約束〜もう一度あの場所で〜(13〜18) 2006/03/23(木) 約束〜もう一度あの場所で〜‥13 ケイタの声と絡み付く視線に煽られながら、和希はゆっくりと指を動かし始めた。 「−−−−っ!」 和希の指の動きにケイタの体は敏感に反応していく。 和希が探るように指を動かし、抜き差しする度に、ひくりとケイタの白い腰が揺れ、声が響く。 「−−−あ、もっと‥奥もぉ。」 ケイタは自ら脚を開き、和希の前に腰を突き出しねだる。 「奥?‥もっと?」 「うん‥‥もっと‥。」 焦れたように自分から体を押しつけ甘えるケイタの姿に、翻弄され、さらに煽られていくのを感じながら、和希は誘われるままにソファーに片膝を付き、ケイタを背中から抱くようにしながら、さらに奥へと指先を動かしていった。 「ん。」 ぎゅっと目を瞑り、快楽に耐えるケイタの横顔を見つめながら、和希は慣れない気持ちを持て余していた。 愛しくてたまらない。−−− 正直なところ、誰かを抱いて、和希がこんな気持ちになるのは始めてだった。 和希は、今まで何人もの人間を戯れに抱いてきた。 啓太を亡くし、自暴自棄になった和希は、夜毎に見る啓太の夢から逃れるために、手当たり次第に手を出していた。 男も女も‥一人でも複数でも‥鈴菱の名と和希の外見のお陰で、いくらでも相手は見つかった。 行きずりの相手と思いつくままのプレイを楽しんだ。刺激的な行為は強い快楽を生んで、和希の心から啓太の存在を、罪の記憶を一時的には消してくれた。だがそれだけだった。 和希に組み敷かれ喘ぐ体は、なんでも言うことを聞く体は、ただ快楽を生み出し、欲望を吐き出す道具でしか無い。快楽‥それ以上のものを彼らは決して和希に与えてはくれなかったのだ。 「あぁ‥。和希さ‥ん。」 律儀に名前を繰り返すケイタ。客と男娼。関係は今までの相手と変わりはしない。なのに‥。 和希の行為に感じる声も、快楽に耐え切れず、ガクガクと震える細い脚も、和希の心を誘うのだ。 もっと感じて欲しい。 ケイタ、もっともっと狂ったように俺の名前を呼んで、求めて欲しい。−−−−そんな思いは始めてだった。 「ここがいいの?ケイタ?凄く‥いいんだ?」 意地悪く囁く和希の声に、潤んだ瞳で見つめ、息も絶え絶えに頷き答える姿。それだけで、和希は切なくなる。愛しさで苦しくなる。 「可愛いね。ケイタ。どうしてなんだろう‥。 どうしてこんなに‥。」 愛しいんだろう‥。−−−−−啓太以外の誰にも、和希はこんな思いを抱いたことは無かった。抱いてる間も、その後も。 なのに、なのに‥。 「いい?ケイタ?」 ケイタの首筋に口付けながら、和希はベルトを外しファスナーを下ろす。 「うん‥和希さん‥きて‥。」 こくりと頷くケイタに、和希はゆっくりと身を沈めて言った。 ×××××× 「辛くない?」 シャワーで体を流しながら、和希は腕の中のケイタを見つめた。 「平気です。優しいんですね。和希さんって‥。」 少し疲れた顔をしながら、それでも甘く自分を見つめるケイタの視線が嬉しかった。 「優しいなんて‥少し無理させた気がするから‥。」 ケイタの視線に照れながら答え、バスルームを出て服を着替えると、和希はケイタを抱き締め唇を塞いだ。 離れたくない、けれど約束の時間が近づいていた。 「和希さん?‥あの‥ね?」 いつまでも自分を抱き締めたまま、離そうとしない和希を見つめながら、ケイタは辛そうに言葉を吐いた。 「ん?」 「あのね、俺、凄く気持ち良かったです。和希さん優しくて‥俺凄く‥だから‥俺。」 「ね、次はいつ逢える?」 良かった‥と言いながら、ケイタの顔は辛そうで、今にも泣きだしそうで、和希は焦りを感じながら早口でそう告げた。 「え?だ、駄目です。」 予想していなかった答えに、和希は驚いて大声をあげた。 「どうして! 俺、ケイタに嫌な思いさせた?」 「そうじゃなくて‥。」 「じゃあ何?俺はまた君に逢いたいよ。ケイタに逢いたい。ケイタは?俺と逢うのはもう嫌なの?どうしても嫌?」 「‥‥。」 俯いて返事をしないケイタに、和希は苛立ち始めた。 「君の携帯なら、今すぐあの人と連絡がつくんだろ?電話して‥それも嫌?」 「嫌だなんて、お客さんがしたいと云うことに、そんなこと言う権利、俺にはありません。‥‥俺に拒否する権利はないですから‥。」 