１１年お正月　side Hide

（鈴菱和希プライベート新年飲み会）

丹羽「…………」
西園寺「…………」
七条「…………」
篠宮「…………」
岩井「…………」
和希「皆さん、お待たせしました。あちらに料理の用意が……」
成瀬「……っていう雰囲気じゃなさそうだね(苦笑)」
和希「（また今年もかよと、すっかり諦めムード）……こういう場合、誰に声をかけるのがい
　　　　ちばん無難だと思います？」
成瀬「会長が全身から怒気。西園寺が眉間にシワ。どす黒いオーラの七条は論外として、
　　　　あとは……」
和希「いつにもまして影の薄い岩井さんと」
成瀬「それをたしなめようともせず、苦虫をかみつぶしたみたいな顔で腕組みをしている
　　　　篠宮さん、だね」
和希「どれも甲乙つけがたいまがまがしさですよね。どうしてうちの新年会は毎年こうなる
　　　　んだか(タメイキ)」
成瀬「だいたいいつも啓太がらみだけどねぇ。今年の年賀状は至って平和なものだったし」
海野「それって伊藤くんたちからの年賀状のこと？」
和希「うわっ！　海野先生？」
成瀬「いつの間にそこに？」
海野「うん。ついさっき」
和希「申しわけありません。いらしてたのにまったく気づいてませんでした(汗)」
海野「いいよそんなこと。閉め出されてたら困るけどね。ちゃんとドアは開いたから(笑)」
和希「いや、さすがにそこまでは(汗)」
海野「そう？　でも駐車場で伊藤くんが困ってたよ？　中嶋くんが車から出られなくなった、
　　　　って……」
成瀬「遅いと思ったら……」
和希「どうせまた七条くんにやられたんだ……（タメイキ）」
成瀬「和希。僕が行ってくるから、君はおもてなしを」
和希「中嶋さん、怒ってるでしょうね……」
成瀬「まあ……、いつものことだと諦めてるだろうけどね（苦笑）」
和希「仕掛けてるのが七条くんだとわかってるんだ。諦めるどころかその逆でしょうよ」
成瀬「ははは……。じゃ行ってくる」
和希「よろしくお願いします」

丹羽「ったく毎年毎年……」
七条「ええ。僕たちの神経を逆撫でするために年賀状のデザインを考えているとしか思え
　　　　ませんよ」
篠宮「俺だって今年の年賀状はひそかに楽しみにしていた」
西園寺「そうとも。啓太のバニー・ガールの姿のな」
岩井「耳は白くて……内側がオレンジ味のピンク。ボディスーツと編みタイツが黒。しっぽは
　　　　白だ……」
七条「……岩井さんにしては、ずいぶん積極的な発言ですね……」
篠宮「芸術家の眼が妥協を許さないんだろう」
丹羽「そのくらい期待してた、っていうことだ。啓太の『バニーのお兄さん姿』をな」
七条「かわいかったでしょうねぇ……、伊藤くんのバニー姿は……」
岩井「……はじらいに……ほんのりと、頬を染める啓太……」
丹羽「くうーっ！　たまんねーっっ」
海野「えっ？　伊藤くんがバニーガールになるの？」
篠宮「うさぎ年の年賀状だから当然……、と。え？　海野先生？　これは失礼を」
海野「ごめんね。僕、遅刻しちゃって。みんなを待たせてしまったみたいだ」
西園寺「いえ。そんなことはありません。皆と楽しく話をしていましたから」
和希「（どこが『楽しく』だよ。黒雲を渦巻かせておいて）」
海野「そんなことより、伊藤くんのバニー姿って何？」
篠宮「毎年の年賀状ですよ。中嶋と伊藤からくる」
丹羽「例年の流れから行くと、今年は啓太がバニーガール姿になってんじゃないかって、
　　　　みんなひそかに楽しみにしてたんだ｣
海野「ああ、あれかぁ……。今年も可愛かったよね。あの雪うさぎ、作ったの……中嶋くん
　　　　だったっけ？　上手に作ってたよねえ」
西園寺「あんなもの。誰でもできます。わたしや臣でさえ子供の頃には作ってましたから」
海野「そうなの？　福岡には雪うさぎが作れるほど雪が降らないからわからないや。でも
　　　　年賀状にバニー姿の伊藤くんはいなかったよ？」
丹羽「それはアレだろう。誰か失敗したヤツがいるんだ」 ←　ちらっと和希に視線(笑)。
和希「へっ？」
