 啓太「しますします。もううちの母さんなんてサラダ山ほど作ってます(笑)」 七条「お店で食べるときは全部食べられるのに、家にもって帰ってきたらポテトが多く感じられるのは何 故なんでしょうね」 啓太「あれも不思議ですよね。冷めたときの油の具合かなあ」 七条「今日はそういうのを美味しく簡単に作り直しましょう」 啓太「よろしくお願いしま〜す」 ・ ・ ・ ・ ・ 七条「料理をはじめる前に、伊藤くん。ホットの缶コーヒーを買ってきてくれますか?」 啓太「え゛!? 缶コーヒー、ですか?」 七条「ええ。ロング缶は量が多いから駄目ですね。短い缶に入ったもので、微糖や無糖じゃない甘いもの を2本お願いします。銘柄は伊藤くんのお好みで」 啓太「(飲みながら料理するのかなあ?)……はい。買ってきました」 七条「有難う。じゃあこれを珈琲カップに移します。短い缶だとちょうどうまく納まると思いますが、カップが 小さかったりして残った場合は飲んじゃってください」 啓太「あっ。ホントにちゃんと入りましたっ」 七条「今度はそこに、ティースプーン軽く山盛り程度の粉ゼラチンを加えます」 啓太「……このくらい?」 七条「ええ。それで十分。冷めたらいけないので、手早く、ですよ」 啓太「うわっ。はっ、はいっ」 七条「全部溶けるまでよくかき混ぜてください。逆をしたらいけません。ゼラチンを先に入れておくと固まっ てしまいますからね」 啓太「ゼラチンは必ずあとから、ですね。わかりましたっ」 七条「買ってきたばかりの缶コーヒーなら溶けるはずですが、もし溶けきれないようでしたら、軽くチンして ください」 啓太「大丈夫です。ちゃんと溶けました」 七条「はい。ではカップを小さめのボウルにおいて、そっと冷水を注ぎます。カップの中に水が入ったりし ないように気をつけて」 啓太「……はい」 七条「水が入ったら氷も少し入れておきましょうか」 啓太「……はい」 七条「うふっ」 啓太「え? なんかヘンなことしちゃいましたか?」 七条「いいえ。くすくす」 啓太「……?」 七条「ごめんなさい。だって伊藤くんの顔に『何やってんだろう?』って書いてあるものだから、つい」 啓太「えっ? えっ!?」 七条「そんなに顔をこすっても取れませんよ(笑)。ほんの少し待ってて下さい。ブランチを食べ終わる頃 にはわかりますから」 啓太「……はあい」 ・ ・ ・ ・ ・ 啓太「まずはポテトサラダの方から材料を用意しました。サラダとサンドイッチ用の食パンって書いてあっ たんですけど、ホントにこれだけでいいんですか?」 七条「基本的にはこれで十分ですよ。何かを足したい方はどうぞお好みで」 啓太「そっかあ。じゃあ作り方をお願いします」 七条「その前に食パンの説明をしておきましょうか」 啓太「はい」 七条「今日は2種類ともトーストがベースなんですよ。一応サンドイッチ用を用意してもらいましたけど、も っと分厚いパンでもちゃんと食べられる方はお好きな厚さのパンをご用意ください。もちろん薄く切 ったフランスパンなどでも作れます」 啓太「あ。サンドイッチにするわけじゃないんですね?」 七条「所謂クローズドサンドにはならないですね。強いて言えば 『 トースト・ベースのホット・オープンサン ド 』 でしょうか」 啓太「うひゃ〜。なんだかわかんなくなっちゃいました。全然想像できませ〜ん」 七条「じゃあパンを焼いていきましょうね。百聞は一見にしかず、ですよ」 啓太「そうですね。そうして下さい(笑)」 七条「まずパンを2枚重ねてオーブントースターに入れます。こんがりいい色がついたら出してください」 啓太「片方しか焼けてないのに?」 七条「はい。片方でいいんですよ。焼けた方にポテトサラダをのせてください。一晩たって、サラダがマヨ ネーズを吸ってしまっているようだったら、少し足してください。今日は必要ないですけどね」 啓太「……のせるって、こんな感じですか?」 七条「ああ、いえ。もっと、ですね。サラダを塗りつけるんじゃなくてサラダを乗せるんです」 啓太「がばっと?」 七条「そうです。伊藤くんはポテトサラダが好きでしょう? たくさんのせていいんですよ。でも、ちゃんと 口に入る程度の厚さで、ね」 啓太「あ。だからサンドイッチ用なんですね。サラダの厚みもコミなんだ」 七条「はい。よくできました」 啓太「えへへへへ」 七条「サラダはトーストした色が隠れるくらいに広げてください。もう一度トースターに入れますから、見え ていると真っ黒に焦げてしまいます」 啓太「はいっ」 七条「ここでパプリカのパウダーやみじん切りのパセリを振りかけてもいいんですけど、サラダにはもとも と赤や緑が入ってますからね。彩りが欲しいな、と思ったらでいいです。」 啓太「今日はたくさん入ってるからいりませんね」 七条「香りづけに軽くコショウを振ってもいいですよ」 啓太「あっ、そうか。じゃあちょっとだけ振ってみようかな」 七条「本当はここでオーブントースターに戻してもう一度焼くんですが、今日はまだフライドポテトのトース トも作りますからね。