悲しそうに唇を噛み俯くケイタを和希は冷ややかに見つめた。 嫌だと言えない立場の人間が、駄目と口にする。その意味を和希は理解して震えた。 つまり、本当の拒絶なのだ。駆け引き無しの拒絶。 それを理解して、和希は自分の中に嫌な感情が芽生え始めた事に気が付いた。 嫌がるなら、余計に欲しい。ケイタがどうしても。 「じゃあ電話して、早く。 君は人気なんだろ?一刻も早く電話しないとね?」 苛立ち紛れに嫌な言い方をしている‥と自分自身に呆れながら、蔑みながら和希はケイタに命令した。 「分かりました。」 項垂れたケイタは、のろのろと電話を掛け始めた。 それを見つめながら、和希は自分の愚かさを心の中で、舌打ちし罵っていた。 −−−俺は何をむきになっているんだ?ケイタにこんな悲しそうな顔をさせて、無理強いしてまで逢いたいのか?それでもどうしても欲しいのか?−−− 「もしもし、ケイタです。あの、お客さまが本庄さんと話がしたいと、仰ってるんですが‥。」 震える声で電話の相手に伝え、相づちを何度か打った後、ケイタは俯いたまま和希に電話を差し出した。 「どうぞ。」 「もしもし、変わりました。」 ※※※※※※※※※※ 自分で書いててなんなのですが、こういう和希さんて‥ちょっと‥なんというか‥嫌かも‥。 ◆ ◇ ◆ 2006/03/25(土) 約束〜もう一度あの場所で〜‥14 『ケイタは気に入らなかったのか?それでも金は返さないぜ?』 しゃがれた耳障りな声が、和希の耳に響いた。 「いいや、気に入ったよ。とてもね、だからもっと逢いたいと思ってね。」 俯くケイタを見つめながら、和希は言った。もう後には引けなかった。 例えケイタが嫌がっても、それでも本庄の、雇い主の許可が出ればケイタはここに来るしかない。和希は必死だった。なりふり構う余裕など無かった。 『へえ?‥‥だがな?』 「言いたいことは分かっている。だから君が都合が良いと思う日に予定を入れてくれ、何日でもかまわない。毎日でも。」 毎日、その言葉にケイタが顔を上げた。泣きそうな顔をしている。それが和希には辛かった。 『毎日?そいつは困る。前にも言ったがケイタは人気なんでね。あんただけがケイタの客じゃない。そいつは我慢してもらわないと。』 「だから、言ってるだろう?君の都合が良い日で構わないと。」 イライラと言いながら、和希は煙草に火をつけた。 『ふうん?随分とまあ、心酔したもんだ。ケイタの具合はそんなに良かったんで?へえ?』 「何が言いたい?本庄!」 和希の声にケイタがビクリと震えた。 『最初はただの興味。だが一度抱いてみると、虜になる。ケイタはどうもそうらしい。くくっ。 あんたもどうもその様だ。一言注意してやろうか?ケイタはねえ。とんでもねえ魔物だぜ。あんたいずれ身を滅ぼすよ。』 「どういう意味だ。」 『なにも?言葉通りって奴さ。 狂うんだとよ。 手に入れたくてどうしようもなくなるんだとさ、欲しくて欲しくてたまらねえんだとさ。いい大人がまったく良い様さ。あんな餓鬼のどこがいい‥おっと失礼。大切なお客様に聞かせる話じゃねえ。』 「君は何が言いたい?俺を怒らせたいのか?」 和希は苛立ち、その声は自然に大きくになる。その様子に本庄は笑った。 『くっくっく。恐いねえ?恐い恐い。そんなに大声を出したら、可愛いケイタが怯えるだろう?あいつは怖がりの泣き虫でね?すぐに怯えてべそをかく。』 「‥。」 『お客さんが気に入ったから忠告した迄のこと、そう目くじら立てる話でもねえだろ?あんただってそうなんだろ?訳も分からずケイタが欲しい。毎日でも逢いたい。そうだろ?まあ、失礼をした詫び替わりに、ケイタを取り敢えず2回貸し出そうか。2時間30万延長は無し。金は前と同じく前金で振込んでくれ。日にちは一週間後とさらにその一週間後の今日と同じ時間。どうだ?』 「わかった。それでいい。」 『OK。あぁ、それと、その他に300万振込んでくれ。』 「は?それは?」 『そうさな‥明日、御苑のボーヤの家に行けば分かるさ、話は通しておく。』 「分かった。明日何時に行けばいい?」 もう来るな、丹羽にそう言われたのに、和希は躊躇わず答えた。 『入金を確認したらホテルに電話を入れる。それでいいな?』 「わかった。」 『あんたがもの分かりの良い人間で助かるよ。くくっ。