ある食料事情。




滝「え〜皆さん。本日はお寒い中」
成瀬「寒いったって、寮の上から下に降りただけだけどね」
和希「というか、寒くて悪いと思ってるなら、いっそ集めないで欲しい……」
成瀬「ハニーは寒がり屋さんだもんね。低血圧だからかな」
岩井「血圧が低いのは……むしろ寒い方が楽でいいんだが……。風邪をひきやすいから
    大人数の集まりは困る……」
滝「本日はお寒い中っ!」
丹羽「お。サルが怒った」
篠宮「こら、滝をからかうな。あれも仕事でやってるんだ」
海野「それに 『本日はお寒い中』 っていうのはこの時季の挨拶の定型文みたいなものだ
    からね〜」
和希「まあ、はじめて話す人に 『いつもお世話になっております』 って言ってるみたいなも
    のだよな」
啓太「って……。、言葉尻をとらえたの、和希の方だろ?」
和希「……(明後日の方を向いてほっぺをぽりぽり)……」
成瀬「ちょっと拗ねてる和希もかわいいよっ」
中嶋「何がかわいいものか。議事進行の邪魔をしているだけじゃないか」
西園寺「いいから始めろ、滝。おまえが食券分の仕事をしているだけなのは、みんな分か
    っているんだから」
中嶋「その通りだ。それに1分早く始めれば1分早く終る。不快な時間は早く終わらせろ」
滝「本日はお寒い中っ、お集まりくださいまして有難うございますっ」
成瀬「はいはい。どういたしまして(苦笑)」
滝「今日のお題は 『年明けの最初に食べたモノは何ですか?』 です。ちなみに俺は地元
    の友人とチャリで初日の出見に行って、待ってる間に食べたたこ焼きやな。寒かっ
    たんで、熱々のたこ焼きがむっちゃ身にしみたわ」
篠宮「ふむ。年明けにふさわしい議題だな」
和希「……ホントにそうか?」
西園寺「ああ。何やら不愉快な意図が透けて見えなくもないが……。ここは早く終らせる
    ために協力しよう」
丹羽「そういうことなら、俺とヒデは中華の点心類だ。横浜の中華街で買ってきたやつ。
    肉まんにエビの蒸し餃子に春巻にシウマイと海鮮ちまきだな。どの順に食ったかは
    記憶にない!」← きっぱり(笑)
中嶋「ったく。毎年毎年押し掛けてきやがって」
丹羽「まあまあ。だから点心代は俺が出してるじゃねぇか」
中嶋「当たり前だ。うちのお手伝いは休み前に、お前の分の布団やら食材やらまで用意
    してるんだ。余計な仕事を増やしてる自覚くらいもって欲しいものだな」
啓太「なんか……、中華はちょっと重そうですね(汗)。朝なのか夜中だったのかはわかり
    ませんけど」
成瀬「さすがは会長と副会長ってとこかな」
篠宮「もう少しさっぱりと、胃に負担のかからないものの方が、健康のためにはいいな」
海野「僕ね〜。僕 『年明けうどん』 っていうの食べた。これだと胃の負担は少ないよね」
丹羽「年明けうどん? なんだそりゃ」
七条「某N食品が出しているカップうどんですね。梅干しだのとろろ昆布だのといった食
    材が入っているので、僕は食べませんが」
中嶋「ほほう。如何にもジャンクフードが好きそうな発言だな」
海野「ところが、おだしが良くて結構美味しかったんだよ〜。壽の字の蒲鉾が入ってたり、
    フタの裏がおみくじになってたりで、おめでたい雰囲気もあったしね」
篠宮「なるほど。確かに年明けらしい造りになっているようですね」
和希「……うちもそんなの買っとけば良かった」
啓太「あぁ。和希んとこはどっかの料亭のおせちだっけ」
和希「そ。きっと美味しいんだろうけど、でもびみょーに美味しくないやつ」
滝「ふーん。ちょこっと食べてみたい気ぃがせんでもないけどな」
丹羽「やめとけ。やめとけ。俺らみたいな庶民が食ったら口が腫れるぞ(笑)」
滝「かもな。ほな遠藤とこはそれでええな。料亭のおせち、と」
丹羽「篠宮んとこも当然おせちだよな? 料亭のじゃなくてもさ」
篠宮「おせちは確かにあるんだが……。年明け最初と言われると違ってくる」
成瀬「そうなの?」
岩井「篠宮の実家は神社だから……」
啓太「そっか」
滝「年が明けたら初詣の客で大忙し、っちゅう訳やな。そらおせち食べるどころか、寝とう
    暇もあらへんわな」
篠宮「まあ……。田舎の小さな神社だからそこまで忙しくはないんだが(苦笑)。朝になって
    アルバイトの巫女さんが来てくれるまでは、落ち着いてトイレにも行けないのは確
    かだ」
成瀬「年が明ける少し前からスタンバイしてないと駄目だしね」
滝「ほな最初に食べたんは……」
篠宮「2時頃だったか。参拝客が途切れたときに、交代でおにぎりを食べた。一口で口に
    入るよう、母が小さめに作ってくれてるんだ」
啓太「へ〜え。忙しそうだけど、でも楽しそうです」
篠宮「ああ。深夜から早朝にかけての冷たい空気は心が引きしまって気持ちがいいぞ。
    1年のはじまりにふさわしいすがすがしさだ」
西園寺「それはわかる。わたしは徹夜はしていないが、毎年利用している旅館が、宿泊
    者向けに除夜釜をかけているんだ。そこで蕎麦饅頭と薄茶を頂いてから初詣に行
    ってきた。あのしんと張りつめた空気は、年を越した、まだ暗いうちでないと味わえ
    ないものだと思う」
成瀬「西園寺も篠宮さんも、いいねぇそういうの。これぞ日本の年越し! みたいで。僕は