篠宮「単に気がきかなかっただけだろう。そう責めるな」
　　　　　　↑　和希に向けて意味ありげに頷く(笑)。
和希「俺？」
七条「こういうことはやはり年長者がうまく誘導してさしあげないと」
　　　　　　↑　背の高さを利用してわざとらしく見下ろす(笑)。
和希「なんで……」
西園寺「毎年、これでもかとばかりに着ぐるみを贈っておいて、肝心の年にこの様とはな」
　　　　　 ↑　これまたわざとらしく鼻で笑う(笑)。
和希「だから何なんですか！　啓太にうさぎの着ぐるみならちゃんと送ってますよ(悲鳴)」
西園寺「うさぎ、ねえ……」 ←　やっぱり鼻笑い(笑)。
和希「今年は苦労したんですよ？　うさぎの毛の質感を出すのが本当に難しかったんです
　　　　から。いったい何種類の布を取り寄せたことか」
丹羽「だから。ふかふかの白うさぎじゃ意味ねぇんだよ」
岩井「みんな……、見たかったんだ。啓太のバニー・ガール姿を……」
和希「啓太のバニー・ガール姿……？」
篠宮「黒のボディスーツに編みタイツ。ハイヒール。手首にカフス。耳としっぽが必需品だ」
和希「……(想像中)……。うあああああーっ。なんて、なんてもったいないことをーーーっ！」
海野「あ。思いつきもしてなかったんだねー」 ←　ほのぼの。
和希「馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿。俺の馬鹿ーーーっ！」
成瀬「どうしたの、和希？　何が馬鹿？」
七条「……どうやら、思いっきり真剣に思いつかなかったようですね」
丹羽「これだから年寄りは困ると言うんだ」
西園寺「おい、遠藤。いつまで言ってる。いい加減にしろ。いい歳をして見苦しい」
和希「だってもったいないじゃないですか！　せっかく啓太が」
啓太「俺？」
和希「そう！　啓太がっ！」
啓太「俺がどうかしたの？」
和希「うさ……って、啓太？　無事だったか？　何があったんだ？」
啓太「俺は別に何ともないんだよ。ただ中嶋さんが車から出られなくなっちゃっただけで」
和希「クルマから出られなくなった……って」
丹羽「なんだ、そりゃあ」
中嶋「わからん。こいつを降ろして俺も出ようとしたらドアが開かなくなった」
篠宮「ますます意味不明だな」
成瀬「地下に下りたら啓太が泣きそうな顔でドアをがちゃがちゃやってるんだ。驚いたよ」
和希「それでどうやって出られたんですか？」
啓太「それもわからないんだ。成瀬さんが来てくれて、説明してるうちに突然、開いた。
　　　　かちゃっと。あっさり」
海野「変なの～」
成瀬「まるでドアが磁石にくっついてたみたいだったよ」
中嶋「ああ……。そう言われればそんな感じだ」
和希「磁石……？」
丹羽「電磁石なら……入切は簡単だな」
篠宮「うむ。あり得るな」
岩井「今日は……駐車場の番号が指定されていた……」
和希「ええ。今、ちょっとした改修工事をやってて、ゲスト用の駐車場が半分しか使えない
　　　　んです。それで他の住民のゲストとバッティングしないように、早くから皆さんの分を
　　　　確保してたんです」
丹羽「つまり、中嶋がどこに停めるかってのは、調べようと思えばいくらでも調べられた、っ
　　　　て訳だな」
西園寺「……臣……？」
七条「(黒笑)」
丹羽「またかよ(呆)」
和希「よくもまあ毎年毎年(呆)」
篠宮「それだけいろんな手段を思いつくものだ(呆)」
啓太「ちょっと待てよ。これが誰かの (こういうときに『七条』という単語は使わない方がいい
　　　　と、とっさの判断・笑) 仕業だったとして」
和希「うん」
啓太「ついでに遠隔操作で電磁石を使ったとして」
和希「うん」
啓太「どうやってスイッチ入れたり切ったりのタイミングを計ったんだろう？」
和希「タイミング？」
啓太「そう。俺が降りてから中嶋さんがドア開けようとするまで、ホントに何秒もなかったし、
　　　　成瀬さんが来てくれて、説明してるうちに開いたんだ」
篠宮「もともと開いていた、ということはないんだな」
海野「それはないよ。伊藤くんが困ってたから、僕もやってみたけど開かなかったもの」