じゃあケイタを出してくれ。』 「あぁ、ケイタ。」 名前を呼び、携帯電話を返す。 「はい、ケイタです。えっ!!‥そ、そんなことはありません!!俺っ。‥え?そんな‥‥はい。えっ?分かりました。30分後‥はい。」 電話をしている間、ケイタはずっと震えていた。震えて、青ざめて、何かに耐えるように‥ただ必死に頷き返事をしている様に、和希には見えた。 「はい、では後で‥。」 そう言った後、ケイタは電話を切り、ポケットに携帯電話を落とすとふらりと立ち上がった。 「ケイタ?あのね、さっきはキツイ事を言って‥あの?」 さっきの話の言い訳をしようと和希はケイタに話し掛けた。 先刻和希は、苛立ってケイタにキツクあたった。命令して電話を掛けさせ、無理矢理に約束を本庄に取り付けたのだ。ケイタはそれを望んでいないのに。 「さっきのは、あのね‥?」 言い訳の言葉を探す。だけどなんて言ったらいいのか、和希は分からなかった。謝ることになれていなかったから、『さっきはごめんね。君に悲しい思いをさせたかったんじゃないんだ。』そんな簡単な言葉すら、和希は思いつかなかったのだ。 「いいんです。あの‥帰ります。」 視線を合わさずケイタは言った。 「ケイタ?」 「失礼します!!」 青ざめた顔でそう言うと、ケイタは部屋を飛び出していった。 「ケイタ。」 乱暴に閉められたドアを和希はただ見つめていた。 さっきまでの幸せな気持ちなど、もうどこにもありはしなかった。 6、タイムリミット 「はぁ‥はぁっあと28分。」 人気の無い夜の街をケイタは走っていた。 西新宿にあるホテルから新宿駅まで普通に歩いて10分程、そこから御苑近くにある家までは20分弱、走れば30分以内で家には十分着く。だが‥。 他人を受け入れたばかりの体は、重く、痛みさえ感じてしまう。本当なら普通に歩くのもつらいのに、走るなど無謀とも云える行為だった。 「あっ!!」 ふらついて歩道の段差に何度もつまずいた。5センチ程の段差、それに足をとられ転ぶ。 「痛いっ‥!!」 転んだ拍子に両手のひらを擦り剥きながら、歯を食い縛り立ち上がる。弱音を吐いている暇は今のケイタには無かった。 『ケイタ?お前最近俺の云うこときかなくなったよな?』 和希の部屋での本庄との電話。和希となにやら交渉をした後、本庄は不機嫌極まりない声でケイタを脅したのだ。 『もうあの苦しみを忘れたらしいな?ケイタ‥そろそろ思い出してみるか?‥ん?どうだ?』 本庄の声にケイタは泣くのを必死に堪えた。 『そろそろ教育のやり直しの時期かもなあ?そう思わないか?ケイタ。』 本庄の言葉にケイタは気が遠くなりそうだった。 ◆ ◇ ◆ 2006/03/26(日) 約束〜もう一度あの場所で〜‥15 『躾しなおしか?あの恐怖をもう一度味わえばどうだ? たっぷりと仕置きをして、その物覚えの悪い頭に行儀を教え込んだら、少しは素直ないい子になるんじゃないか?ん?どうなんだっ?なるよなぁっ!ケイタよぉ。 くくくっ。ケイタ、お前は何が好きなんだったかなあ? なぁんにも見えねぇ、自分の指先も見えやしねえ暗闇の中で、拘束されたまま延々とヤラレルのがいいのか?それとも注射か?ん?それぐらいは選ばせてやってもいいんだぜ?』 本庄の言葉にケイタは必死で耐えた。ここで恐怖に負けたら、取り乱して騒いだら、ここぞとばかりに本庄に責められてしまう。 『‥‥でも、お前がいい子ならそんな事はしねえよ。俺の言う通りに従う人形にはなぁんにもしねえ。 お前はどうなんだろうなあ?従順な人形かテストしようか?くくくっ。今から30分後、家に電話する。お前の保護者殿に用事があるからな。その時にそこにお前がいなければ、テストは終わりだ。いいな?』 ケイタの怯えに気付いたのか、本庄は満足気に笑いながらケイタを脅した。 『テストがクリア出来ねえときは、どうなるか‥わかるよなぁ?ケイタ。くっくっくっ。楽しみにしてるぜ?』 その言葉にケイタは頷くしか無かった。 そして、ケイタは走りだしたのだ。夜の街を。 擦り剥いた両手が痛くて、疲労しすぎた体が痛くて、走るたびに体中が悲鳴をあげていた。恐怖で気が遠くなりそうだった。それでもケイタは懸命に走った。 「間に合わない‥もっと急がなきゃ‥間に合わない。」 心は焦るのに、なのに足が思うように動かない。