啓太くんのお料理教室 |
〜14. かぼちゃ料理 2種〜 |
講師・七条臣 |
「か〜ぼちゃ、かぼちゃ。たっぷり、かぼちゃ♪ か〜ぼちゃ。か〜ぼちゃ。 かぼちゃ、たぁぷりかぼちゃがやってくる♪」(みのぷりん・和啓「ハロウィン」より) ( KNOCK KNOCK ) 啓太「は〜い」 ( ドアを開ける啓太。現れたのは愛する紫の瞳の持ち主。しかしその姿は…… ) 啓太「な、何なんですかあっ、七条さん! そんな帽子かぶって」 七条「( それには答えずにっこり笑って ) 突然で申し訳ないのですが、伊藤くん?」 啓太「は、はい。何ですか? ( まるでハリ○・ポッタ○の組分け帽だよ……。汗 )」 七条「何かお菓子をいただけませんか?」 啓太「え? お菓子、ですか?」 ( 思わず振り向いた視線の先には、つい先刻、空にしてしまったポテチの袋がそのままになっている ) 啓太「ごめんなさい。今日のおやつは食べちゃったんです……」 七条「それは……。困りましたね」 啓太「( 困ると言われて焦る )どうしたんですか七条さん。夕食、食べそびれちゃったんですか? だったら西園寺さんに……」 七条「伊藤くん違います(苦笑)。夕食なら僕はちゃんとフグのカツレツ香草ソースを頂きましたよ」 啓太「あ、そうなんですか? じゃあどうして……」 七条「つまり、お菓子を頂けないのなら、伊藤くんにイタズラをしないといけないので、それで困ったと 言ったんです」 啓太「(2秒ばかり考えて)……そっか。それでそんな帽子を被ってるんですね?」 七条「(にっこり笑) イタズラをしてもいいですか?」 啓太「(小さく頷いて) お菓子をもってなかったんですから……(赤)」 七条「今夜たっぷりイタズラをしたら、明日、一緒にお菓子を買いに行きましょう。それで帰ったら かぼちゃの料理を作りませんか?」 啓太「かぼちゃの料理ですか?」 七条「ええ。ふたりで作るときっと楽しいですよ?」 啓太「そうですね」 七条「でも今は。その前に……」 ・ ・ ・ ・ ・ 啓太「はい。そんな訳でかぼちゃの料理です。2種類作る、っていうことでしたけど」 七条「まずはかぼちゃのスープを作りましょうか。それと揚げ物風のものをひとつ」 啓太「うわあ! かぼちゃのスープなんて難しそうです」 七条「でも実はとっても簡単なんですよ。がんばって覚えて帰って、今度ご両親にも作ってあげて くださいね?」 啓太「はあい。がんばりまぁす!」 ・ ・ ・ ・ ・ 啓太「まず材料から教えて下さい」 七条「スープ用にはかぼちゃとたまねぎ。ブイヨンスープ。市販のもので大丈夫ですよ。あと揚げ物用に はかぼちゃとハムです。オーナーレシピでは魚肉ソーセージなんですけど、今日はハムを使って しまいましょう。ハムの種類などは家にあるもので結構です」 啓太「うわっ! お料理教室初のお肉ですっっ!」 七条「オーナーはもともとお肉が大好きなんですよ。病気をして腸の働きが悪くなったので、ドクタースト ップがかかっただけです」 啓太「そうだったんですか……」 七条「今ではたまーにこっそり食べているようですけどね。でも加工食品なんかは原材料を見て、豚脂肪 やビーフエキスなどが書いてあれば買わない程度には徹底していますよ」 啓太「へええ〜。……なんて感心してちゃ先へ進まないですね(笑)。分量はどのくらい用意すればいい ですか?」 七条「それが……。僕は量を計りながら作ったことがないので、改めてそんなふうに聞かれるとちょっと 困ってしまうんです。でもスープですからブイヨンはひとり200ccもあれば充分かと思いますよ。 あとかぼちゃなんかは濃度をみながら足していけばいいですし」 啓太「あ、そっか。そうですよね」 七条「今日は全体でかぼちゃを半分。玉ねぎも半分ということにしましょう。多かったら残せばいいし、 足りなかったら追加すればいいんですから。ね?」 啓太「はいっ!」 ・ ・ ・ ・ ・ 七条「ではどんどん作っていきましょう。玉ねぎ半分は5ミリくらいのくし型に。かぼちゃもそれくらいです」 啓太「はいっ」 七条「ああ……。でもかぼちゃを切るのは危ないですね。大事な伊藤くんが怪我をしたら大変です。 