成瀬「うん。僕も確かめた。どのドアも開かなかったよ」
中嶋「ふん。どうせ使い魔あたりに報告させてたんだろうよ(冷笑)」
岩井「……使い魔……」
丹羽「(思わず)ぷっ」
七条「会長？」← 無表情(笑)
丹羽「や。悪ぃ。けどあんまりにも似合い過ぎててよぉ(爆)」
七条「どこかの人非人さんならともかく、僕はそんな非科学的な方法を取ったりしませんよ」
篠宮「じゃあどうやったんだ？」
和希「（王様と篠宮さん。絶妙の誘導尋問、ナイスですっ！）」
七条「超小型であるにもかかわらず強力な電磁石に指向性をもたせたもので、発信機兼用
　　　　の集音マイクを作ったんです」
海野「え～？そんなのできるの？」
七条「今、製法のほとんどの段階を特許申請する準備中です。今回のこれは最後の実験
　　　　でした。どうやら成功したようですね」
和希「七条さん？　お願いですから人の家でそんなことは……」
七条「おや？　特許が取れたら鈴菱マテリアルと鈴菱商事に製造販売の一切をおまかせし
　　　　ようかと思っていたのですが……。ご賛同いただけないようでしたら他社に……」
和希「わっ！　ま、待ってくださいっ！」
中嶋「ほお？　聞いたか、啓太。おまえの大事なオニイチャンは、おまえや俺の感じた恐怖
　　　　心よりも、自社の利益の方が優先されるらしい」
成瀬「(……恐怖？)」
西園寺「そう責めるな。もしそんなモノが本当に開発できたのなら、世界中の軍需産業が
　　　　列をなして買いにくるようになるんだ。それをみすみす逃すようでは、経営者失格だ
　　　　からな」
成瀬「何か……。擁護しているようで、結構しっかり非難してるね(汗)」
啓太「和希……(涙目)」
和希「(そんなこと言われたって啓太は外に出てたんだし……。こっちこそ泣きたいぞ？)」
啓太「和希。今『実質的な被害がなかったからいいじゃないか』って思ったろう」
和希「えっ？いっ、嫌っ！　そんなこと！　これっぽっちも思って……」
篠宮「思っていたようだな」
啓太「そっか……。そうだよね。西園寺さんの言う通りだ。和希は立派な経営者で、従業員
　　　　と家族の生活に責任あるんだもんな……(寂)」
和希「おわわーっ！　啓太！　お兄ちゃん、決してそんなつもりは……っ！」
成瀬「あ、あのさ啓太？　もういい加減、許してやってもらえないかなあ(汗)。啓太が好きだ
　　　　からって、ポテトサラダたっぷり作って待ってたんだし、ね？」
和希「(ナイスフォローだ、成瀬さん！)」
成瀬「じゃがいもを剥くだけでもずいぶん時間がかかったんだよ？」
啓太「うーん……。どうしよう……」← ちらっと中嶋を見る。
中嶋「まあ許してやれ。貸しにしておけばいい」
啓太「貸し！　そうですね。お正月だし」
和希「助かったー(ホッ)」
啓太「だけど和希にだけはうさぎの写真、見せてあげないことにする」← いぢめっ子(笑)。
中嶋「うさぎの写真？」
海野「え～？　伊藤くん、うさぎ飼ったの？種類は？」
啓太「違いますよぉ。中嶋さんが事務所の忘年会のビンゴゲームで、なりきりのうさぎグッズ
　　　　をもらってきたんです」
丹羽「それってもしかして、こんな具合にうさぎの耳を (アタマの後ろで両手をぱたぱたさせ
　　　　ながら)……アタマにつけたりするやつか？」← 網タイツとかしっぽとかはさすがに聞
　　　　けない(笑)。
啓太「あ、そうです。カチューシャになってるやつ」
七条「……何やら素晴らしい環境にお勤めのようですね」
西園寺「引き当てる中嶋も中嶋だがな」
中嶋「おまえ、まさかアレ……」
啓太「はい。あの写真です。だってあの写真、すっごく可愛く写ったのに、年賀状に使うの却
　　　　下されちゃったから」
篠宮「ほう？それはつまり、『うさぎの耳 (以外にもいろいろ。と、心の声・笑) をつけた伊藤
　　　　の可愛らしい写真を、中嶋が握りつぶした』ということか？」
啓太「ちょっとニュアンスは違う気がするんですけど……。まあ、概ねは」
丹羽「中嶋、テメェ(怒)」