そちらの準備ができるまで、ちょっと置いておきましょう」 啓太「はあい」 ・ ・ ・ ・ ・ 啓太「では次のトーストにいきます。材料はフライドポテトとピザソース。サンドイッチ用の食パン。あれば ということで、ゆで卵とピーマンも1個ずつもらってきました」 七条「ポテトは、マク○ナルドやファ○ストキッチンなどのような細いタイプのものならそのままで大丈夫 です。でも皮のついた太いタイプのもので、トーストしている時間だけだと中まで温まりそうにない ものなら、軽くチンしてください」 啓太「食べてみて中が冷たいとがっかりしますもんね」 七条「でしょう?」 啓太「えーっと。パンはさっきみたいに重ねて焼いたらいいんですね」 七条「伊藤くんは最高の生徒ですね。すぐに覚えてくれるとうれしいです」 啓太「そんな……。ついさっき聞いたばかりだし……」 七条「これだけじゃないですよ。(啓太の耳元に口を寄せて囁く)○○だって××だって、僕が教えたとお り覚えてくれてるじゃないですか?」 啓太「………………(真っ赤)」 七条「おや? どうしました?」 啓太「いーえ。なーんにもないです。(ふーんだ。もう勝手に伏字にしてやるんだ !!)」 七条「そうですか?(疑い深げ)」 啓太「そうですよ。で? パンを焼いてる間に何をすればいいんですか」 七条「ピーマンは輪切り。ゆで卵はスライスしてもいいし、フォークで荒くつぶしてもいいです」 啓太「はい。できました」 七条「ちょうどパンも焼きあがりましたね。具をのせていきますよ」 啓太「はい」 七条「さっきと同じようにこんがり焼けている方にピザソースをのばします。少し多目がいいですね。塗り 残しがないよう丁寧にね」 啓太「はい」 七条「次にソースの上にポテトをのせます。あんまりたくさんのせても美味しくないですから、敷きつめたり とか盛り上げたりとかみたいな感じにはしないでください」 啓太「うーん。適度に隙間を開けるってむずかしいです」 七条「食べるのは自分ですからね。適当でいいですよ。一度作って食べてみたら、もっとたくさんのせた 方がいいとか、もっと少しにしておけばよかったとかが分るでしょう?」 啓太「そっか。そうですね」 七条「ポテトが置けたら彩りのゆで卵とピーマンをのせます。場合によったらポテトの上に少しピザソース を垂らした方がいいかもしれません」 啓太「ちょっとソースを垂らしておこうかな。で、その上にゆで卵を飾ってピーマンをぱらぱらっと……」 七条「はい。きれいにできましたね。では焼いていきましょうか」 ・ ・ ・ ・ ・ 七条「用意ができたら、もう一度オーブントースターに入れて焼きます。こうすると、今度はさっき焼けて いなかった面が焼けるでしょう? これで両面が焼けます」 啓太「なるほど〜。それでさっき重ねて焼いたんですね?」 七条「わかっていただけたようですね」 啓太「はいっ」 七条「上から見ているだけだと具が邪魔をして焼け具合が分りません。こまめにチェックしてくださいね」 啓太「えーっと。ポテトサラダの方はそろそろ良さそうかな」 七条「できたらフライドポテトの方と交換です。熱くなっていますから出すときに気をつけてください」 啓太「はあい」 七条「出来上がったトーストは、分厚いパンだとふたつに切っても大丈夫です。サンドイッチ用はそのまま の方がいいかもしれません」 啓太「今日はサンドイッチ用だからそのままにしておきます」 七条「はい。ちょうど紅茶も入りましたよ。焼きあがったら頂きましょう」 啓太「はーい」 ・ ・ ・ ・ ・ 啓太「まずはポテトサラダの方から」 七条「どうですか?」 啓太「サラダが熱いってちょっとどうかなって思ってたんですけど、俺的には全然オッケーです。あ、これ 家でも作ろうっと。どうせ母さんは余るくらい作るんだし」 七条「がんばってください。ではフライドポテトの方もどうぞ」 啓太「フライドポテトってピザソースと合いますね。なんだかピザ食べてるみたいだ」 七条「パンがサンドイッチ用ですからね」 啓太「そっか。薄くてかりっと仕上がってるからなんだ」 七条「クリスピータイプですね(笑)」 啓太「えーっと、まだ材料ありましたっけ」 七条「おかわりですか?」 啓太「えへへへへ」 七条「材料はありますけど、ちょっと待ってください。そろそろアレができている頃です」 啓太「あれって……。ああ! あれですね !?」 ・ ・ ・ ・ ・ 七条「……はい、どうぞ。できてましたよ」 啓太「あっ。すごい! コーヒーゼリーになってる!!」 七条「このやり方だと冷蔵庫さえあればオフィスでも作れます」 啓太「どれどれ……。あ、ちょっと硬かったかなって思いますけど、でもちゃんとコーヒーぜりーですよ、こ れ。甘味も程よくて、微糖じゃ駄目って言う意味がよく分りました」 七条「じゃあデザートも出たところで……」 啓太「啓太君のお料理教室を終わります♪」 |
いずみんから一言。 |
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