よろよろとした足取りのまま、それでも一秒でも早く、一歩でも先に行かなければ‥と気持ちだけが急いていた。 「中嶋さん‥王様。」 泣いちゃいけない、泣いたら前に進めなくなる。泣いちゃいけない。自分に言い聞かせながら走る。 人気のない道。 細い路地を抜け、甲州街道へと出てもそれは変わらなかった。真夜中、歌舞伎町に面した東口側と違い、西口は駅の近くにでもいかなければ人通りなどほとんど無い。 「もうすぐ駅だ。」 あと2ブロック‥いやもう少し先かもしれない。駅に近付き、南口のゆるやかな坂を下り、それから15分以上は走らなければならない。 「走らなきゃ、早く‥走らなきゃ‥。」 ケイタの足音だけが響く。ペタペタ‥ペタペタ‥今にも止まりそうな足音だけが響く。 ペタペタ‥ペタ‥ペタ‥小さな、今にも転びそうな頼りない足音が響く。 「走らなきゃ‥はし‥あっ!」 ようやく辿り着いた駅近くの交差点を、赤信号を無視して渡りきった後、ケイタはまた段差でつまづいて転んでしまった。 「痛っ。」 転んで、また両手を擦り剥いて、そしてもう立ち上がれなかった。 体が痛くて、擦り剥いた手も痛くて、もう走れそうになかった。 「中嶋さん‥王様。」 涙でケイタの視界が歪んだ。今日はなんて日なんだろう。辛くて悲しくてたまらなかった。 「これは罰なんだ。きっと。」 ケイタはもう立ち上がる気力さえ残っていなかった。 「罰なんだ‥俺があの人にあんな顔させたから‥。」 とうとう涙が溢れてきてしまった。 「泣いたら駄目だよな。心配かけちゃうよ。それに‥泣いたら走れないよ。」 ゴシゴシと涙を拭いながら、自分に言い聞かせる。 けれど体は動かない。もう走っても無駄なのだ、どうせ間に合わない、もう無理なのだ。その思いが動きを封じていた。 「罰なんだ、折角逢えたのに、もう一度逢えたのに。」 ケイタがもう一度逢いたい、そう思っていた人。ほんのちょっと話をしただけの人なのに、なのにどうしても忘れられなかった優しい人。その人はケイタを見て「逢いたかった」と言って抱き締めてくれたのに、なのにケイタは何も言えなかった。「俺もです。俺も逢いたかったんです。」本当はそう言いたかったのに、なにも言うことが出来ず、それどころか逆に怒らせてしまったのだ。 「悲しそうな顔だった‥凄く怒ってた‥‥。」 謝らなきゃ、そう思っていたのに、本庄の言葉に動揺して、ケイタはそのまま部屋を飛び出してしまったのだ。和希を怒らせたまま。きっと誤解しただろう。ケイタの事を誤解して、悲しんでいるだろう。それを思うと悲しくてたまらなかった。 「俺、言えばよかったちゃんと‥。莫迦だ‥俺。」 莫迦だ‥呟きながら、ケイタはふらりと立ち上がった。 「謝らなきゃ。ちゃんと、だから‥走らなきゃ。」 本庄の出した条件をクリアできなければ、きっとケイタは本庄に拘束され、『再教育』の名のもとに凌辱され痛め付けられる。何日も何日も。以前そうだったように、突然中嶋達から引き離され『教育』されるのだ。あの時は運良く中嶋が助けてくれた。だけど‥ 「走らなきゃ‥間に合わなきゃ、絶対に。じゃなきゃ逢えなくなる。中嶋さんにも、王様にも、あの人にも‥」 同じ目に二度と合いたくなかった。ケイタが本庄に捕まっても、中嶋が救ってくれるかもしれない。中嶋はケイタを守ると誓ってくれたのだ、だからもしそうなったら、本庄から自分を助け出してくれるかもしれない‥けれど、あの『教育』を受けて、正気でいられる自信がケイタには無かった。 肉体的な痛みが、延々と繰り返すのだ。羞恥心が恐怖に変化し、痛みは絶望へと変わる。泣き叫んでも無駄なのに、涙だけが流れる。それが本庄の『教育』だった。 「走らなきゃ、和希さんにもう一度逢うために。」 よろよろと、ケイタは再び走りはじめた。 ◆ ◇ ◆ 2006/03/27(月) 約束〜もう一度あの場所で〜‥16 「急がなきゃ‥。」 よろよろと、今にも倒れそうになりながら、ケイタは走った。 涙が流れて、擦り剥いた両手には血が滲んでいた、それでも構わずケイタは足を動かした。 前へ、一歩でも前へ。終電が終わって人気の無くなった駅の前を通り、緩やかな坂を下る。パチンコ屋のネオンが、涙で滲んでやけに綺麗に見えた。 「あと半分。‥あと15分。」 全力で走っても間に合わないかもしれない。