中嶋「あんな写真、可愛いなんてふざけたこと言ってるのはこいつだけだ。こんなごつくなっ
　　　　た男のバニー姿なんて、誰が見たいものか」
和希「ば、ばにー（ごくっ）」
西園寺「一般論としては確かにそうだが、わたしは啓太の感性を信じよう」
七条「そうですね。誰かさんは人ではないのですから、感性がずれているだけかもしれませ
　　　　んし」
丹羽「俺はいつだっておまえの味方だぜ？　な？　啓太。おまえが可愛いと思ったんなら、
　　　　きっとうさぎの写真も可愛いに決まってるさ」
篠宮「そうだ。中嶋の言うことなど気にしなくていい」
岩井「俺は……、啓太のうさぎ姿が見たい……」
成瀬「小声だし途切れがちだけど、いちばんストレートな物言いをしてるね(苦笑)」
七条「普段、欲を見せない人はこういうときに得ですね(感心)」
和希「けーたぁ。俺も見たいんだけど(愛想笑)」
啓太「だーめ」
和希「いいじゃないか」
啓太「だめだよ。見せちゃったら罰ゲームにならないもん」
西園寺「罰ゲームだったのか？」
啓太「変？　だったらお仕置きとか？」
丹羽「それじゃヤバいだろ(汗)」
啓太「じゃあ……。まあ、何でもいいや」
和希「いいんだな♪」
啓太「見てもいい、の『いい』じゃないぞ？」
和希「……(騙されなかったか。ちっ)」
成瀬「和希も……。いい大人なんだからもう諦めれば？　啓太は『写真を見せないかわりに
　　　　許してくれる』って言ってるんだから」
和希「だって成瀬さん。啓太のうさぎ姿ですよ？　あの啓太がうさぎの耳をつけた写真を俺
　　　　だけが見せてもらえないなんて……（泣）」
丹羽「不幸だな」
西園寺「だが自業自得だ。誰も責められまい」
和希「だけどそもそもは七条さんの悪戯じゃあ……」
七条「そうですね。セキュリティがもっと強固なものだったら、こんな悪戯はできなかったでし
　　　　ょうね。あまりにもあっさり成功してしまったので驚いてしまいました」
和希「う゛……」
啓太「俺……。俺、出られなくなった中嶋さん見てて、このまま出られなくなっちゃったらどう
　　　　しよう。もう声が聞こえなくなっちゃったら。もう触ってもらえなくなっちゃったら……。
　　　　そう思ったら怖くて怖くて……(半泣)」
一同「…… (いや。中嶋なら窓をぶち破ってでも出てくるだろうと思いつつ、今の啓太には
　　　　逆らえない・笑) ……」
中嶋「(ここぞとばかりに啓太を抱き寄せて) ちゃんと出られたんだ。もう安心していい。これ
　　　　に懲りたオニイチャンは、きっとどんな悪戯もはねのけるくらい強力なセキュリティを
　　　　構築してくれるだろうよ」
啓太「ホントだよ？　和希。もう俺以外の誰にもこんな思いをさせちゃダメだよ？」
成瀬「(七条がそんな悪戯をするのは中嶋さん限定なんだけどなあ・苦笑)」
和希「うん。約束する。ごめんな」
丹羽「おっと……。ちっとばかししんみりしちまったな。ここらで啓太の可愛いうさぎ姿でも見
　　　　て、ぱっと盛り上がろうぜ！」
篠宮「ああ、それがいい」
七条「何と言っても今日は新年会ですからね」
西園寺「さ。啓太。こっちに来ておまえの可愛いうさぎ姿を見せてくれ」
七条「遠藤くんなんて、そのあたりに放っておいていいですからね」
和希「放って……(絶句)。るーるー(T.T)」
海野「遠藤くんにはあとで僕が教えてあげるから、今はがまんしよ？」
和希「(移動しかけた成瀬を引き留めて) ちょっと成瀬さん。あんたまで行くんですか！」
成瀬「だって君の分までしっかり見てこなきゃ。ね？」
和希「ね？じゃないだろう……。あんないそいそと行っちまいやがって(T.T)」
中嶋「ふん。普段の関係が偲ばれるなあ(冷笑)」
和希「ほっといてください。あんたと啓太みたいな訳にはいきませんよ」
中嶋「それはそんなふうに仕込んだからだ。手はかかったがな(ニヤリ)」
和希「はいはい、そうですか……(タメイキ)。もう何とでも……。って、あれ？なんであんた
　　　　はここにいるんだ？」
中嶋「さっきも言ったろう。あんな写真、見て可愛いなどと言うのはあいつだけだ」