    ロンドンで年越しをしちゃってるから、そういう厳かな雰囲気はちょっと羨ましい」
滝「ロンドンの方がなんぼかうらましいけどな。ほな由紀彦は何食べたん?」
成瀬「妹と行ってたカウントダウン・パーティーで食べたフライドオニオン、かな。飲み物は
    かなり濃厚なロイヤルミルクティー」
滝「あかん。その組み合わせ聞いたら、全然うらやましないわ(笑)」
海野「確かに。かなり個性的だね〜」
成瀬「テニス仲間の集まりだったからねぇ。アルコールは出なかったんだよ」
中嶋「それにしてもジュースやジンジャーエールくらいはあっただろう」
成瀬「まあね。妹が取ってきてくれたのがそれだったんだよ(苦笑)。あまり追求しないでや
    ってくれる?」
滝「うん、そやな。妹が作ってくれたんやったら粘土のダンゴでもうれしいもんや。ほな次。
    岩井さんはどないでしたん?」
岩井「俺は……」
滝「俺は?」
岩井「俺は……」
篠宮「まさかまた食べてないんじゃないだろうな」
和希「いくらなんでもそれはないでしょう。今日、何日だと思ってるんです?」
岩井「……年越しそばを1日の朝に食べた気がする……」
一同「…………」
丹羽「ま、まあ! 岩井はそばが好きだったからなあ(^_^;)」
七条「ええええ、そうですとも。元旦にそばを食べちゃいけないなんてきまりは、どこにも
    ありません」
篠宮「卓人! いつも言っているだろう。きちんと食べないと、そのうち絵だって描けなくな
    るぞ」
丹羽「食べてないならともかく、絵を描ける程度に食べてるなら良しとしてやれや」
啓太「絵っていうと、俺、今年の最初に食べたのがゼリーだったんですけど」
中嶋「それもかなり個性的だな(嫌味)」
啓太「カウントダウン見てからお風呂に入ったから、たまたまそうなっちゃったんです」
七条「伊藤くんはお風呂あがりに冷たいデザートを食べるのが好きなんですよね」
和希「そういや寮でも風呂あがりに食べてるよな」
啓太「うん、そう。それでそのゼリーが 『初日の出ゼリー』ってやつでさ。たいそうな絵を描
    いたパッケージに入ってて中がわかんない訳」
海野「うわぁ。そういうのって中が気になって、つい買っちゃうよねぇ」
啓太「えへへ〜。そうなんですぅ」
成瀬「それで中はどうなってたんだい?」
啓太「えーっと、下の方が水色のソーダのゼリーで、真ん中あたりに枝を取ったチェリーが
    乗っかってて、これが太陽のつもりみたい。それを囲むようにオレンジのゼリーが
    あって、いちばん上が透明のゼリーになってた」
和希「なんか……。アイデア勝負だけの商品、って感じだな」
成瀬「手はこんでるけどね。ものすごく(苦笑)」
岩井「だが……、伝えたかったことは……わかる……」
滝「パッケージに 『初日の出』 って書いてあるからやと思うけど」
西園寺「なければわからんな」
啓太「まあね(苦笑)」
滝「ほな、えーっと。お。ラスト、七条か。おまえやったら、甘いもんたーっぷり食べたんち
    ゃうか」
七条「ああ! さすがは滝くんです。良くわかっていらっしゃる(にこやか笑)」
啓太「(え? 七条さん確か朝はサーモンとクリームチーズを挟んだベーグルだったはず
    じゃ……?)」 
滝「やっぱりなあ。そうやろ思たんや。で? 何食べたんや? ベビーカステラか? 餡巻
    きか? それか新しいところでたい焼きパフェか?」← 見事に縁日メニュー(笑)
中嶋「たい焼きパフェ?」
啓太「って何?」
和希「俺に聞くな、俺にっ」
啓太「だって和希だったらマーケティングの関係で新商品とか詳しそうだな、と」
和希「だとしてもたい焼きパフェなんて知るもんかよ(汗)」
滝「知らんのんか? 新しい屋台のお菓子や。普通のんより太った感じのたい焼きで、口
    にクリームやらフルーツやら入っとんねん」
海野「ふうん。何だかシュールなたい焼きだねぇ」
和希「トノサマも食べなさそうですね」
成瀬「少なくとも僕はパスかな(汗)」
啓太「俺も」
丹羽「聞いただけで胸焼けになりそうだ」
篠宮「では七条の答えを聞いて口直しにさせてもらおうか」
滝「あー。せやせや。途中になってしもて悪かった」
七条「いえいえ。僕が今年の最初に食べたのは伊藤くんです」
和希「はいっ?」
篠宮「俺の耳が悪くなったのか、今『伊藤くん』と聞こえたが」
海野「ねーねー。 『伊藤くん』 ってどんな食べ物なの? 甘いっていうことはお菓子? フ
    ルーツ?」
丹羽「んなわけないだろっ(赤怒)」
岩井「伊藤が甘いとは……。知らなかった。特殊体質なのか……?」
七条「かもしれません。全身どこを舐めてもえも言われぬ甘さで……」
丹羽「だからんなわけないって!(赤怒赤)」

 このあと。あまりの馬鹿らしさからメンバーがひとり減りふたり減り……したが、最初に
 抜けたのは真っ赤になった啓太だった。らしい。






いずみんから一言。

明けましておめでとうございます。
皆様は最初に何を召し上がられましたか?
伊住はお稽古のお嬢ちゃんからもらったアンテノール(だったか?)
のチョコレートクッキーでした。
クッキーを食わない伊住が3枚も食ったくらい美味でした♪

さ。中嶋氏サイドを書こう……(汗)。


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