もう無理なのかもしれない。恐怖に負けそうになりながら、それでも前に進んだ。途中で投げ出すことだけは、嫌だった。 「負けない‥。」 恐くて恐くて堪らなかった。本庄がすぐ近くで笑って見ている気がした。 本庄の声が聞こえる気がした。 「中嶋さん‥王様‥。」 ポケットの中のお守りを取出し、右手に握り締める。 「守ってくれる。きっと、辿り着ける。」 涙を擦りながら、ケイタは走り続けた。そうしなければ、恐怖に負けてしまいそうだった。 「ケイタやないか?」 「俊介!!なんでここに?」 ふいに名前を呼ばれ振り返ると、人懐こい笑顔を浮かべた俊介がいた。 「俺はこれから仕事や、店に行く途中なんや。それよりなに泣いとるん?中嶋センセに怒られたんか?あのセンセ恐いからな−。」 呑気に笑う俊介に、ケイタはつられて笑いながら、「違うよ‥」と首を振った。 「俺、急いで帰らないといけないんだ。凄く凄く急ぐんだ。」 「ふうん?そんなら俺が乗せてったるわ。」 「え?」 「ケイタ車は駄目や言うとったけど、こいつなら平気やないか?自転車飛ばすの気持ちええし。こいつ、形ははちょっとダサいけどな。丈夫やし、結構ちゃんと走るんやで。」 「いいの?」 俊介の言葉は嬉しいけれど、良いのだろうか?ケイタは戸惑いながら自転車のハンドルに触れた。 「この前俺のこと助けてくれた礼や。いいからはよ乗り。」 俊介とケイタはついこの間知り合ったばかりだった。 新聞の勧誘に来た俊介を、中嶋が追い返そうとしていたのを見付け、ケイタが「一ヵ月だけでも‥」と泣き付いたのがきっかけだった。 「ありがとう。」 涙を拭い、自転車の荷台に座るとケイタは俊介の腰に腕をまわした。 「よ−し!いっくで−!!」 勢い良く叫ぶと、俊介は自転車のペダルをぐんぐん漕いで、猛スピードでネオン街を通り抜けた。 「うわっ!」 「気持ちええやろ?もっともっと飛ばすで−!」 高らかに笑いながら、俊介はさらにスピードをあげていく。 「俊介!恐いっ!」 「平気や。急ぐんやろ?これくらい我慢しぃ!」 「でも−!」 慣れないスピードにケイタはぎゅっと目を瞑り耐えた。 「もうすぐや。時間‥間に合うな?よかった。」 「え?」 「‥‥な、なんでも無い!もっと飛ばすっ!」 なんで今『間に合う』なんて言ったんだろう?急いでるとしか言っていないのに‥不思議に思いながら、ケイタは頷いた。 「うん。ありがと。俊介。」 ×××××× 「よ−し!着いた。」 キイィッ!と耳障りな音をたて、自転車を止めると、俊介はトントンとケイタの手の甲を叩いた。 「もう手離してええよ?ケイタ。」 「もう、着いたの?うわっ!」 自転車から降りかけて、ケイタはグラリと俊介の腕の中に倒れこんだ。 「おいっ!大丈夫か?」 「うん。ちょっと足に力が入らなくて、もう平気。」 「上まで送ろか?」 「大丈夫。ありがと‥あ、あと5分。凄い間に合った。」 「‥よかったな。なあ?ケイタ?」 「ん?なに?俊介。」 「いや、やっぱええ。またな。」 ぐしゃぐしゃとケイタの髪を撫でながら、困ったように笑うのを、ケイタはただ見つめていた。 「うん、ありがと。助かった。」 「礼はいいって。それより急がな、間に合わなくなるで。」 「え?あ、うん。それじゃね。」 慌ててビルの中に入り、エレベータに乗り込むとボタンを押して息を深くつく。 「あと3分。ギリギリだ。」 俊介に会わなければ、間に合わなかった。そう思ったとたん手足がガクガクと震えだした。 「大丈夫、もう着いた。もう平気。大丈夫。」 自分に言い聞かせるように呟きながら、エレベータ−を降りて、震える手でドアを開け、中に入る。その瞬間電話のベルが鳴った。 「な、中嶋さん!その‥その電話!」 「ケイタ?どうした?慌てて‥。哲、電話出てくれ。」 「あ?‥もしもし?‥あぁあんたか。ケイタ?ああいるよ。」 「間に合った‥。」 へなへなとケイタは玄関に座り込んで、泣きだした。 「ケイタ?どうした。」 「あの‥なんでも‥へへ。」 両手で涙を擦り笑う。 自分を抱き上げる中嶋の腕の暖かさが、嬉しかった。 「この怪我、どうした?」 「ちょっと転んだだけです。」 「ちょっと?ったく。」 「‥中嶋さん、あの‥電話。」 丹羽が眉間に皺を寄せ話していた。そしてため息をつくとケイタを呼んだ。 「ケイタ。」 