和希「？それはどういう……」
中嶋「連中の様子を見てれば分かるだろう。あれが『可愛い啓太のうさぎ姿』を見たリアク
　　　　ションだと思うか？」
和希「(思わず振り向いて見て)……確かにそうですね。喜んでるのは啓太と海野先生だけ
　　　　で、あとはむしろ凍りついてるような……」

篠宮「伊藤。有難う。とてもいい写真だった」
丹羽「さ、メシにしようぜ。メシに。可愛い啓太の写真も見たしな」
七条「僕は今、とってもお酒が飲みたい気分です。伊藤くんのうさぎ姿がこんなにお酒に
合うとは思っていませんでした」
成瀬「ごめんね、和希。待たせちゃった」
和希「それはいいんですけど……。みんな反応が変ですよ？　いったいどんな写真だった
　　　　んです？」
成瀬「う？　うん。啓太はとても可愛かったよ？」
岩井「ああ……。俺も、そう思う……」
篠宮「卓人の言う通りだ。伊藤は本当に可愛かった」
和希「可愛かったって言ってる割りに、そんな顔してませんよね。可愛いモノを見たというよ
　　　　りはむしろ、恐ろしいモノでも見たみたいな……」
丹羽「んな訳ねえだろ？啓太がうさぎの耳をつけてんだ。可愛いに決まってんじゃねえか」
西園寺「うさ耳啓太が予想以上に可愛かったのはわたしが保証しよう」
和希「…………(-_-;)」
啓太「和希？どうかした？」
和希「いっ、いや？」
啓太「そう？なんか『納得いかない！』って顔してるけど」
和希「べっ、別に？」
啓太「ふ～ん？」
中嶋「そう突っ込むな。オヂサンには我々若者にわからない苦悩があるんだ(ニヤリ)」
啓太「そうなんだ……。お正月なのに大変なんだな(素直・笑)」
和希「ま、まあな」← おまえの写真がアヤシイんだとは、とても言えない(笑)。
中嶋「さ、こんな年寄りは放っておけ。あっちで成瀬がローストビーフを切り分けてるぞ」
啓太「はぁい♪」

丹羽「よぉ啓太。おまえの写真をサカナにさせてもらってるぜ」← ハイボール一気呑み。
岩井「うさぎの耳が……よく似合っていた……」← 日本酒一気呑み。
七条「ええ。可愛かったですよ」← 赤ワイン一気呑み。
西園寺「想像した以上に可愛かったな」←　白ワイン一気呑み。
篠宮「伊藤は猫や犬だけでなく、うさぎの耳も似合うんだな」　←　日本酒一気呑み。
成瀬「（こっそりと）和希？　あの分じゃ用意した酒はあっという間になくなりそうだから、今
　　　　のうちに補充した方がいいと思うよ？」　←　日本酒一気呑み。
和希「そういうあんたも飲んでるんですか」
成瀬「だってまあいろいろ……。お酒が飲みたくなるような写真だったんだよ」
和希「いくらでも追加はしますけど……。そんなふうに飲む酒じゃないんだけどなあ……」
啓太「なんか……。今日はみんなすごいピッチで飲んでるんだな」
和希「ああ。今から追加しておくよ」
啓太「和希のトコの飲み会は、運転代行を頼んでくれてるから安心して飲めるんだよな」
成瀬「（そんなんじゃないんだけどなあ……。苦笑）
和希「中嶋さんや海野先生はそれほど飲んでないんだな」
啓太「なんかふたりで話がはずんでるみたいだな」
和希「んじゃちょっと行ってみるか……」
海野「中嶋くん。さっきの写真、とっても可愛かったよ～」
中嶋「そうですか？　そんな風に言ってくださるのは海野先生だけですよ」
和希「（そんなことないだろ？　みんな啓太が可愛かった、って……）」
海野「ううん？　みんな思ってるんじゃないかなあ。わざわざ言わなかっただけで」
和希「（いや？　みんなさんざん言ってたぞ？）」
海野「でも意外だったなあ……。中嶋くんって、あんなにバニー姿が似合うんだったんだね」
和希「……え゛……」
啓太「ね？　可愛かったでしょう？」
海野「せっかくだからあれで年賀状作ればよかったのに」
啓太「中嶋さんが絶対駄目だ！　って怒ったんです……」

啓太と海野先生の会話を片耳で聞きつつ、今回ばかりは中嶋の判断が正しかったのだと思い知った一同だった……。

和希「……（み、見なくて幸いだったのか……。滝汗）」