僕が切りましょう。伊藤くんは玉ねぎをお願いします」 啓太「は〜い」 七条「スープ用のものはちょっとくらい大きくても小さくても全然構いませんからね」 啓太「それを聞いて安心しました(笑)」 七条「玉ねぎが全部切れたら、こちらのハムを手伝って頂けますか?」 啓太「はいっ」 七条「厚みも大きさも、だいたいかぼちゃと同じくらいで。湾曲しているところがうまく合わないとは思い ますが、そこはまあ、適当で大丈夫です」 啓太「うーん。こんな感じかなあ。ちょっとはみだしちゃってるけど」 七条「ああ。上出来です。伊藤くんは勘がいいですね」 啓太「そんな……。七条さんの教え方が上手いんです」 七条「そんな可愛いことを言ってくれると、伊藤くんの方を食べてしまいたくなってしまうじゃないですか。 いけない人ですね。( Chu ♪ )」 (しばし中断) 七条「さて。材料が切れたらスープ用のものを炒めます。まずは玉ねぎをじっくりゆっくり炒めてください」 啓太「はあい」 七条「慌てなくていいですから、茶色になるまで丁寧にね」 啓太「はいっ」 七条「そしてその間を利用してお湯を沸かしておきましょう。沸いたらブイヨンキューブを入れてスープを 作っておきます。オーナーのレシピは野菜のブイヨンですが、家にあるものを使って下さい」 啓太「今日は普通のブイヨンです」 七条「たまねぎがそろそろいいなと思ったら、かぼちゃを入れます」 啓太「は〜いっ」 七条「またよく炒めてください」 啓太「♪ か〜ぼちゃ、かぼちゃ。たっぷり、かぼちゃ♪ か〜ぼちゃ。か〜ぼちゃ。かぼちゃ、たぁぷり かぼちゃがやってくる ♪」 七条「おやおや。ご機嫌ですね」 啓太「あ、これ、みのりちゃんが作ってくれた替え歌なんです。某タラコパスタソースの節で歌うんですよ」 七条「伊藤くんはみのりちゃんには特別可愛いがってもらってましたからね。そうやって作ってもらった 歌を歌ってあげるのは、いいご供養になるんじゃないかと思いますよ」 啓太「……うん ( 涙目 )」 ・ ・ ・ ・ ・ 七条「さて。炒められたらミキサーに移します」 啓太「ミキサーですか? あのジュースとか作る……」 七条「はい。これを使うと裏ごしにかけなくていいから楽なんです」 啓太「へええ〜」 七条「ミキサーにかける時は無理をせず、何度かに分けてくださいね。蓋が飛んでしまってあたり一面を 掃除しなくっちゃいけないのは大変ですから」 啓太「……気をつけます(笑)」 七条「かぼちゃとたまねぎを入れたら、そのままでは回らないので、少しだけスープを入れましょう」 啓太「は〜い」 七条「じゃあ回していきますよ。万が一にも蓋が飛んだりしないように、軽く手で押さえながら……」 啓太「はいっ」 七条「中の様子を見て何度も止めながら、少しずつ回してください」 啓太「はいっ。……って、すごい。上の方まできてる」 七条「でしょう? だからたくさん入れすぎると駄目なんですよ」 啓太「うーん。よく分かりました。ホント少しずつにした方がいいと思います(汗)」 七条「回せた分はどんどんお鍋に取っていってください。全部お鍋に移せたら濃度を見てみましょう。 濃いと思ったらちょうどいいくらいまでスープを足します。薄いと思ったらかぼちゃの追加です」 啓太「うーん。よくわかんないですけど……。このくらいでいいかな?」 七条「いいと思ったら少し煮ます。最後に塩で味を整えたら出来上がりです」 啓太「そっか〜。これだと裏ごししなくてもオッケーですね?」 七条「はい。よくできました(微笑)」 ・ ・ ・ ・ ・ 七条「スープを煮ている間に揚げ物の準備をしましょう」 啓太「はいっ」 七条「まず、オーナーレシピで作る場合ですが、これは厚めに魚肉ソーセージをカットしてあるので、 あらかじめフライパンで火を通しておきます。できたらキッチンペーパーで表面の油をしっかり 取ってください」 啓太「今日は違うんですか?」 七条「ええ。揚げてしまいますから、そこまでしなくても火は通ります」 啓太「なるほど〜。揚げないから中まで火が通りにくいってことなんですね?」 七条「はい。その通りです。