「は、はい。」 「かわれってさ。」 丹羽の言葉に、ゴクリと唾を飲み込み、ケイタは受話器を耳にあてた。 「はい。」 『残念だったなぁ。間に合っちまったのか。』 しゃがれた声がケイタを責めていた。 「あの、俺。」 何か言わなくては、本庄を怒らせてはいけない。 そう思うのに、言葉が出なかった。心臓の動悸が激しくなり、口の中が乾いて息をするのが苦しかった。 『まあいい、今回は許してやろう。運のいい奴だな。だが、次も上手く行くとは限らねえんだぜ?よ−く覚えておけよ?ケイタ。 お前が少しでも俺に逆らうようなら‥容赦しねえ。 俺は、お前が明日死んだって構わねえんだからよぉっ!次を楽しみにしてるぜ?』 ガチャン!叩きつけるように本庄が電話を切ると、やっとケイタは息をつくことが出来た。けれど、 「っ!‥。」 ドクンドクン‥ドクンドクン‥動悸がどんどん激しくなる。心臓の音が自分の体の外にまで聞こえそうな大きな音がする。そんな感覚に襲われて、ケイタは中嶋の服をぎゅっと掴んだ。 「ケイタ?どうした?苦しいのか?」 ◆ ◇ ◆ 2006/03/28(火) 約束〜もう一度あの場所で〜‥17 「ケイタ?どうした?怪我が痛むのか?」 丹羽が顔を覗き込む。 「だいじ‥っ!」 頷いて笑おうとして、でもそれすら出来ない事にケイタは気が付いた。 「っ‥!!。」 上手く笑うことすら出来なくて、なのに涙だけが後から後から流れてきて、ケイタはどうしたらいいのか分からなくなっていた。 不安。自分はどうしてしまったのだろう。こんな風になるのは始めてだった。 心臓の鼓動が激しくなる。ドキドキドキドキと早鐘を打つように、脈打ちだしてきて苦しくてたまらない。 「ケイタ?どうした?」 中嶋の視線を感じて落ち着こうと息を吐く。落ち着いて、深呼吸をして動悸を静めなければ‥なのにケイタが焦れば焦るほど、鼓動が激しくなり、息が苦しくなる。いくら深く呼吸しても、何度息を吸い込んでも空気が足りない気がして、ケイタは自分が溺れている様な錯覚に陥りパニックになった。 「な、なか‥はぁ‥はぁっ。」 呼吸が出来ない。涙が止まらない。どうしても息を吸い込めない。 どうやって呼吸したらいいのか、どのくらい息を吸い込んだら楽になれるのか、それすらケイタには分からなくなっていた。 「ケイタ?大丈夫か?‥ヒデ?ケイタどうしたんだよ。」 丹羽の不審そうな声に、さらにケイタは焦りだす。 返事をしなければ、大丈夫だと返事をしなければ‥。なのに息が苦しくて、何度もぱくぱくと口を開く。 苦しいのに、鼓動だけがどんどんどんどん早くなる。トクトクトクトクと繰り返す心臓の音。助けて欲しいのに、苦しくてたまらないのに、声を出すことさえもう出来なくなっていた。 「まずいな‥。哲、ビニール袋持ってきてくれ。」 ケイタを抱いたまま床に座り込んた中嶋は、ケイタの首筋に指先を当てながら、指示した。 「わかった。なんでもいいんだな?」 「ああ、急いで。」 顔色が悪すぎた。全力疾走した後の様にゼイゼイと息を吐き、そして視線がキョロキョロと落ち着かない。中嶋は内心の焦りをケイタに悟られないように、いつもの口の端をあげただけの笑いを浮かべ、ケイタを見つめた。 「これでいいか?」 「ああ、ケイタ、ケイタ。俺が誰か分かるな?」 中嶋の声にケイタが何度も頷く。 「よし、いい子だ。大丈夫、今すぐ楽になるからな。」 「な‥。ひっ。」 ケイタは中嶋の声に頷くのが精一杯だった。 「ほら、これを持って息をして‥いいか?ゆっくり息を吐いて‥今度はゆっくり吸うんだ。分かるな?」 ケイタの両手にビニール袋を握らせ、唇に当てさせる。ゆっくりと袋が膨らみ、しぼむ。 「ヒデ?」 「しっ、ちょっとの間しゃべらないでいてくれ‥いいな?」 小声で丹羽にそう言うと、中嶋はケイタの心臓の辺りに手を当てながら、ケイタの耳に囁いた。 「大丈夫だ。もう落ち着いてきた。‥ ゆっくりと息を吐いて、ゆっくり、ゆっくり、焦ることはない。そうだ、ケイタいい子だな。そうだ‥いいぞ。大丈夫、落ち着いてきてる。 分かるな?ケイタ、心臓の音が‥トクントクンと脈打ってる。ほうらもう大丈夫だ。大丈夫だ。」 ケイタを見つめながら、中嶋は囁き続けた。 「すぅっ−。ふぅぅっ。すぅっー。ふぅぅっ。」 ケイタは中嶋の声に導かれるまま、ビニール袋の中に息を吐き、吸った。 「よぅし‥そのまま‥もう一度‥吸って‥そうだ‥ゆっくり吐いて‥。ほうら、ビニールが膨らんだ‥ちゃんと呼吸出来ている。分かるな?ケイタ。 お前はちゃんと呼吸している。だから大丈夫‥もう大丈夫だ‥。さ、もう一度‥。」 「‥‥。」 繰り返し息を吐き、吸いながら、やがてケイタはぐったりと中嶋の腕の中で脱力した。 「もう大丈夫だ。ケイタよく頑張ったな。偉いぞ。」 優しく声を掛けながら、背中を撫でる。 「ケイタ?」 「哲。ミルクを温めて来てくれ、甘くして。」 「わかった。ケイタ待ってろよ?」 「なか‥じまさん?」 「苦しいところは?心臓は‥痛くないな?」 「ありません。俺、今‥。」 不安気な眼差しのケイタの背中をゆっくりと撫でながら、中嶋は表情を変えず説明した。 「大丈夫。少し疲れが出ただけだ。体が疲れすぎていたんだ。だがもう大丈夫だ。もう落ち着いたろう?苦しくない‥だろう?」 「俺変になっちゃったの?」 「変‥?哲の顔のほうがよっぽど変だがな?お前はちっとも変じゃない。安心しろ。」 「ひっでえなぁ。変なのはヒデの方だろ?下で一体どんな診察してるんだかね?お前が白衣着てても、変なプレイにしか見えねーよ。な?ケイタ。 ほ−ら、ミルクだぞ。熱いから気を付けろよ?」 丹羽が茶化しながら、ケイタにマグカップを手渡すと、甘い香が立ち上ってきた。 「なんだ?ずいぶん甘い匂いだな?」 「メープルシロップをたーっぷりとな。」 「メープルシロップ?そんなものいつ買ったんだ?」 「今日だよ。な、ケイタ。ヒデにホットケーキ作らせるんだろ?熱々なところにバターを乗せてシロップをたっぷりかけて食べるんだよな?」 「はい。海野先生がそうするとすっごく美味しいんだよって。」 ミルクをゆっくりと飲みながら、ケイタは頷いた。 さっきまで苦しかったのが嘘のように、呼吸が楽になっていた。 「ああ、あの人は甘いもの好きだからなぁ。」 心底嫌そうに中嶋が言うのをケイタは不思議に思いながら、甘いミルクを飲んだ。 甘い甘いミルク。そう言えば、あの人の前でも甘いミルクを飲んだんだ。あの時のあの人は凄く優しかったのに、なのに今日は‥。−−−−−ふいにその事を思い出し、ケイタはまた泣きたくなった。 「ケイタ?」 ※※※※※※※※※※ 桜が綺麗だよー。と妹からメールが届きました。 東京に帰る頃には確実に散ってるのね‥淋しい!! ◆ ◇ ◆ 2006/03/29(水) 約束〜もう一度あの場所で〜‥18 どうしてこんなに気になるのだろう?どうしてこんなに悲しいんだろう?−−−名前を呼ばれた事にも気が付かぬまま、ケイタはぼんやりと考えていた。 「ケイタ?」 「あ。はい。」 気が付くと、二人が顔を覗き込んでいた。 「どうした?気分でも‥悪いのか?」 「ううん。」 優しい声に、慌ててケイタは首を振る。これ以上心配を掛けたくは無かった。 「じゃあ、怪我の手当てをしよう。‥哲、救急箱取ってくれ。」 「OK、ほいっと。それにしても派手に転んだなあ。」 中嶋に救急箱を手渡しながら、丹羽がケイタの手元を覗き込む。何度も転んで出来た傷からは、血がにじみ出ていた。 「え?あ、はい。へへへ。」 「‥少ししみるぞ?」 言いながら中嶋が、消毒液を浸した脱脂綿で傷口を拭う。 「いっ!!痛いです−。いったぁ−い!」 ピリピリとした痛みが走り、ケイタは悲鳴をあげた。 「しみると言っただろう?‥大げさだぞ?」 中嶋は呆れたように言いながら、それでも力を加減して、優しく拭いてくれるから、ケイタは嬉しくなって「だって痛いんですもん。」とつい甘えてしまう。 「まだ痛いか?もうすぐ終わるからな、ケイタ我慢しろよ?すぐだからな?」 丹羽がしかめっ面をしながら、ケイタの頭を撫でた。 「はぁい。」 頷きながら、丹羽の顔を見て、ケイタはつい笑ってしまった。 治療されているケイタより、丹羽の方が痛そうな顔をしていた。丹羽は、自分はどんなに大きな怪我をしても、ケロリと笑ってるのに、人の怪我は苦手なのだ。他人が苦しそうな顔をしてるのは、自分のそれより痛いんだよ‥と以前こっそり話してくれたのをケイタは思い出していた。 「哲、大げさだ。こんなのは傷のうちに入らん。」 「でもよぉ。ケイタは痛そうじゃねえか。もっと優しくやってやれよ。