次に、さっき切ったかぼちゃの両面に薄く小麦粉をはたきます。粉っぽく ならないように気をつけて下さい。できたらハムをはさんで爪楊枝で止めておきます」 啓太「かぼちゃで作ったハムサンドですね?」 七条「伊藤くんは表現がかわいいですね(くすっ)。でもそのとおりですよ。揚げるときは爪楊枝は長い ままでいいですが、オーナーレシピの場合は、はみだした爪楊枝を短く切ってしまってください」 啓太「はーい」 七条「ここまでできたら、あとは普通のフライと同じです。ときたまごにくぐらせてパン粉をつけます」 啓太「はいっ」 七条「……おや? ちょっと待ってください」 啓太「はい?」 七条「両手を使ってしまったら、指先にも衣ができてしまいますよ?」 啓太「あ……。でも菜箸とか使ったら衣が取れちゃいそうで……」 七条「こういうときは右手さんにときたまご、左手さんにパン粉を、それぞれ別々に担当してもらったら、 指先に衣はできませんよ」 啓太「(やってみた)あっ! ホントだ〜。すごい! すごいです、七条さん!」 七条「こんなことくらいでそんなに感心してもらえるなんて、なんだかくすぐったいですね」 啓太「だってホントにすごいんですもん(尊敬の眼差し)」 七条「じゃあ 『 すごい! 』 のキスをしてくださいますか?」 啓太「え?(赤)」 七条「ほっぺでいいですから。ね?」 啓太「……はい…… Chu♪ (赤赤)」 七条「では準備が全部できたら揚げていきましょう。オーナーレシピで作っておられる方は、フライパンに サラダオイルを多めに入れて、両面よく焼いて下さい。この場合、中に挟んだ魚肉ソーセージは もう火を通してあるので、かぼちゃが柔らかく食べ頃になれば大丈夫です」 啓太「じゃあハムを挟んだ方は……」 七条「もちろん普通に揚げればいいんですよ」 啓太「はあい。じゃあどんどん揚げて行っちゃいま〜す」 七条「火を止めたら最後に四角く切った食パンを入れて、余熱でクルトンを作ってしまいましょう」 啓太「そっか〜。クルトンって買って来なくても、ついでの余熱でできちゃうんだ」 七条「ふふっ。感心してないで、スープの味を見て下さいね」 啓太「あっ。はいっ。……えーっと、えっと。もうちょっとだけお塩を足して……オッケーですっ!」 七条「じゃあ揚げたかぼちゃから爪楊枝を抜いてお皿に盛り合わせます。カップに入れたスープには クルトンと刻んだパセリを飾りましょう。お好みでコーヒーフレッシュを少し垂らすと、より本格的に なりますよ」 啓太「じゃあそれも垂らして……。かぼちゃ料理の完成で〜す!!」 ・ ・ ・ ・ ・ 啓太「えーっと。まずはスープから……」 七条「どうですか?」 啓太「なんか、炒めてミキサーかけただけとは思えないくらい美味しいです。かぼちゃの甘味って言うの かな? なんかそんなのがしっかり出てる気がします」 七条「では伊藤くん命名(笑)のハムサンドカツをどうぞ。まずはソースなどをつけずにそのままで」 啓太「(もぐもぐ)あ……?」 七条「あ? ですか(笑)」 啓太「(もぐもぐもぐもぐ)かぼちゃが甘くて……でもハムがちょっと塩辛くて。うわぁ。美味しいかも〜♪」 七条「ご飯のおかずにするときは、ソースより醤油の方が合うと郁は言っていましたが」 啓太「あっ、そうですね。白いご飯だと絶対お醤油が合うと思います。でも今日はご飯がないから、この まま行っちゃいま〜す♪」 七条「今日はハロウィンなのでかぼちゃのスープにしましたが、かぼちゃをじゃがいもに変えるとじゃが いものスープができますよ」 啓太「あっ、そっか。応用すればいいんですね」 七条「その時はブイヨンだけじゃなくて、牛乳も入れて下さい。割合などはお好みで。クルトンと一緒に カリカリに焼いたベーコンビッツをトッピングするといいでしょうね」 啓太「……それもすごく美味しそうです(笑)。皆さんもお好みに合わせて、いろいろアレンジしてみて 下さいねっ! ということで、啓太くんのお料理教室・かぼちゃ料理編を終わりま〜す♪」 |
いずみんから一言。 |
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