お前医者だろう?」 「ったく。‥まだ痛いか?もうすぐ終わるからな。我慢出来るな?」 「はい。」 頷くと中嶋は、ケイタの頭を撫でた後、ガーゼを当て、「ちょっと大げさだがな‥」と言いながら、包帯をくるくると巻き付けた。 「これじゃ、なにも出来ないですよ。髪が洗えません−!」 「そんなもの、いくらだって洗ってやる。文句言うな。」 「じゃあ、優しく洗ってくださいね?中嶋さん。」 言いながら、ケイタはまた泣きそうになっていた。 どうも今日のケイタの涙腺は、かなり弱くなっているらしい。少しの事に動揺して泣きたくなる。切なさに耐え切れず、苦しくて、涙がにじんでくる。 ここは安全な場所なのに、俺が唯一安心して眠れる場所なのに‥なのにどうして?−−−ケイタは涙を堪えようと、唇を噛み俯いた。 中嶋の膝の上で、甘えるのは、とても安心できる行為だった。ケイタにとって、中嶋の膝は、腕の中はこの世の中で一番安心出来る場所だった。 ここはなんて安らかな場所なんだ。さっき夜の街を一人走っていた時とは違う。優しく甘い時間だけがある。−−−それはケイタの疲れた心と体には、甘く優しい物だった。二人は決してケイタを傷つけたりはしない。ケイタを悲しませたり怯えさせたりはしない。 だからケイタは、二人の傍でこうして甘えている時間が、一番好きだった。 二人は、優しく頼りになる存在なのだ。だから、ここにいれば大丈夫。もう恐くない。ケイタが、心からそう思える場所だった。 なのに、今日は駄目なのだ。不安になってしまう。。本庄の声を思い出して、和希の不機嫌そうな顔を思い出して、不安になってしまう。 不安、心がきゅっと締め付けられるような不安が、黒い影が心から消えず、ケイタは中嶋の手にそっと触れた。 「で?本庄には何を言われた?」 「え?」 ケイタの心を見透かした様に、丹羽が問い掛ける。 「‥哲。」 「だって気になるだろ?な、どうしたんだ?」 隠しておくことは、ケイタには出来なかった。心配を掛けるのは心苦しかったが、嘘を言っても二人にはすぐに分かってしまう。 「‥あのね、俺が最近言うこときかないから、再教育しようか?って‥。」 「え。再教育?」 「はい。部屋から出るとき電話で言われたんです。 30分後にここに電話するから、その時までに家に着いてなかったらそうするって。俺、だから必死に走って帰ってきたんです。」 話をするだけで、本庄の声を思い出すだけで、ケイタの体は震えだしてしまう。 恐かった。間に合わなければ本庄は容赦なくケイタを連れ去っただろう。そして、当然のように『教育』という名の拷問が始まるのだ。 本庄は戯れに脅した訳ではない。本当にそうするつもりで、ケイタに宣言しただけなのだ。 泣いて慈悲を縋っても、聞いてくれる相手などではないのは、ケイタ自身が一番よく分かっていた。 だから恐いのだ。 「俺がどうなろうと構わない、死んでもいいって‥。」 言いながら、どんどん体が震えてくる。『死んでもいい』それは比喩ではなく、本庄の本心なのだ。自分の気に入らない相手など、言うことをきかない人形など、いつ死んでも構わないのだ。それがケイタには恐かった。 本庄が本気になれば、ケイタを、地面を歩く蟻を殺すよりも簡単に殺すだろう。なんの躊躇も無く。 だから恐かった。本庄には決して逆らってはいけないのだ。決して。 「ケイタ?」 ケイタは無意識に自分で自分の体を抱くようにしながら、その恐怖に耐えようとしていた。 「恐かったです。思い出しただけで体が震えてしまう。」 「大丈夫だ。今ここに俺たちがいるだろう?」 「でも。」 縋るようにケイタは中嶋を見つめた。 「大丈夫だ。」 言いながら、中嶋はケイタを抱き締め、背中を撫でた。 「それにしてもよく間に合ったな。全く電話しろよー。バイクで迎えに行くって。」 ※※※※※※※※※※ 中嶋さん別人の様に優しいですが‥こんな状態でも中啓ではありませんので。今回は和啓です。(と言いつつ、書いてる私が一番それを忘れてる感じ‥(;^_^A)) |
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いずみんから一言 |
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